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小説(転載)  真摯なる告白 2/6(未完)

官能小説
01 /06 2019
「弘樹・・・さあおいで・・・」

「うん・・・ママ・・・」

***

煌く夏の陽射しを浴びた白い帽子が、輪郭をはっきりとさせ、私の目に焼き付きます・・・

幼い頃の思い出・・・
近所の公園でいつも私を遊ばせてくれた優しい母・・・

駆け寄った私を迎え入れる母は清楚な純白のワンピースを纏い、白い日傘を差してしゃがんでいました。
膝の屈曲により膨らみを増したふくらはぎ・・・細く締まった足首・・・
そして、スカートの部分の奥に垣間見えるたわわな太股・・・
更にその両脚が接合する部分には、丸みを帯びた膨らみを持ち合わせた白い布が確認出来ました。

当然、その当時の私はその部分に対して、性的興奮など抱くはずはありません。
日常的に入浴を共にし、母の全裸を目の当たりして当然の”子供”だったからです。

母は日傘の柄を左手に持ちかえると、右手を私の肩に添え、ゆっくりと立ちあがりました。
そして、その手を私の背中に回し、そっと私を抱き寄せました・・・

私の顔が母のとても形の良い胸の下方の部分に埋まっていきます・・

少し汗ばんでいるとはいえ、柔らかい生地のワンピースの奥から放たれる香りは、とても心地良く
幼い私の鼻をくすぐる、正に芳香といえるものでした。

「ママって、良い匂いがするね。僕ママの匂い大好きだよ・・・嬉しいよ・・・」
「そう・・・弘樹・・・そう言ってくれて、ママも嬉しいよ・・・」

私の背中に回された母の腕が、程良い引き締めを始めます。
母よりも随分と背の低い私の華奢で小さな腕は母の縊れた腰にぴったりと収まるように密着し、
手の平はお尻の部分に覆い被さっていきました・・・

当然、そこには男性の手が女性の臀部を触るという、いやらしい概念など存在しません。
純粋な母と息子の微笑ましいスキンシップのみが存在していました。

私はそんな母の優しさが大好きでした。
幼いながらに、こんな良い母親は絶対他にはいないと感じていました。
実際それは過言ではないといえたでしょう。


「そろそろ帰ろうよ、夕ご飯の仕度しなきゃいけないから・・・」
そう言って、母は私の額に軽く唇を押し当てました。
汗にまみれ、とても清潔とは言い難い私の額一杯に、柔らかな感触が広がります。
そして、それによって力の抜けた私の左手が更に下方に移動していきます・・・

そこには、母の太股の裏側の生の部分が有りました。
恐らく、しゃがんだ際に捲れ上がったスカートの端が汗によって固められ、その形を留めていたからだと
思います・・・

その肌触りは何故かとても心地良いものに感じられました。
汗によるベトつきは有りました・・・
しかし、しっかりとした張りの中に有る程よい柔らかさが手の平一杯に広がっていったのです。
無邪気な私はその感触をもっと楽しみたくなり、なんのためらいも無く手を上の方に移動させました。
手はスカートを更に捲り上げる状態とし、その薄手の布の中に姿を隠していきます・・・
そして、私の指先にまた別の布の感触が伝わったのでした。
またその布に包まれた”部分”の太股とはまた違った柔らかく、ふくよかな感触も・・・

当然、狙ってそうしたのではありません。
偶然にも私の人差し指と中指が母の両脚の付け根の部分・・・そう”女性”の部分に触れたのでした。

「こら、おイタしちゃだめよ・・・」
母はそう言いながら、私の腕を掴み優しく払いのけると、スカートの裾を正しました。
「ごめんね・・・ママ・・・」
「ふふ、怒ってるのじゃないよ」
母は少し心配そうな表情を浮かべる私の目を見つめ、そう言いました。


その時です・・・

「やーい!」
私の背後から明らかに、からかいの音が含まれた声が投げかけられました。

「はっ」として私は母から顔を離しました。
そして振り返った私の視線の先、3メートル程離れた位置に近所の悪童の姿を確認しました。

確か当時小学6年生だったと思います。
毬栗頭におむすび型の顔、細く異様なまでに釣り上がった目、低く丸い鼻、分厚い唇・・・
そして、よく肥満したその体系が、その見た目の醜さに一層拍車をかけています。

両脇にそれぞれ一人ずつ、子分格の少年を従えていました。
一人は嫌味な性格を持っていることが明らかな目付きをしている、細身で長身の少年。
そしてもう一人はボーッとした表情を浮かべ、口を開いたままにしている、馬鹿面の小柄な少年でした。

「よぉっ、お前こんなとこで母ちゃんと抱き合って恥ずかしくねえのか?それに・・・」
再び口を開いた親分格の肥満児はそう言うなり、手に持っていたものを私の方に差し出しました。

「それに、さっきお前の母ちゃんのパンツ、いっぱい見せてもらったぜ」

手に持たれていた物は、プラスチックで出来た安っぽいオモチャの双眼鏡でした。
恐らく植木の中にでも潜り込み、しゃがんでいた母の股間を覗き見ていたのでしょう。
そう、三人で代わる代わる・・・

小学6年ともなると、女性に対する好奇心が旺盛となる年頃であるといえるでしょう。
ともすれば射精さえも経験済みかもしれません。
おもちゃの双眼鏡のレンズを介して目に映る、母の白く柔らか味の有る股間の膨らみ・・・
悪童達は息を荒げ、胸を高鳴らせ、そして股間を膨らませながらそこを堪能していたに違い有りません。

「なんだよこのバカー!」

そんな悪童の態度に幼いながら憤慨を覚えた私は、突っかからんばかりに怒鳴りつけました。

「なんだ・・・やるのか?このチビ!」

悪童が真剣な眼差しで私を睨み付けます。

「弘樹・・・もういいから・・・ねっ、もう帰ろ・・」

母は私の両肩を掴むと、優しくそう諭しました。

「ママだって、ちょっと恥ずかしいけど、もういいよ・・・」

その時の母の笑顔は正に「寛容な女神」その物であったといえましょう。
「う、うん、そうだね・・・」
私はそんな母の態度に心を鎮められ、怒りは消え去っていきました。
そして、母と手を繋ぎ、悪童達に背を向け歩き始めました。

「待てよこらー!」

そう言いながら肥満児の悪童が突然、私達母子に駆け寄ってきました。
そして大胆にも母のスカートを掴むと、一気に捲り上げたのでした。

純白のショーツに覆われた母の臀部が、夏の光を浴びながら外部に曝け出されます。

「へへへ、パンツ丸見えだぜー!」

悪童はそう言うと、もう一方の手で母の臀部を鷲掴みにし、更にその手を奥の方に進行させようとしました・・・


「やめなさい!」


正に毅然たる態度でした。
母の目は私がそれまでに見たことの無い厳しさを表し、悪童を睨み付けました。

「ご、ごめんなさい・・・」

悪童は母のそんな態度にたじろぎながら、母から身を引きました・・・
母に大人の威厳を感じ、おののいているのが明らかです。


「さあ弘樹ちゃん、お家に帰ろうね」
一転して母は私に優しい笑顔を投げかけました。
「うん、今日はご飯何かな?」
「そうね・・・弘樹ちゃんの好きな物にしてあげる、何がいい?」
「じゃあ、ハンバーグ!」
「そう、じゃあそうしてあげるね。ふふふ」
「やったー!」

つい先程までの忌まわしい出来事が嘘のように、私達母子は和やかな空気に覆われていました。

陽は西に傾きを見せ、心地良い風が頬をくすぐり始めていました・・・


***

突然の来客により、母のいなくなった部屋で、私はふとそんな遠い記憶を思い浮かべていました。
絶対に忘れることの出来ない、とても強烈な思い出といえます。

私は再びソファーに腰掛けると、ズボンのファスナーを下ろし、皮を被ったままのソレを摘み出しました。
そして、目を閉じて何のためらいもなく右手でソレを上下にしごき始めたのです。

瞼の裏側に映した光景は、母がその悪童と交わっている姿でした・・・

公園の緑一面の芝生の上で仰向きに寝そべる母・・・
両脚が大きく開かれています・・・
剥き取られた白いショーツが足首に引掛かるように、留まっています・・・

そして・・・

開かれた母の白く艶の有る両脚の間には、肥満した醜い悪童の剥き出しになった臀部が揺れ動いています。

「ああ・・・おばさん・・・気持ち良いよ・・・」

悪童はそう言いながら、母の股間にぎこちなく、しかし容赦無く腰を打ちつけます・・・

「そう・・・おばさんも・・・とっても気持ち良いよ・・・」

母は恍惚の表情を浮かべ、悪童の背中に手を回します・・・


そんな禁断の妄想に私は早くも射精を迎えそうになりました。
しかし私は右手の動きを止め、それをぐっと我慢しました。

そして、その態勢のままじっと動かなくなったのです。

(きっと戻って来た母は、私のこんな姿を見て不憫に思い、体を許してくれるだろう・・・)

そんな邪まな思いが私を包みこんだのでした。
余りにも短絡的で、唐突な行動であるといえます。
今思うと、そんなことで母親が実の息子に簡単に裸体を委ねるなど有り得る筈もないことです。
しかしながらその時の私は、なんとか母と結ばれたいという思いで、冷静な判断など消え失せていたのです・・・

(あっ・・・何を・・・イヤ・・・)

目を閉じて母を待っていた私の耳に、微かな悲鳴ともとれる声が飛び込んできました。
そして、ドサッという物音も・・・

「な、なんだ・・・おい・・・」
私は慌ててズボンを正すと、急かされるように立ち上がり、玄関へと向かいました。

異様なまでの胸騒ぎを覚えながら・・・


「あっ!」

玄関には白い布を手にした一人の男が立ちすくんでいました。
ツンッとした異臭が私の鼻を刺激します・・・

そして、その男の前には床に身を沈め、動かなくなっている母の姿が有りました。

「な、なんだよお前・・・母さんに何したんだよ!」

そんな光景を目の当たりにして、私は驚愕の思いを抱きながら、男にそう叫びました。

「ふっ、ガキがいたのか・・・こりゃまた面白いかもな」
男はそう言うなり、土足のまま素早く家に上がり込むと、私の腹部に強い拳の一撃を加えました。

「うぅっ・・・」

脚の力が抜け、私の両膝が床に落ちていきます・・・

その時・・・私は男の背後に小さな影を見ました。
そして、薄れゆく意識の中、こんな声を耳にしました・・・・

「ねぇ、おじさん。ホントに・こ・ん・・な・キ・レ・・イな・ヒトの・・ハダ・・カ・・・・・」


それは変声期を迎えていない、澄みきって清らかな「少年」の声でした・・・


<続く>

小説(転載)  真摯なる告白 1/6(未完)

官能小説
01 /06 2019
(その男性が突然家に訪れたのは、私が中学生の時でした・・・)


なんでもない、とある平凡な休日。
私は母と一緒にリビングで紅茶を飲んでいました。
特に用事や予定も無く、平穏な家庭の時間がそこに存在していました。

多忙な父は度重なる出張により、ずっと家を離れています。
主人不在の家を預かる母・・・機敏に家事をこなし、私の面倒を見る正に良妻賢母といえます。

息子の私が言うのも何ですが、当時の母はとても美しい顔立ちで、艶やかな肌を持ち合わせていました。
切れ長な目は、世の男性全てを魅了するがまでの輝きを放ち、またすっと筋の通った鼻はとても形が良く
ギリシャ神話の女神を連想させる造形美を感じさせています。

その下に位置する程良い柔らかさを容易に想像させる唇・・・
薄桃色と紅に染められ、丁度良いバランスの上下合わさりは、熟れた女性ならではのしっとりとした雰囲気を
醸し出しています。
更に、開かれた時に垣間見えるその奥側には、唾液による滑りが光り輝き、鳥肌が立つまでの衝撃さえ感じられます。

名を「なぎさ」と申します。
海をこよなく愛し、海で生計を立てた祖父が名付けたものであります。
22歳で私を産み、当時は36歳という年齢でありました。
当然その美しい容姿から、実際の年齢よりも若く見られることが度々でした。
しかし、子供っぽいという印象は欠片も無く、落ち着きに満ちた大人の女性であるといえました。

私はそんな母に対し、尋常ならぬ感情を抱いていました。
無理も有りません・・・
好奇心旺盛な思春期の少年なのですから。
例え血を分けた母親であれ、そこに存在しているのは私にとっては「異性」なのです。
しかも、全ての面で完璧とまでいえる容姿を備え、性格も寛容でしとやかな女性なのですから。
正に「完璧なる女性像」といった言葉が当てはまる存在でありました。


私は紅茶を注ぎ込む母の口元をそっと・・・しかし、しっかりと見つめていました。
白く薄い陶器の端に粘着するように、変形する柔らかな唇・・・
例え外出することはなくとも、普段から貞淑を重んじる母は家の中に居ても決して化粧を絶やしませんでした。
そう、それが女で在ることの義務で有るが如き・・・

勿論、母は必要以上に女であることのアピールなどいたしません。
あくまでも父の妻であり、私の母親であることに対し、なんら不満を抱くことなく対処していました。
健気な態度であるといえます。

私の友人などに、母に興味を抱いている輩もいました。
「なあ、お前の母さん綺麗だな一緒に暮らしてるの羨ましいよ」
といった言葉を投げかけられ、困惑するのも一度やニ度ではありませんでした。
その時の友人の目は、いやらしさに満ち溢れ、ともすれば勃起していることすら充分に伝わって来ます。

大好きな母親が同級生である友人の好奇の的になっている・・・
それに対し当然、嫌悪感は私の中で有りました。
しかしながら、それを上回る何かも私の中に存在していました。

(母さんが、父さんとは別の男・・・それも自分と同じ年代の”少年”に犯される・・・)

そんな想いに対し、私は異常なまでの興奮を覚えました。
友人が母親を性の対象と感じていることに、自らの股間を膨らませずにいられないのでした。


中学生である私は、当然の如く自慰行為を日常的に行っていました。
父が購入する週刊誌などをこっそりと覗き見、グラビアに登場する若い女性もその対象では有りました。
しかしながら、私はそんな煌びやかな若い肉体に、今一つ強い興奮を覚えられませんでした・・・
(何か物足りない・・・)
視覚的に訴えかける光輝く現実の肉体よりも、私は現実では有り得ない妄想を好みました・・・

恥ずかしながら私の最も興奮する自慰の対象は、母親でした。

残念ながら、その局部は謎のベールに包まれ、はっきりと思い浮かべることは出来ませんでした。
いたしかたないことです。興味が有るとはいえ、まだまだそんな所に接するのは不可能な子供なのですから。
それでも私は悪友等から聞くセックスの知識を頼りに、股間に位置する女性器を最大限に想像しました。

脚の付け根に存在する小さな穴・・・
とりあえずと言えば、あまりに投げやりかもしれませんが、肉の裂け目だけはなんとか偶像化することが出来ました。

自分が母と絡む妄想も有りました・・・しかし、より興奮を覚えるのは”友人”が母を犯している妄想でした。
母に欲情を抱く積極的で、ませた輩を登場させることはまず無く、大人しく控え目な同級生を好んで登場させました。

セックスという概念すら全く感知していない、無垢で幼い同級生・・・
そんな真っ白な少年が、熟して全てを知り尽くした母と体を重ねる姿・・・

それは正にアンバランスの極みであり、私の右手の摩擦力を高めるにこの上ない情景でした。
普段、包皮を被っている私のペニスは数分の後に白濁液を放ち、痙攣を繰り返す日常となっていました。

時には複数の同級生を登場させたりもしました。
ぎこちなく母の胸を愛撫する一人、またその未知なる股間への期待を膨らませながら、ショーツに顔を埋めるもう一人・・・
そして、悦楽の表情を浮かべる母の美しい顔・・・


究極の背徳であるといえます。


そう、熟した女性が少年と性交を営む・・・
これは正に常識を逸脱した行為であります。
しかしながらそれ故に人間の好奇心を最大限に高める代物ともいえるのです。
また、それを想像するのが肉親である実の息子・・・
そこには綺麗事など存在し得ない、剥き出しの欲望のみが存在していたのです・・・


「ねえ、どうしたの?黙っちゃて」
母は、ソーサーにカップを置くと、不安そうに私に問い掛けました。
何気にチューニングが合わされているFMラジオからは、流行歌のカウントダウンのアナウンスが流れていました。
しばらくの後、聞きなれたイントロが耳に響き始めます・・・
その曲は、とてもドラマチックなものでした。否応なく、心を高揚させる奏でで有ります。

「えっ、いや何でもないよ・・・」
そう言いながら、私は俯き加減に母の目を見つめました。

その瞳は汚れを知らぬがまでの美しい光を放っていて、視線が刺すように私に注がれています。
私はその時、胸にキュンという痛みを覚えました。
こんな素敵な女性は他にいない・・・例え母親であれ、愛している・・・
そんな事実を無理に否定することなど出来ません。
そう、これは紛れも無い真実の愛なのです。


歪んだ愛であるとも言えるでしょう。

当然です。その愛を確かめるためには、”近親相姦”という、おぞましい概念が付随するからです。
しかしながら、私は「母」を愛しているのです・・・
ただ、そこには純愛という言葉は相応しくない何かも存在しています。
何故なら私は、母が他人の少年と交わることに興奮を覚え、自らの欲求を満たす手段としていたからです。

愛するが故に独占したい気持ちも有る。
しかし、その愛する対象、しかも肉親である母が、自分とは別の他人ながら自分と同じ年代の未成熟の少年に肉体を
委ね興奮を露にする・・・
そんなことを想像し、自慰行為にふけっていることも事実なのですから。

当然、後ろめたさは有りました。

それでも今はとにかく母を自らの術中に収めたい・・・
もう、我慢など出来ない・・・こんなに自分を愛してくれている母は、私の欲求を快く受け入れてくれる筈だ・・・
自分勝手な思いでは有りますが、そんな気持ちが私を大胆にさせました。

「ねえ、母さん・・・」
「えっ、何?」

先程から流れている楽曲がサビの部分を迎え、私と母の二人だけの空間の雰囲気をこの上なく演出しています。

「母さん・・・僕のこと好きかな?」
顔面全体を紅潮させながら、私は思い切って母にそう問い掛けました。
「どうしたの急に・・・好きに決まってるじゃない」
母の回答には、男女間での愛に応える感情は存在していませんでした。
単に母親が自らの身を痛め、育て上げた者に対する、肉親への愛情にしかすぎませんでした・・・

そんな母の態度に、私は強いもどかしさを感じました。
それと同時に(もう、どうなってしまってもいい・・・)という気持ちが私の中でふつふつと沸き起こりました。

私はすっと立ちあがると、母に近づいて行きました。
恐らく、その時の私の目は欲望に満ち、男の性欲を露とした物で有ったでしょう。
「な、何?・・・どうしたの急に・・・」
母の表情には戸惑いが明らかでした。

それでも容赦無く私は母に身を寄せ、こう言いました・・・

「僕、母さんと・・・」

その後の言葉は、容易に想像出来る内容でしょう。そう、”セックスがしたい”なのです。

しかし幸か不幸か、そのタイミングで呼び鈴の音が部屋の中に響き渡りました。
意を決した私の張り詰めた思いを劈く、周波数の高いとても耳障りな音でした・・・

期を逸し、残念な表情を浮かべる私・・・極度の緊張から逃れられ、安堵の表情を浮かべる母・・・

二人の表情は極端に対称的な物で有りました。

「あっ、お客さんだね・・・」

そう言うなり、母はゆっくりと立ち上がると、優しい笑顔を浮かべながら玄関へと向かいました。

私は先程から勃起している自らの「モノ」を右手で押さえながら、母の後ろ姿を追うより他は有りませんでした。

FMラジオから流れる流行歌が終焉の余韻を響かせている中・・・


<続く>

小説(転載)  彼女は嘘つき  下

官能小説
01 /05 2019
その数日後、だったと思う。
学校も始まり、あれやこれや考える事の多くなった俺は、バイトでちょっとしたミスを犯した。
まあ、ミスといってもそんなに重大なものではなく、他のバイトや社員の人でもよくやっているような凡ミス。
なんだけど・・・なぜか所長がそれを咎め、俺は結構な人がいる事務所の中でかなりきつく叱られてしまったんだ。
当然、何故!? って思った。
他の人はしょっちゅうやってる失敗だし、俺は今まで失敗らしい失敗をした事は少なく、怒られるだなんて思わなかったのに。
事務所には松山さんもいて、鉛筆を持った手を止めてこっちの様子を見てた。
俺はその視線がたまらなく歯痒くて、悔しくて、何時しか「納得出来ない!」と所長に歯向かってしまっていた。
今まで「甘えてる」と思われないように頑張ってきたのは何だったんだ!?
結局は俺みたいな子供っぽいのが真面目に仕事しても、誰も認めてくれないのか!?
・・・と、もの凄くやるせない気持ちで一杯になって。
そしたら脂ぎった所長はさらに怒り、最近の俺のやる気がない態度も気になってたんだって怒鳴りやがったんだ。
やる気がない態度って・・・俺なんかより凄まじくやる気が無いバイトなんて他にもいるのに、何で今さら・・・。
事務所にいるみんなの視線が、松山さんの視線が、所長と一緒になって俺を責めているみたいだった。
結局、松山さんも所長も、周りの奴らだって同じ・・・・・・!!
それから先は何を言ったかも覚えて無く、ただ「もうやめてやる、やめてやる」って言葉がぐるぐる脳ミソ回ってた。
ぐるぐるぐるぐると・・・。
その後、「お疲れさまっ!」と言い捨て事務所を飛び出す時に見た松山さんの眉根を寄せた表情が、「甘いのよ」って言ってる気がしてしょうがなかった。



次の日、学校が終わって家に帰った俺は、ムシャクシャした気持ちを抱えながらまた外出した。
たまたまバイトは休みの日で(と言っても、もう行く気はなかったけど)とにかく家にじっとしているのは嫌だったんだ。
町中に出た時にはもう五時過ぎになっていて、辺りは暗くなり始めてきてた。
俺は上着をあまり着込んでこなかった事を後悔しつつ、小物を眺めたり本屋で立ち読みしたりして時間をつぶした。
そうしてると、嫌なバイトの事も忘れられる気がしたから。
でも、前日にあった腹立ちをそんなすぐ忘れられるはずもなく、何をしてても怒りが心の奥から沸き上がってくる。
それと同時に、いざやめるとなると、どっか淋しいって気持ちが感じられるのも確かだった。

「・・・けっ、なにが!」

そうこうしているうちに時間は過ぎていき、そろそろ帰ろうかと町中を抜けて家の方へ向かって歩いていた時だ。
俺はまるで何かに吸い寄せられるように、いっちばん会いたくなかった人と会ってしまったんだ。



俺の家は駅から2km位離れた所にある。
駅周りの繁華街から家に帰るには、大通りを真っ直ぐに行って脇道に入るのが速い。
のだけれど、その日はちょっと寄り道して帰りたい気分でもあり、普段通らない道で帰る事にした。
大通りを通らずに街灯の少ない二車線の道をずっと歩くと、しばらくしてケバケバしいネオンの灯ったホテルがある。
そこはこの辺りで唯一のラブホテルで、通学路が近くにあるにもかかわらず突然建てられた事から、色々問題視されているホテルだった。
そのホテルの横を何気なく通り過ぎ、近くにある安さが自慢の小さなスーパーの前に差し掛かった時だ。
俺の横を黒いセダンが通り過ぎ、スーパーの前に横付けした。
俺はその車を見て、どこかで見た事ある車だというのはすぐに分かった。
何となく嫌な予感がしつつ、そっちに向かって歩いていくと、助手席から黒いコートを着た女の人が降りてきたのが見えた。
女性を降ろした車はすぐに何処かへ行き、目の前の道には俺とその女性だけ。
一見して主婦、割と背が高く細身で、ショートカットの髪は綿菓子のように緩いウェーブがかかってる・・・。
俺は「マズイ!」と思い、すぐラブホテルに向かってUターンしようとしたんだけれども、二人が目を合わせてしまう方が早かった。

「あっ・・・」

暗闇の中でも、松山さんは俺だとすぐに気付いたみたいだった。
やっぱり息子の車だったのかと俺は小さく舌打ちしたが、もう遅いとそのまま松山さんの横を素早く通り過ぎる事にしたんだ。

「・・・」

嫌な雰囲気の中、松山さんの横を通り過ぎて行くと、少し歩いたところで「ちょっと」と呼び止める声が聞こえた。
無視しようかどうしようか・・・。
俺が足を止めずにいると、今度はもっと大きな声で「生田君」と呼び止められた。

「・・・なんすか」

俺は立ち止まり、振り向かずに聞き返すと、コツコツとヒールの音をさせて松山さんが近寄ってくるのが判った。
昨日の事をまた言うつもりなのか、なんなのか・・・。
走って逃げ出したいような気分と沸き上がってくる怒りとで、瞬時に胸が一杯になる。

「あのさ、昨日の事」

やっぱり・・・と思い、ちょっとだけ振り返ると、思ったより近くに来てた松山さんの顔が街灯で照らされた。
ちょっと怒っているような真剣な面持ち。

「なんですか」
「あの、気にする必要ないから。あの後ね、みんな「それはないだろ」って所長さんに言ってあげて、所長さんも反省してたから」
「・・・そうすか」
「うん、そう。私もね、ちょっと大声出したりして所長さん怒ったのよ」
「へぇ・・・別に無理しなくてもいいのに。どうせやめるんだから」
「無理とか言うんじゃなくてさ、生田君真面目にやってるのに、あんな怒り方はないからと思って、私・・・」
「ふぅん、そうですかあ」

自分がやってあげたって事を強調する松山さんに、俺は力一杯どうでもいいような返事をしてやった。
何が真面目にやってる、だ。ちょっと前までは所長と同じような事言ってたくせに、と。

「とにかく、もういいから。俺、明日から行きませんよ」
「いや、だからね・・・」
「いいです、やめますって。別に、昨日怒られた事だけが理由じゃないし」

俺は松山さんを睨み付けて言ってやった。
すると、少しカチンときた様子で松山さんは、

「何よ。他に何があるの?」

と、俺の目を見返してきたんだ。
でも俺は、この人に何か言ってもしょうがない事分かってたから、そのまま無視して歩いていこうとした。

「ちょ、ちょっと待ちなよ。・・・また何も言わない気?」

溜め息と一緒に言うような、もの凄く呆れた様子の声。
怒りの形相で振り返る俺に、畳み掛けるように松山さんは続けた。

「あなた、やっぱり男らしくないのよ。この前、何か不満があるんだったら言うって言ったじゃない! それなのに口きかなくなって・・・」

どうしようもないガキね、って言い方に、当然俺はキレた。メチャクチャキレた。
認めもせずに、平等に扱いもせずに、また男らしくないだと・・・!

「********!!!」
「********!!!」

前にはスーパー、背後にはラブホテルという場所で、俺と松山さんは激しい言い争いになった。
何を言ったかも覚えてないような激しい応酬。
周りの人が何事かと歩みを止めたっても、俺は全然気にならなかった。

「ウソツキ、言い触らし魔!! 言う事全部ウソ、前のTELだって、今日の事だって、すぐみんなが知るんだろっ!!」
「なっ!? まだそんな事・・・!」
「何も言わないから言わないからって、言ったってどうせ何も聞いてくれなくて、みんなに言い触らされるだけじゃないか! 俺が言って、なんかしてくれた事あんのかよ!!」

何も思い浮かばないのだろう、松山さんは困った顔をした。
でもすぐに言い返してくる。

「そ、そんな事覚えてないけど・・・。でも、言い触らすって何よ! 何で言っちゃいけないの!?」
「じゃ、なんで他の人の事は俺に嘘ついてまで黙ってんだよっ!!」
「そ、それは、別に話すような事じゃないと・・・」

そういって松山さんは口籠もった。
何で認めないんだろう、何で謝らないんだろう。やっぱり俺をガキだと思ってるからか?
これが最後、もうやめるんだと思ったら、何でも言える気がした。

「松山さんは背の高い男が好きなんですよね。カッコいい男の頼みだったら聞くけど、俺みたいなんだったら聞かないんですよね。・・・いい歳して気持ち悪い」
「なっ!? なによ、それ・・・!」
「そんな差別してんのに認めないんだからなぁ・・・。それで平等だとか言うんだから・・・」

俺は思いっきり鼻で笑ってやると、松山さんは更に顔を赤くして言った。

「じゃあ、あなたは・・・生田君は、私のために何かしてくれたの? ろくに話しもしないで、ただ自分の仕事してるだけじゃない!」
「それは他の人だって同じじゃないか!」
「それに、差別差別って言うけど、誰に何をしてあげるかは私の勝手じゃない! そう言うあなただって、クラスのみんな全員に同じ接し方してる訳じゃないでしょ!?」
「・・・そりゃ、どうでもいいように思ってる奴もいるけど、そいつらから嫌われたり無視されたりするのは当たり前だと思ってるよ。誰かみたいに、どうして話してくれないの? なんて事言わないし」
「ん・・・だ、だから私は別に差別したりなんか・・・。」
「はいはい、平等平等・・・」

俺はそこまで言って、もう帰ろうとした。
参ったのか呆れたのか、松山さんはもう言い返せないみたいだし、これだけ言えれば満足だと思ったんだ。
松山さんの瞳はちょっと潤んでいて、華奢な身体を包むコートが震えているのが見えた。
そうして松山さんを置いたままスーパーに向けて歩き出したんだけど、しばらくして小さーく呼び止める声が聞こえて、俺はちょっと振り返った。
松山さんは少し俯き、爪を噛んでいるのか手を口に持っていってる。
泣いてるのか? と思ったけど、そうではないみたいだった。
明らかに変な様子に、「何?」と聞くかこのまま帰ろうか迷っていると、松山さんは怒りを秘めたような、トーンを下げた声でこう言った。

「・・・分かったわよ。じゃ私、何でもしてあげるわよ。何がして欲しいの?」

口をとんがらせて拗ねたような口調。
何を言いたいのかよく解らなくて黙っていると、

「何か、あなただけにしてあげればいいんでしょ。いいわよ、してあげるわよ」
「・・・誰もそんな事言ってないだろ!」
「言ったじゃない! さあ、何がいいの。何でもいいわよ。・・・そこのホテルにでも入る!」

投げやりなその発言に俺はまた怒り、二人は再度言い合いになった。

「だから。私は生田君のお母さんでも奥さんでもないんだから、特別な事は出来ないでしょ! みんな一緒に扱わなくちゃいけないんだから」
「だから。特別な事しろだなんて言った事は無いだろ!? みんなと一緒の事しか頼んでないのに、それもしてくれないんじゃないかっ!!」
「で、でも、してあげないなんて言った事は無いじゃないっ! ・・・分かった、いいわよ、分かったわよ。特別な事でも何でもしてあげるわよ!」

それから、松山さんは俺の怒りに油を注ぐように「してあげる、してあげる」を繰り返した。
「ホテルに入って、奥さんみたいな事してあげようか」とも・・・。
俺はその言葉が「参った? このガキ!」と言ってるようにしか聞こえなくて、少し高い位置にある松山さんの目を見ながら言ってやったんだ。

「じゃ入ろ、入ろ。入ろうよ。入って何してくれるの、オバサン!」

って。
すると憎たらしい事に松山さんはお澄まし顔で「いいわよ」と言い捨て、スタスタとケバいネオンの方へ歩き始めた。
一瞬取り残された俺だったけど、ここで行かなきゃ負けだと思い、ロングスカートから覗く足首を目標に追いかけた。
ほとんどその場の勢いだけで。
どうせすぐ帰ろうと言い出すに決まってる、と。



二人ともが怒りの状態でラブホテルの小さな入り口をくぐると、フロント前にカップルが一組、そしてホールの中央にでーんと部屋の写真が貼られたパネルが置いてあった。
入室する時は入りたい部屋のボタンを押すわけだけれど、松山さんは仕組みが分からないらしく、視線を向ける若いカップルを母親みたく睨み付けたりしてた。
俺は状況が状況だし、おばさんのヒステリーに付き合ってるだけだから何も言わずにいたんだけど、実はこれ以前にもこのホテルに来た事があったのだ。
その時の相手はコンパで知り合った他校の同級生で、ホテルに入ったまでは良かったんだけれども、大人しい子だったせいかのらりくらりとはぐらかされ、結局何もせず出たという苦い場所。
同じ場所で同じ事繰り返すのかと思いつつ、とにかくこのオバサン相手には退けないと思い、俺は適当に部屋のボタンを押してやった。

「さ、早く部屋へ行こうよ」

そんな俺を[勝手にレジへ商品を持っていく子供]を見るような目つきで見た後、「行きましょ」とエレベーターに向かっていく松山さん。
わざと強がっているようにしか見えない。・・・俺もそうなんだけれども。
そして、二人っきりのエレベーターは静かな音を立てて上がっていく。
その間俺達は一言も言葉を交わさなかった。
呼吸の音までも聞こえそうな密閉感の中、隣を見ると、息子に車で送られ買い物をしようとしてた事務のおばさん・・・。
あまりの静けさに、ふと我に返って気付いたからだろうか。いつの間にか怒りの感情よりも、不安の方が大きくなっているのに気付いた。
俺、何やってんだろう? と。
それは松山さんも同じようで、階を示すランプを見る目は、細かく宙をさまよっていた。
それでもここで引き返すわけには行かず、「早く折れろ」と念じながら、俺と松山さんはドアを開け部屋に入ったんだ。



ベッドの枕元と足元に腰掛けて十分程。
俺と松山さんは一言も口をきかず、目も合わさず、でもお互い意識しながら俯いてた。
部屋の中はそれほど凝った造りではなく、ベッドサイドに全体が映る大きな鏡が張り付けられ、風呂場が曇りガラスで仕切られて透けてるくらい。
以前同級生と入った部屋よりは地味な感じだったけれど、性行為を行う場所である事は間違いない。
当然松山さん相手にそんな事は無理だし、どうしよう、どうすればいいんだと考えていると、何もせずホテルを出た時のいやーな気分が甦った。

「どうするのよ」

ふてたような声で枕元から松山さんが聞いてくる。
どうすると言われても出るしかないじゃないか。
しかし、それを言ったら自分の負けだからと、こちらからは絶対に言えないと思った。
俺が黙っていると松山さんはもう一度「どうするのよ、こんな所来て」と聞いた。
自分で「入りましょ」と言っておいて、まるでこっちに非があるような言い方。
俺が一睨みして黙っていると、松山さんもブツブツと何か言った後また口を閉じる。
とっても静かな部屋に、少し硬めのツインベッド、そして男と女が一匹ずつ・・・。
俺の胸の中は、激しい緊張感と早く出なければって気持ちで、爆発しそうになってた。
でも、でもだ。
よくよく考えると、エッチ出来るチャンスと言えなくもないのだ。おばさんだけど、割と美人な松山さんと・・・。
でも、それは出来ないと思った。
高校二年の冬にして俺は完全初心者な訳で、そんな身分で主婦を相手なんてとても・・・。
それに「やろう」だなんて言ってしまったら、それこそ変態少年として認定されかねない。
二人はベッドに座ったままで、ホントに静かな時間だけが過ぎていった。
そして、この部屋に入ってから三十分程が過ぎた頃だろうか。
背筋をピンと張って俯いていた松山さんが力が抜けるような溜め息をつき、いきなりベッドから立ち上がって、

「・・・しょうがない!」

と叫んだ。
瞬間、緊張状態にあった俺の心臓はドキンと大きく跳ねたんだけれども、「やっと折れたか?」と様子を窺ってると、松山さんは両手に持っていたハンドバッグをベッドの脇へ置いただけだった。

「時間二時間でしょ。早くしましょうよ」
「えぇ?」

何を? とマジで聞き返そうとした俺に向かって、松山さんは、

「このまま出るわけにもいかないでしょ。シャワー先に入る?」

と、ふて腐れた表情のまま聞いてきたんだ。
その言葉がまた怒りに火を付けそうになったんだけれども、俺を試してるのかも知れないと思い、「フン」と平静を装って顔を背けてやった。
そしたら、

「あなた経験はあるの」

と、とんでもない事を続けて聞かれた。
驚いて松山さんの顔を見ると別に冗談で聞いている風には見えない。
ガキだと思って馬鹿にしてるんだろうか。

「まあいいけど。生田君ならもてるでしょうしね」

本当にどうでもよさそうに言って、松山さんは黒のコートを脱ぎ、ベッドの上で綺麗にたたんでテーブルの上に置いた。
俺はそこまで来てもこのおばさんが何をしたいのか判らず、顔を背けたまま。

「じゃ、先に入るからね」

俺は驚き、「どこへ?」と聞こうとして慌ててやめた。
ここで動揺する素振りを見せたら、負けな様な気がすると思ったからだ。
どうせフリだけなのは判ってるんだから。
松山さんはハンドバッグをコートの上に置き、左手の指から何かを抜き出し、その中へゴソゴソとしまった。
そうして俺の方を見もせず、入り口近くにあるシャワールームへと歩いていった。
もしかして今の、指輪か? マジ入る気!?
喉がカラカラで唾を呑み込みにくくなってる事に気付きながら、俺は松山さんの後ろ姿を見た。
茶色のセーターに、大きな青い葉っぱがデザインされた白地のスカート、少しだけ脱色されたパーマ頭・・・。
長いスカートは歩いてもゆったりとしか動かなくて躍動感がない。女性的ではあるんだけど、やっぱり家でのんびりしてる主婦的な動き。
なんでこんな強情なんだろ。もう、出ちまおうか・・・。
ベッドからは見えないシャワールームの入り口へ消えていく松山さんを、俺は腹立たしく観察した。
その後しばらく待っても、薄曇りのガラスで仕切られたシャワールームの明かりは点かない。
俺は緊張が少し解けた気がして、ベッドの上で大きく伸びをした。
あれ? なんでこんなにドキドキしてたんだろ、俺・・・。
その時だった。
突然シャワールームの明かりがバッと灯り、ガラスの中に人影が浮かんだのだ。
当然俺の目ン玉は2cmくらい飛び出した。

「・・・マ、マジ!?」

俺は慌てて立ち上がると、部屋の入り口前にあるシャワールームの入り口へ忍び足で向かった。
するとそこには、さっきまで松山さんが着て俺が見ていた服が、綺麗にたたまれて置かれていたんだ!
と、いう事は、当然この中の松山さんは・・・裸。
俺は信じられず「嘘だろ?」と呟きながら、松山さんの着替えをそっと一枚一枚めくって確かめてみた。
熱いくらいに感じる生々しい暖かみと一緒に、スカート、セーター、そしてその中に挟まれるようにして・・・。
今まで想像した事だってない、見れるとは思わなかった松山さんの下着類があった。
俺はマズイとは思いつつも確かめたくて、その怖いくらいに白いパンティらしき布をちょっと摘んでみた。
そしたら、ツルッとしたとてもソフトな触り心地の生地に、松山さんの体温が残ってる。
他にも、縮んで靴下みたいになってるベージュのストッキングや小さめのブラジャーなど、松山さんの秘密の部分を隠す物が全てあった。
俺はもう混乱と緊張で、何が何だか判らなくなりそうだった。
歴とした一家の母親が、余所の男の前で風呂に入るなんて。今、この扉を開けられたらどうするんだ。
同じく曇りガラスの扉の向こうには、スレンダーな身体のラインがクッキリと浮かんで見える。

「まずいよ、まずい・・・」

もしかしたら、松山さんは本気かも知れない。
本気で俺に特別な事をしてくれるのかも知れない。
そんな事求めてなんか無いのに。
俺はこのまま帰ってしまおうかとも思った。
でも、ここで逃げたら松山さんの思うつぼ・・・負けになるんじゃ、と悔しい思いで動けなかった。
シャワーの音に、さっき見た下着の白さが重なる。
オトナの服の下は、ああだったんだ・・・。
その時、シャワールームから漏れていた水滴の音がピタッと止み、俺は慌ててベッドへ戻った。
そうだ、シャワーを浴びただけかも知れない。あんな大きな息子がいる人だぞ?
しかし、心臓の高鳴りを抑えきれずにベッドで座っていると、しばらくして松山さんは身体にバスタオルを巻き付けただけの姿でやって来た。
当然飛び出る俺の目ン玉。
初めて見る松山さんの膝から下は、そこだけは若い女性のように、とても綺麗だった。

「替わりましょ」
「え、え、俺は・・・」
「ダメよ、シャワーは入らなきゃ」

子供を言い含めるように言って松山さんは枕元に座った。
身体のラインが、肉付きの一つ一つが、もの凄い刺激として俺の脳ミソを直撃する。

「さあ、早く」
「も、もういい加減に・・・」

こんな事やめよう、とうまく言えない俺に、松山さんは、

「なに言ってんの、特別な事して欲しいんでしょ。だから早くったら」

と、相変わらずふてているような声で急かした。
しかしそれに従うわけにはいかず、かといって逃げる事も出来ず、俺はベッドから動く事が出来なかった。

「もう・・・。じゃシャワーはいいわよ。とにかく服脱いで」

すごい事を言うおばさんだと思った。
どうすればいいんだ・・・。このまま松山さんとセックス? するのか・・・。
しかし、そう思ったところで俺はまた「これってラッキーな事」じゃないかと思った。
どうせ関わり合うのは今日が最後なんだ。やり逃げしちゃえばいいんじゃないのか?
恨みのある女にチンコぶち込んでからやめる。最高のラストじゃないか、と。
そう開き直ったとたん、松山さんの身体がさらに生々しく見えた。目尻の皺や垂れた肉だって、してはいけない相手の証みたいなものだ。

子持ちの人妻とヤレる、いいじゃないか。

初めてでもヘタでも、どうでもいい。
俄然やる気になった俺は上着を脱ぎ、トレーナーの裾に手をかけた。

「脱げばいいんだよね」
「脱がなきゃ出来ないじゃない。脱がずにするの」

俺はトレーナーを脱ぎ捨て、ズボンも素早く脱ぎ捨てた。
もちろん恥ずかしくはあったんだけれども、気にしてたらまた馬鹿にされる、と。
Tシャツも脱いで上半身裸になった頃から、松山さんの視線が俺に注がれるのが判った。
やっぱりどっか怯えてるような、戸惑っているような目つき。
最後トランクス一枚って所では流石に手が止まり、

「脱ぐよ?」

と聞いてみたけど、松山さんは慌てて目を逸らし、どうでもいいように頷くだけ。俺は思いきってパンツを脱いだ。
でもその瞬間思ったんだ。
そういえば、今のあそこの状態はどうなのだろう? って。
松山さんに気を取られて自覚してなかったが、俺のチンコは緊張のためか、ポロッと太股にしなだれただけだった。
何となく格好悪い思いを抱きつつ松山さんを見ると、松山さんは真面目な顔で俺の股間を見つめた後、すぐに俯いた。

「脱いだよ」
「うん」
「・・・」
「・・・」

微妙な間が二人だけの部屋を包む。
ちょっと気になってベッド横に添え付けられた鏡を見ると、素っ裸の俺とバスタオル一枚の松山さんの後ろ姿が写っていた。
この場面で見ると、見慣れた俺のペニスだってグロテスクに思える。

「ま、松山さんは?」
「うん、待って」

顔を紅潮させている松山さんは、タオルを掛けている胸元へ手を持っていった。
こんなおばさんが俺の前で裸になるなんて信じられない・・・。
喉がカラカラになって「ング、ング」と唸りながら見つめてると、松山さんはタオルを解き左右に拡げた。
直後目に飛び込んでくる、松山さんのバスト。
小さいのは判ってたけど、直に見ても確かに小さく、その中央に大きな乳首がポツンと二つ付いてる。
乳首の色合いや形に松山さんの歳や経験を感じながら下半身を見ると、なんと松山さんはバスタオルの下に下着を穿いてた。

「うん。ちょっと・・・恥ずかしいから」

さっきは解らなかったけど、松山さんのパンティは結構ハイレグになってて、前の部分は黒いヘアが透けてる。
意外なエグさにビビってしまったのと同時に、プライベートを一つ知れたような気がした。
松山さんって、こんなパンツ穿いてたんだ・・・と。
ベッドの上にバスタオルを置いた松山さんは、ちょっとだけ俺の視線を気にする様子で下着に手を掛け、それを下ろした。
スリムな割にたっぷりとした太股から布が滑り落ちると、股間にはぼうぼうに茂った陰毛。
これで仲の悪い二人は密室の中、全裸で向かい合ったんだ。



そうなればする事は一つ、なんだけど、俺は経験が0なためどうしていいか分からない。
それに相手は人妻。どう扱っても良いような身体ではないんだ。
ここは当然松山さんが、ずっと長く生きてきた自分の身体をどう扱えばいいか、教えなくてはいけないと思った。
そんな俺の気持ちを察するように、

「近くに来なさいよ。離れて出来るの」

と、ひねくれた言い方で俺を側へと誘う。
俺は大人しくそれに従った。近くに行かないと、松山さんのアソコが見えないから。
近くに寄ると、想像以上に松山さんの身体は華奢だった。お肉が垂れ始めてるから尚更だ。

「緊張してる?」
「いや、別に」

本当は最高に緊張しているんだけれども、俺は意地っ張りに虚勢を張った。
だって、そうでもしなくちゃ、このおばさんに軽くあしらわれて処理されてしまいそうだ。
そんな俺を胡散臭げに眺めながら、松山さんは細くて長い指を俺のペニスに、断りもなく添わした。
驚いて飛び跳ねてしまう俺・・・。

「じゃあ、なんでココはおとなしいままなの?」
「そりゃ、松山さん相手だし」
「・・・・・・」

怒って言い返してくるだろうと思ったのに松山さんは何も言わず、ちょっと拗ねた顔で俺のオトコを見つめた。
そして、ゆっくりと指を動かし、尿道を拡げたり、そこへ指を入れようとしながら亀頭をいじくる。
そんな事をされたら、シンボルが勃起を始めるのは当然だった。
ゆっくりと、だんだんと硬く、恥ずかしいぐらいにニョキニョキと持ち上がりながら。
その様子を見て松山さん笑うんじゃないだろかと思ったが、松山さんは表情を変えず、ソフトな手つきで俺のチンコをなぞり続けた。
やっぱり手慣れてる・・・。
俺は為すすべもなくその手の動きを眺めるだけだった。
そして松山さんは駄々っ子に言うみたいにこう言ったんだ。

「素直になりなよ、生田君」

言ったとたん、俺からちょっと離れて上半身を屈ませ、俺の腹の前へ頭を持ってきた。
松山さんの後頭部や背中が真下に見えるその体勢に、俺の全身の筋肉は強張る。
フェラチオ。
主婦には当たり前なのかも知れないが、童貞にはあまりに速すぎる刺激の連続だった。
松山さんが手で固定した亀頭の上を、味わった事のない、ナメクジが這ったようなぬるっとした感触が走ってく。

「や、やめ・・・」

あまりのこそばゆさに怖くなり、やめてと言おうとしたが、言い切れなかった。
松山さんはそんな俺に構わず、尿道を中心に舌だけで俺のチンコを責めてくる。
素っ裸の身体にしても行為にしても、これが会社のみんなに慕われている松山さんの姿だとは思えなかった。
触れ合いからくる直接の快感と、それを松山さんがしているという興奮。いつも何気なく見ていた唇が、俺のそこに触れられているんだ。
俺は本当に怖かった。
俺のチンコはどれ程の物なのか判らなかったから。
他人にそんな行為をされて、どれくらい耐えられる自分なんだろう、と。
悲しい事に、その答えはすぐに判った。

「松山さんっ、やめてっ!」

俺は恥も捨てて叫んだんだけれども、信じられないくらいの速度で射精が始まり、小便のような精液がアッという間に尿道を突き抜けていった。

「ん」

それを察した松山さんは顔を離し、俺の肉棒を素早くしごいてくれる。
それはもの凄い、もの凄い快感。
でも俺はその快感に身を任せる余裕なんか無く、格好悪さと松山さんに対する申し訳なさでいっぱいだった。
松山さん、いきなりで避けられなかっただろうな・・・。
射精を続けるチンコに目を向けると、いつの間にか松山さんは亀頭の前にもう片方の手を置き、飛び散る精液をブロックしてくれてた。
しばらくして快感は退いていき、情けなさが残る。
体を起こした松山さんを見たら、口元にはやっぱり青白い液体が付着してた。
そして真面目な顔をして、

「うそ・・・どうしたの?」

って聞いてきたんだ。
あんなに強がってた俺が、こんなに簡単にイッてしまったのが信じられないみたいだった。
何も言えない俺。
手に受け止めた精子を気にする松山さんとの間に、すごく気まずい空気が流れた。
・・・そりゃそうだ。ここまできたら「やって」すっきり全てを終わらせるのが一番だったのに。
松山さんは多分、最悪に俺を馬鹿にしてるだろうと思った。
裸なのに、オマ○コも見ずに・・・俺のバカバカバカ・・・・・・。

「ねぇ」
「・・・」
「ちょっと、生田君」
「・・・・・・」
「生田君、こういう事、経験あったの? ねえ、教えてよ」

小さい子に語りかけるような松山さんに、俺は情けなくて悔しくて、「ないっ」と大声で叫んでしまった。
そしたら、

「うん、それじゃあ仕方ないじゃない。・・・もお、最初に言わないから・・・」

と、最後は何かブツブツ言って、ゆっくりとベッドに上がっていったんだ。



「ほら、おいで。ちょっと休も」

振り向くと、ベッドに寝そべった松山さんが枕元のティッシュで手を拭きながら、手招きして俺を誘っていた。
その後ろにある鏡には彫りの深いお尻が映ってる。
俺は倦怠感と恥ずかしさに包まれながら、松山さんの横へ寝そべった。

「ふふ、そうなんだ。生田君、童貞だったんだ。ふふ、童貞く~ん・・・」

香水でも付けていたのだろうか。松山さんからは少し鼻につくオトナの香りが漂ってきてた。

「童貞? 童貞。 ウフフフフ」
「・・・人種みたいに言うな」

俺は松山さんと目を合わす事が出来ず、天井を見上げながら呟いた。

「いいじゃない別に。恥じる事じゃないんだから」

そういってまた松山さんは「ウフフフフ」と笑った。
面白そうに俺の顔を眺めてくるのが、どうしようもなく恥ずかしい。
さっきまではあんなにふて腐れた様子だったのに、今はホント楽しそうな笑顔。
やっぱり簡単にイッてしまった事で「勝った」とでも思ってるのかも知れないと思った。
でも、もうどうでも良かったんだ。
松山さんは俺を射精させた事で終わったと思ってるだろうし、俺だってこれ以上・・・。
その時点で怒りは抜けていたんだから。
と言いつつ、やっぱり女の裸は気になったから、あまり露骨にならないよう横の松山さんをチラチラと見てた。
見慣れた人の裸って、服を着た状態しか知らないわけだから、すごく違和感がある。
松山さんの身体はやっぱり「衰え」って言葉が浮かんでしまうような身体だった。
ちょっとだけ膨らんでおっぱいに、黒ずんで丸く大きな乳首、俺のとは好対照なのっぺりした股間・・・。
そこだけ見れば、間違いなく女であるのは分かるんだけれども。
俺はその裸を見ながら思ったんだ。
多分、松山さんとデキるチャンスなんて、これが最初で最後なんだろうなって。
別にやりたいとか思ってた人じゃないけど、折角ここまで来たなら・・・やりたかった。
おっぱい吸ってみても良かった。オマ○コ見て自慢したかった。
そう残念がった時、松山さんがこう言った。

「うちの人に電話しちゃおうかな。今日、若い子の童貞もらっちゃったって」

俺は驚いて松山さんの顔を見た。
多分、今まで会ってから一番近い顔の距離で。

「もらう?」
「え? しないの!?」

俺が「だって、もう出しちゃったし・・・」と言うと、松山さんは可笑しそうに笑い、

「もお、若いんだからもう一回くらい出来るでしょ!」

と、叱るように言ったんだ。
その言い方には、さっきまでの怒りが全然感じられない。事務所で軽口を叩いていた松山さんそのものだった。

「しても、いいの?」
「しょうがないじゃない。裸になったのに、このまま終わりって訳にはいかないし」
「セックス、いいの!?」
「・・・いいって言ってるんでしょ。起きてんの」

はっきりとは言いにくそうな松山さんのその言葉を聞いて、俺は憂鬱が吹き飛ばされるような気分だった。
セックスが出来ると判って、興奮しない奴なんていないと思う。
でも、心配でもあった。
あんなに簡単にイッてしまって、またすぐ出してしまったらと思うと・・・。
いや、それは大丈夫なはず。
誰かが言っていた。仏蘭西方面では、まず一度イッておいてから「二回目の持続力」を活かして行為に及ぶ伝統があるのだと。

「気にしなくてもいいわよね。悪い事するんじゃないんだから。ちょっと愛し合うだけじゃない・・・」

内緒話みたいに囁いてくる松山さんに、俺は頷いた。
初体験の相手は年上がいいと思ってたけど、まさかここまで歳の離れたおばさんになるなんて。



仕切直し。
今度は明確な目的があるからやりやすいと思ったとはいえ、ベッドで向き合い、まず最初に何をすればいいのか分からない。
普通キスからなんだろうけど、相手が相手だけに・・・。
俺はちょっと悔しかったが、松山さんに任せるしかないと思った。

「あの、松山さん・・・どうすれば」
「ん、すぐ出来る?」
「うん、多分」
「多分なの?」

松山さんに視線を向けられた俺のチンコはまだ眠っている。
でも、体力的には大丈夫なのは分かっていた。

「じゃ、私が起たせてあげる。あなたも・・・生田君も私の、見るでしょ?」
「ん、うん」
「それじゃあ」

そう言って松山さんは俺の腹の上に一度乗り、それから逆向きになって俺を跨いだ。
俗に言うシックスナイン。
わざとかは分からないけど、松山さんが俺の顔へ向けて小振りなヒップを突き出すと、あまりにも簡単にそれは目の前へ広がった。
太股とは違ってくすんだ肌の股間に唇みたいなオマ○コが、その上には皺しわのアナルが。
それは、あまりにも衝撃的な光景だった。

「また出そうになったら言ってよね。生田君?」

オマ○コの左右の肉はクネクネしながらもピッタリとくっつき、一センチ程の幅で真っ直ぐな割れ目を形成していた。
歳の割に綺麗なのかも知れないけれども、これはやっぱりグロテスク、それにケツの穴まで・・・。
俺は返事が出来る余裕なんて無く、ただ目の前の現実を見るばかり。
その時、ちょうど視覚からの興奮が伝えられそうだったチンコに、松山さんの舌が触れられたのが分かった。
その刺激に、俺もこうしちゃいられないと両手でケツを持って左右に拡げる。
もちろん、中が見たかったからだ。
松山さんのオマ○コは徐々に広がり、アコーディオンのように軟らかく開いていった。
そして現れた内部を見た時、俺はチンコをくわえてくれている松山さんに思わず「止めて」と叫んでしまったのだった。

「・・・どうしたの、もう出る?」

恥ずかしい部分を全部見せてる人間が話しかけてくるのが信じられない。
松山さんの内部は全体がぬめっていて、青紫色というのか、血が巡っているのが判るような物凄いグロテスクな色合いをしていた。
その肉壁の中に、軟らかそうな肉の穴がある。
俺はなんだか、頭が真っ白になってしまいそうだった。
グロテスク、気持ち悪い・・・。
女にとっちゃ、これが普通なんだろうけど。
しかし、俺のチンコや脳ミソは、怖いくらいに興奮していた。

「どうする? もう、すぐした方がいい?」

俺を心配してか、ちょっと焦った様子で松山さんは尋ねてきた。
俺は素直に頷く。そして、

「コンドーム」

と、言った。
ベッドの枕元にはサービスなのかコンドームが二つ置かれており、俺は以前ここに来た時それを知ったんだ。
松山さんは俺が教える通りにコンドームを取り、慣れた感じにそれをチンコへかぶせてくれた。
松山さんのお腹をガードする、薄くて頼りなさそうなゴムを・・・。
装着し終えると松山さんは俺の横へ正座して座り、俺も慌てて起きる。

「やり方、分かる」
「うん。分かる」
「そりゃ分かるわよねぇ」

俺の目を見て笑いながら、松山さんはベッドの中央へ寝ころび、M字形に大きく脚を開いた。
なんという、なんという無防備な姿だろう。
ベッドの横の鏡にはそんな松山さんの横半身が、枕元の鏡には開かれた股間の前でマヌケ面で正座する俺の姿が映っていた。

「男らしいとこ見せなさいよ」

その言葉に俺の全身は奮い立つ。
大きく開いた脚と、ぱっくり開いたオマ○コ。
その姿に、今まで見た松山さんの姿が重なるかのようだった。
---マジメな顔して事務処理する姿
---職場のみんなに囲まれ、楽しそうに話す姿
---背の高い息子の車に乗って、買い物に行く姿
なんだか、そんな奥さんとセックス出来るって事は、男冥利に尽きるって気がしてきた。
今、このおばさんは俺の物なんだ。
俺はチンコを包むゴムの根元を引っ張るようにして、縮れ毛が生えた肉の割れ目へ亀頭を合わせた。

「いくよ」
「早く、待ってるんだから」

経験の多さを感じさせるそこへ向かって、俺は腰を一突き!
場所が合ってるか心配だったけど、松山さんはたっぷり濡らしてくれてたから、うまい具合にチンコは松山さんの中へと埋まっていった。
ズブズブ、ズブズブと。
ホントに入った! こんなに入るのか! と素直に感動しつつ、穴内部の肉感や締め付けに驚く。
俺の太股と松山さんの太股がピッチリ合わさったのは、すぐの事だった。

「あ、んぅ~ん!」

全てが埋まると、松山さんが今まで聞いた事ないような色っぽい声を上げた。
チェーンみたいに繋がってるそこから視線を上げると、俺の顔をジーッと見つめる瞳。
俺は我慢出来ず、襲いかかるように松山さんの上へ身体を重ねた。
すると松山さんは、華奢な身体からは想像出来ないような力で俺の肩を掴んでくる。
そんな事されて燃え上がらない俺じゃない。
横の鏡には二人が重なってる姿が写り、俺がヘコヘコと腰を動かすと、そのやらしい動きがはっきりと見て取れた。

「あん、あん、あぁっ!」

腰を当てる度に上がる松山さんの声に負けないよう、俺は力強く突いた、突いた!
颯爽とした雰囲気さえ持ってた松山さんが、こんな声を出す人だとは思わなかった。
・・・人間って分からない。
途中、内部の深さや構造が知りたくて、深く入れたまま腰を回し子宮らしき奥の壁をグリグリとしたんだけど、それにもシンクロして声を上げてくれた。

「気持ちいい? ねえ、気持ちいい?」

喘ぎを少し止め、耳元で松山さんが聞いてくる。
俺は素直に「うん、うん」と頷いた。
すると松山さんは、更に強く俺を胸に抱きしめる。
その圧迫感も、チンコへの圧迫感も、まさに初体験。
そうして我慢出来なくなった俺は、松山さんに一言告げ、二度目の射精を開始したんだ。

「あ~ん・・・」

松山さんの悩ましい喘ぎ声の中、俺は不思議な程冷静に絶頂を感じてた。
目の前や横にある鏡を見て、二人が重なってるか確認しながら。
全部出し終えてしばらくするとまた、

「気持ちよかった?」

と聞かれ、頷いた俺から松山さんはコンドームをゆっくりと引き抜いてくれた。
これで童貞じゃなくなったんだ。
嬉しいような淋しいような不思議な脱力感に包まれて時計を見ると、

「ゲッ! 入れてから五分も経ってない」

俺は更に激しい脱力感に襲われ、ベッドの上へ大の字に寝ころんでしまった。



そして。
俺と松山さんは交互にシャワーを浴び、服を着た。
終わってからというもの俺は照れくさい気持ちで一杯だったんだけれども、松山さんは妙にはしゃいで嬉しそうな様子だった。
しかし、そこは主婦らしく、

「ね、ここお金はどうやって払うの」
「ああ、そこのパイプからスポーンて。あ、俺が払うから」
「ううん、ダメダメ。高校生に払わせられないわよ」

なんて、現実的な話もしたり、俺の身体の心配もしてくれたり。
そして余った時間はベッドの上で談笑。
した行為が行為だからか「嘘つき」な松山さんはそこに居ず、いつもなら絶対に聞けない社員への文句や学生バイトへの愚痴、あと二人の息子の愚痴なんてのも聞けた。
そんな接し方の変化が単純に嬉しかったのは事実なんだけれども・・・。

「ね、松山さん。俺、早いよね」
「なにが? え? ああ、出るの・・・そんなの関係ないよ」
「早いよね」
「うん・・・。でもこれからだもん、生田君は。いっぱい経験を重ねていけば、ね。心配すること無い! そんな事より・・・」

曖昧に頷く俺の肩を松山さんは抱き寄せ、

「帰ってこようよ。ね」

と、優しく言ったんだ。
俺は最初、何を言われたのか分からなかったんだけれども、

「私も上手く接してあげられなかったのは認めるし・・・。今度はそんな事無いから、ね、ね?」

と言われて、バイトの事を言っているのだと気付いた。
そうだった。所長に怒られて飛び出したのが元になって、この場所に居るんだ。

「所長さんにはうまく言ってあげる。だから」

俺はコクンと頷いた。
こんなにも優しくしてくれる人がいるのに、これ以上意地を張るのは恥ずかしい気がしたから。
でも、それでも気になる・・・早漏。

「なあに。そんなに気になるの」
「うん・・・」
「大丈夫。所長さんだって反省・・・・・・え? なんだ、そっちの方」

松山さんはおばさんっぽく笑って俺の肩を叩き、そして、アッケラカンとした顔でこう言ったんだ。

「じゃあ、私が経験積ませてあげるからさ」
「え?」
「そんなに驚くこと無いじゃない。慣れて大丈夫になるまで、私が相手しましょ。ね?」

松山さんが経験を積ませてくれる。
その言葉の意味が判るまで、俺は少し時間がかかった。

「イヤなの!?」
「い、いやじゃないよ!」
「フフ、じゃそういう事で」

俺は松山さんのスカートを見ながら、旦那さんのことや息子さんのことを思った。
単身赴任中に妻が浮気・・・?
母親が自分より年下の高校生と浮気・・・?
背徳的なシチュエーションがすごい興奮を伝えてくる。
でも、なんでそんなに松山さんは俺なんかを・・・。

「そりゃ一応、責任感じてるもん」

そうなんだ。
松山さんは歳の割にとても話しやすく、いい人だったんだ。
ちょっと感動しながら改めて松山さんの全身を眺めてると、またチンコが勃起してくるのが分かった。
それを察したのだろうか、

「まだ出来る? なんなら、もう一回してみる?」
「・・・うん」
「じゃ早くしなきゃ。時間もう無いでしょ。早く脱いで、脱いで」

急かされるまま俺は素早くズボンを脱ぎ、チンコをさらした。
短時間に三回目なのが信じられないくらい、それは硬く天井を向いている。
松山さんはスカートを脱ぐもんだとばかり思ってたんだけれども、下着類を降ろしてベッドに投げただけだった。

「時間無いから、立ったままで」
「うん。じゃ、コンドーム」
「そんなの着けてる時間無いって。早く早く」

思いっ切り焦らすような声で、松山さんは壁に手を突き、俺を誘った。
コンドーム着けないなんて冗談じゃない、でも時間がない・・・。
俺はしばらく迷った末、ケツを向けて待ってる松山さんの背後へ走った。

「大丈夫、うちのお父さんだって、無頓着にするから」
「今もしてるの」
「たまによ、たまに。・・・イヤだ、もう」

珍しい松山さんが照れる姿。
ナマでして外で出せという事なのか、中に出しても良いと言う事なのか・・・。
松山さんの年齢を考えると安易に結論が出せず、俺は念のためもう一度、このまましていいのか訊ねた。

「いいわよ、外に出してくれれば」
「分かった」
「気を付けてよ」

今度こそって思いが強くなるこの状況に、俺は緊張しながらスカートを捲り上げた。
すると硬くなったチンコの目の前に、小振りなヒップが立ちはだかる。
すぐに場所が解らなかった俺は、松山さんの手に導かれながら、軟らかい体内へ二度目の突入を果たしたのだった。

「あんっ、生田くぅん!」
「松山さん!」

さらに激しくなったよがり声の中、しばらくのピストン、そしてフィニッシュ。
見事ギリギリでチンコを抜いた俺は、愛液でテカってるそれをしごきたて、松山さんのケツの上へドクンドクンと射精した。
さすがに三度目ともなると、気が遠くなるような快感だった。
そして下着を穿き、部屋を後にする二人・・・。

「間にあって良かったね」

・・・。



それから・・・。
つつがなくバイトに復活した俺は、入った頃と同じように真面目に仕事をこなした。
松山さんが味方についてるおかげで周りの評価は急上昇、時給だって30円UP。
あの日以来、例えばミスを犯した時や他の人と喧嘩になっちゃった時、決まって松山さんは俺の味方になってくれた。
この前だって、テスト期間中バイトに出てきた俺のためだけに、軽い食事を作ってくれたり。
贔屓って元々嫌いだったのに、松山さんの場合なら優越感を持って迎えられた。
俺は思う。
結局の所、以前の俺は松山さんにとって対等な人間とは思えなかったんだ。だから軽んじられた。
でも今は違う、と。
中には、あんなに仲の悪かった二人が急に仲良くなった事を不思議に思う奴らもいたけど、仲直りしたと言えばそれで納得した。
こんな幼い高校生と、成人した息子のいる事務員が関係を持ってるなんて、誰も思うはずがないんだ。

「・・・松山さん、松山さん」
「ん?」
「今週」
「・・・うん。いつもの所で。成果見せてよね」

俺達は毎週土曜日になると、あのホテルの一室でエッチを重ねた。
名目上は性のレッスン。早漏直し講座。
なんだけれども、どちらかといえば先生の方がエキサイトする方が多かったように思う。
何度も経験を重ねるうち徐々に持続時間も延びていき、そして、三月のある日。
二人で一応決めた、レッスン修了の日がやってきた。
いつもの通り俺は裏路地を経由し、松山さんは買い物を装って裏口から別々にホテルへ入り、部屋で落ち合う。
二人っきりになると、お互い名前を呼び合う仲になってた。

「じゃ崇君。10分持たせたら合格だから」
「うん。頑張る!」
「頑張んなね」

フフっと笑って、松山さんはベッドの上で四つん這いになった。
いつもなら本能に任せて挑んでいくけど、今日は『テスト』なんだと思うと、身が引き締まる思いだ。

「コンドームは?」
「うぅん、いいわよ」

俺は枕元の避妊具を手に取ろうとして、戻した。
何度かのレッスンの中では、緊張感を出すためわざとナマでする事もあった。もちろん、中に出しちゃダメって断り付きで。
しかし、そこは敏感な俺のこと。
失敗して松山さんの中に射精してしまう事も、数度。
その度に気まずい思いをし、寛容な松山さんに出会ったんだけれども・・・。
だから二人とも、生身でする事にもう抵抗はなかった。
俺は剥き出しのチンコを何度かしごいて気合いを入れると、松山さんのケツを見下ろす。

「早く、崇君」
「ね、松山さん。もし10分持ったら、どうする?」
「そりゃあ何かご褒美上げるわよ。何がいい?」
「一度、中に思いっ切り出してみたいな。失敗したとかいうんじゃなくって」

すると松山さんは真面目な顔をして、

「うん。二回くらいまでなら・・・別にいいわよ」
「あと、おしっこも見たい」
「それはイヤよぉ」

そして俺と松山さんは繋がった。
このセックスに今まで愛し合った全てが反映されるのだと思うと、自然と力も入る。
しかし焦らないよう、時折天井の柄を眺めて松山さんの声と感触から気を逸らしながら、俺は頑張った。ムチャクチャ頑張った。
何度肌と肌をぶつかり合う音を響かせた事だろう。
もうそろそろ限界が近いと悟ったその時、枕元のデジタル時計を見ると、いつの間にか目標の時間はオーバーしていて・・・!

「やった! 持った!!」
「やったじゃない、崇君!」

俺は喜びを松山さんに伝えようと、フルスピードでピストンを開始した。
華奢な松山さんが壊れてしまいそうな激しいファック。
松山さんはそんな俺の本能を、まるで小娘のようなよがり声と熟女らしい腰使いで受け止めてくれた。

「イク、イクよ!」
「うん、来て、遠慮しないでいいから!」
「うわぁっ!!」

永遠とも思えるような絶頂時間。
出し切った俺がケツを離れてベッドへ座ると、同じく座った松山さんは、垂れ流れてくる俺の戦果を見せつけるように大きく股を開いた。

「合格?」
「合格!」
「じゃあ、今日で終わり?」
「ダメよ、まだまだ教える事はいっぱいあるんだから」

優しく叱るような声で言って強く抱きしめてくる松山さんに、俺はキスした。

「じゃ、全部教え終えたらどうする?」
「そしたら、あなたが私を教育する番じゃない」

松山さんはハッキリと俺が必要だとの意を示してくれる。
俺も松山さんと同じ気持ちだった。
すれ違いやひがみから始まった付き合いだけど、だからこそ、強い繋がりが生まれたのかも知れない・・・。
なんて事を、抱きしめる腕の強さに思うんだ。



END

小説(転載)  彼女は嘘つき  上

官能小説
01 /05 2019
高校に入って一年。
金欠で困っていた俺はある日、バイトをしようと思い立った。
ま、健全な高校生活を送るには数千円のわずかな小遣いじゃ足りなかった訳だ。
思い立ったらすぐ決めずにはいられない俺は、チラシや情報誌や周りの情報を元に、ある運送会社に的を絞った。
そこは時給は高くないんだけれども、高校生もとってくれるって話だった。
早速、さして書く場所もない履歴書を手に町中の一角にある事務所を尋ねると、太って脂ぎったそこの所長は即OKをくれた。
世間の評価? とは裏腹に、この所長は「高校生=素直で使いやすい」と思っているらしかったんだ。
あっけなさに緊張がほぐれ、いずれ手にするであろう札の束を思いホケーッてしてると、こちらを気にするようでもなく事務処理をしている女性が目に入った。
歳はそう、俺の母親と一緒か、もしかしたらもうちょっといってるかも知れないくらいの、おばさん。
俺に見られている事に気がついたのか、その女性は少しだけこちらを見て、また机の上に目を落とした。
ニコリと微笑みかける訳でもなく、真面目そうな表情・・・。
それが彼女との出会いだった。



その会社の仕事内容といえば、届ける荷物を整理してトラックに積む、仕分け作業が主だった。
最初は緊張して戸惑いとかもあったけど、だんだん上の人が言う事も頭の中に入っていき、それなりにこなせるまでそんなに時間はかからなかった・・・と思う。
ちょうど同時期、他の高校からも二人バイトに入って来てて、そいつらよりもマシになるまでは早かったんじゃないか? こんな事思うのはどうかと思うんだけれども。
休みの日や学校帰り、春先のまだ寒い空気の中を外に出て、ジャンパーを羽織りながら作業するのは身体に応えたけど、この結果がお金に結びつくんならと思うとそう苦痛でもなかった。
すぐに仲良くなった他校のバイトはよく愚痴ってたけど、「新人のクセに」とか「最近の高校生は甘えてる」とか思われたくなかったし、お金をもらうって事がそんなに甘くない事なのは俺なりに分かってたつもりだ。
そんな俺を上の人や周りの人はよく理解してくれて、

「生田君は幼く見えても真面目にやってくれる」

と、誉めてくれたりもした。
・・・そう、俺は身長も高くなく、体重も重くなく、顔も老けてなく、多少子供っぽく見られる事が多かった。
同時期に入った他のバイト高校生と比べても、だいぶ子供に見えただろう。
それが分かっていたから余計に「甘えてる」とか思われないように頑張ったんだ。
しかし、そんな努力を分かってくれない人もいた。

「・・・また生田君?」

バイトに限らず、社員のおじさん達だって、たまには荷物の積み間違いだとか小さなミスを犯す。
それぐらい当たり前だから、ちょっとしたミスでなじる人はいなかった。
しかし、だからと言って、失敗しても良いだなんて思った事はもちろんないんだ。
失敗すれば誰かに迷惑がかかるのは当たり前。業務上のミスは他のバイトや社員の人と比べたって少なかったハズだ。
・・・それなのに。

「もぅ、しょうがないのねぇ」

可笑しい、といった感じにみんなの前で笑うのは、ここの事務員である松山さんだった。
松山さんはここではただ一人の女性で、いつも事務所に居て事務処理をしている人だ。
結構背が高く、ほっそりとしていて、ロングのスカートが似合う、まぁ・・・割と美人なおばさんだった。
俺はこの人は最初三十代だと思っていたが、上の人に聞くと実際はもっとイッてるらしく、でも最初に見た冷たい印象とは違い気さくな性格らしくて、俺達とも気楽に接してくれていた。
もちろん最初は俺も、みんなと同じようにいい人だと思ってたんだけれど・・・。

「またって、全然俺間違えないでしょ」
「えー? ちょっと前も間違ってたくせに」

言わなくても、俺には「とぼけちゃって」というセリフが聞こえるようだった。
何故だか判らないが、この人はよく俺に軽口を叩く。
最初は仲良く思ってくれる証拠だと思ってたんだけど、だんだんとそれも、なんと言うか・・・疎ましく思えてきてた。
同時期に入った同年代のヤツらにはそんな軽口も言わないところを見てると、俺だけは認められていないような気がしたんだ。
喋り方だって俺の時は小さな子供を相手にするみたいな感じだった。
だから、

「なんで俺ばっかり・・・!」

なんて事も言っちゃってしまう。

「・・・え?」
「うん、生田君はあんまり間違えんもんね」

近くにいた社員の人が俺の言う事を認めてくれても、松山さんは聞いていないような感じだった。
それよりも、いつもは笑って返す俺が言い返したという事に戸惑っている様子だった。
もちろん俺だってこんな些細な事だけで怒ってる訳じゃない。
ここに入ってもう三、四ヶ月も経っていたのに、ちょっとした場面で感じるこの女性の接し方の不満が溜まっていたんだ。
例えば・・・。
ここに入ってからしばらく名前を覚えてくれず、俺だけいつも「あなた」とか「ちょっと」とかって呼ばれてた。
それをチクッと言ったら面白そうに、

「そうなのよぉ。息子の同級生と名前が似てるから、間違えちゃいけないと思って」

理由もよく解らないが、それからしばらくは俺を呼ぶ時、吹き出しながら呼んでたとか・・・。
他校のバイトや社員の人なんかは業務の事や私的な事を松山さんに気軽に相談したり頼んだりして、彼女も快くそれを聞いてあげてた。
一人だけの女性だから「母親代わり」の側面も持ってるとか誰かが言ってて、まぁそれは良いんだけど、同じように俺が松山さんに何かを頼むと、

「うぅん、いいけど・・・。出来ないかもよ?」

と、あからさまに消極的な返答をくれ、結局何もしてくれない、とか。
「あんまり甘えちゃいけない」からと、他の人と同じ事しか頼まないのに。
オマケに俺から頼み事をされたという事を、みんなに面白可笑しく話したり・・・。
その他、ちょっとした仕事を頼まれる時、同じバイトの中でも俺だけは「やるのが当たり前」てな言い方で、異常に回数が多いとか。
・・・まぁ要するに軽んじられてた訳だけれども、ひがみと思われるのもシャクだし、四十か五十か判らないようなおばさん相手にムキになってもしようがないと、最初のうちは何も言わなかった。
しかし、仕事的な面では真面目で信用できる人でも、俺個人の信頼度はいつまでも低い訳で、不満は溜まる一方。

「えっ? この前間違えてたの誰だっけ、あなたじゃなかったっけ。・・・え?」
「違う違う。生田君は間違えんよ、な?」
「・・・・・・」

もっとも、悪い人じゃないのは分かってるし、普通に話せばこんなに話しやすいおばさんもいないと思う。
見た目はとても上品な感じで、髪はショートカットにパーマをかけたイカにもな感じだけど、今時珍しいロングスカートの裾から見える足首は細くて女性らしくもあった。
俺だってそんな女性、ここでたった一人の女性とは仲良くしたいに決まってる。
うちの高校は男子校だから、[全く対象外]のおばさんでも、家族以外の女性と話すと新鮮さを感じたのは事実。
でも、平等に扱ってくれない・・・。
黙っておいて欲しい事を軽く言い触らし、そのくせ俺が他の人の事を聞くと、嘘ついたりとぼけたり・・・。
上の人や周りは認めてくれても、一人でもこんな態度の人がいると、本当に自分はここのメンバーなのか分からなくなってくる。
そうして何時からか、俺は松山さんと出来るだけ顔を合わせないようにと避けるようになったんだ。



一つ嫌な事があると、すべてが嫌になる。
秋になって外での作業には上着が必要になった頃、俺はバイトに来るのが少し苦痛になってた。
いくら頑張ったって認めてくれてるような気はしない、顔を合わせたくない人もいる・・・。
何度か辞めようかと思ったが、彼女もいない+帰宅部の身分では暇を持て余すのは判ってたから、言い出せなかった。

「あ・・・生田君」
「・・・」

事務所に入った俺を見つけた松山さんが言いにくそうに呼びかけてくると、俺は返事もせず顔を睨み付けた。
そういう態度をとるようになってから、さすがに彼女も俺の名前を間違えたり、どもる事は無い。
また仕事を押しつける気か、と嫌な顔をして言葉を待つと、松山さんは「違うの」とでも言うように慌てて口を開いた。

「あの、この伝票の事なんだけど」
「・・・」
「知ってる? ちょっと前に来た荷物なんだけどさ」
「田中さんに聞いてくださいよ。俺知らないでしょ」
「あ、うん、聞いたのよ。でもね・・・あ、ちょっと・・・」

俺は上の人の名前を出してその場を離れた。
我ながら度胸ある態度だとは思うが、今まで俺の意見なんか二の次にしか扱ってくれなかった人なんだと、皮肉を込めて言ってやったんだ。
事務所を出るときちょっとだけ振り返って顔を見たら、松山さんは困った顔つきをしていた。
ザマミロって気持ちと、ちょっと苦い気分・・・。
でもその頃の俺は、松山さんの顔を見るのも、男ばかりの職場で目立つ女の声を聞くのも、華奢な体つきも、皺の目立つ指先も、わざと強調するような白いスカートだって、すべてが嫌に感じていた。
誰かと楽しそうに話しているところを見るのだって、もちろん。
時には年齢や容姿の事をエサに、学校の友達やバイト仲間に悪口を言う事もあった。
きっとその時の俺の頭には、意味もなく松山さんの事ばかりが入っていたのだろう。
しばらくするとそんな自分もおかしく思えてきて、俺はさらに松山さんを避けるようになった。
別に差別されてたっていい、なんであんなオバサンの事を気にするのか疑問に思えてきてたから。
とにかく、あっちがそう扱うなら、俺も[どうでもいい人間]としてこの事務員を見てやる。
周りの人間はそんな俺と松山さんのたわいのない反目を面白がっているような感じだった。
そして、もっと寒い季節になり・・・。
顔を見せない俺が入ってくるのを待っているのか、帰る時間になってもずっと事務所にいたり。
たまに顔を合わすと、大袈裟なくらいに名前を正確にハッキリと呼んだり。
めんどくさい仕事を出来るだけ俺の所へは回してこなくなったりと、まあ、松山さんも色々と配慮してくれるようにはなってた。
その変化は俺の自尊心をくすぐったんだけれども、露骨な白々しさに折れる気もなく、憂鬱な気分で学校とバイトの往復をこなす日々・・・。
しかし、とうとう二学期も終わろうとしていた一二月、二人は衝突してしまったんだ。



その日、俺は学校で嫌な事があり、いつもよりバイトに集中できなかった。
五時を過ぎると辺りはすぐ暗くなり始め、外は少しの風でも大袈裟に震えられるほどの寒さ。
その頃には後に入ってきた一つ下の高校生バイトもいて、俺はそいつと一緒に作業をしていたんだ。
そいつはバスケをしているせいか背が高く、別の高校ながら俺と話が合い、仕事場で一緒にいる事が多かった。
もっともそいつは俺より年下で新人なのにもかかわらず、松山さんから子供扱いされる事はなかったんだけれども・・・。
その松山さんはその日は休みで、事務所の机の電気は消されたままだった。
作業が一段落つくと、俺たちは自動販売機でホットコーヒーを買い、その事務所に入った。
事務所の中には誰もいなくて、俺は不機嫌な気持ちを隠さず、いつも松山さんが座っている椅子に乱暴に座ったんだ。

「・・・寒いなぁ」
「寒いっスねぇ。冬手当とかって時給に付かねーかな・・・」
「それより基本時給が上がって欲しい」

かじかんだ手をさすりながらふと机の上に目をやると、手のひらに乗るくらいの包みが置かれているのに気付いた。

「あれ、これなんだろ」
「・・・勝手に触らない方がいいんじゃ?」
「かな・・・食いモン?」

俺が何気なくその包みを手に持っていると、運送会社の外で車が止まったのが見えた。
その車の助手席から誰かが降り、こっちにやってくる。

「・・・こんばん、は」

誰だろうと目を細める二人の前に現れたのは、全身を隠すような黒いコートを羽織った松山さんだった。
休憩中のリラックスした雰囲気が一変、俺はいつも通り居心地悪い気分に襲われる。
松山さんは後輩とだけ挨拶のような言葉を交わし、事務所内を見渡して、俺の手の中の物に視線を留めた。

「あ・・・」

俺は慌てて包みを机の上に置いた。
きっと彼女は、この包みを取りにここへ来たのだ。
あからさまに嫌っている人間の持ち物をいじっていた事に、俺は気まずさを覚えた。

「あ、うん、それね。田中さんがくれたのよ。昨日忘れて帰っちゃって」

松山さんは俺ではなく後輩に向きながら言った。
後輩が「中はなんなんですか」と聞くと、松山さんは俺にも聞かせるみたいに、社員の人から貰ったという包みの事を話し始めた。
もちろん視線は後輩だけに向けながら。
俺も当然彼女の話なんて聞く気はなかったけど、意識しない訳にもいかないから、横目で彼女が早く帰らないかと窺ってた。
コートを着た松山さんは年輩らしい貞淑な雰囲気を増して、スレンダーな身体が一段と引き締まって見える。
きっと、浮気なんかとは無縁な人なんだろう。
そんな事を思いながら、なかなか帰らない松山さんと後輩の話を聞いてるうちに、俺はまたモヤモヤと怒りの感情が持ち上がってきたんだ。
俺はわざと声入りの大あくびをして席を立った。

「あ・・・じゃ、外でお兄さん待ってるから」

松山さんが慌てて言い、机の上に近づき包みを取ると、横にいた俺と肩を並べる格好になった。
視線の高さはヒールの分か俺の方が低い。俺はそれを認めたくなくて、つい汚い物から避けるような動作で松山さんから体を離したんだ。
その瞬間、やっぱりというか、松山さんの表情が曇ったのが分かった。

「そうだ、生田君。あなた、倉庫に置いてる荷物知ってる?」
「荷物?」
「うん、同じ入れ物に入れてたくさん置いてるんだけど、それをナンバー通りに整理して直しておいて欲しいって。所長さんが」

久々に口をきいたと思ったらまた頼まれ事。それも、「他の人が言ってたから」という無責任な言い方。
俺の中のモヤモヤとした怒りが、固い物へと変わっていくのが分かった。
もしこれが俺ではなかったら、ちゃんと仕事をする理由を話して「お願い」するクセに!
こんな言い方だと結局俺が仕事を終わらせたところで、「あっそ。私が頼んだんじゃないから知らない」と、ねぎらってももらえないんだ。

「ふん、俺だけはそんな言い方」
「違う。みんなにだって同じように頼んでるわよ、あなただけじゃないって」
「どこが頼んでるって? 頼んでなんかないでしょ!」

俺は松山さんから目を逸らすと、早足で事務所を出た。
こんな人と話したってどうしようもない。
一段ときつくなったような寒さが身体を包み、入り口の方を見ると、松山さんが降りてきた車が見えた。
乗っているのは若い男。「お兄さん」という言葉から、子供なんだろう。
俺は腹立たしさと気恥ずかしさで、とにかく誰もいないところへ行きたかった。

「ねぇ、ちょっと、生田君」
「・・・」
「ねぇ生田君! ちょっと! ・・・何か私に言いたい事あんだったら言ってよ!」

後ろを振り向くと、事務所を出てきた松山さんがすぐ後ろに立ってた。
強くなった風でカールした前髪がおでこにかかり、いつの間にか目は充血して涙ぐんでいるように見えた。
その後ろでは、後輩が「どうしたんだろ」といった様子で首を傾げ、こちらを見ている。

「ねぇ! 言いたい事があるんだったら言って! 黙ってないで」
「・・・何が?」

大人の女、オバサンが怒ると、何とも言えない迫力がある。
俺は剣幕に押されながら聞き返すと、松山さんは手を震わせながら続けた。

「何か不満があるんだったら言ってくれなくちゃ分からないじゃない! ずーっと黙ってばっかり、男らしくない!!」
「・・・何が!!」

さすがにその言葉にカチンときた俺が言い返すと、松山さんは更に言い返し、それにまた言い返し。
大の大人相手に激しい言葉をぶつけるのは躊躇もするけど、俺は気圧されないようにと、松山さんの皺の目立つ顔を見返しながら声を張り上げたんだ。
そして「男らしくない」「差別しやがって、嘘つき」と何度も言い合った後、松山さんは「子供!」と言い捨てて車に走っていった。
・・・・・・なんでだ!
俺の方が一方的に責めなくちゃいけないのに、なぜ言い合いに、喧嘩にならなくちゃいけないんだ!
そんな気持ちで一杯だった。
激しい怒りに立ちつくしていると、「とうとうやっちゃったッスね」っていう後輩の声が聞こえた。



その日、家に帰った俺は・・・。

「お母さん! お兄ちゃんが電話返してくれない~!」
「うるせぇな!」

メシも食わず、部屋にこもって一時間。
事務所のアドレス帳からメモってきた電話番号と子機を持って唸ってた。
・・・電話をかけるか、かけないか・・・。
俺は腹を決めて番号をプッシュした。受話器から無情なコール音が響いていく。

「はい、松山ですが」
「・・・あ、あのー、○○運送のバイトの生田と申しますが・・・」

俺は震える手で電話機を持ちながら、すぐにその家の主婦だと判る声に名前を告げた。
すぐに切られるかも知れない・・・そう心配していると、意外にも相手は少し笑った。

「ああ、はいはい」
「あの、んー・・・・・・今日の事なんですけど・・・。今いいですか」
「あ、うん。いいわよ」

先程までとは打って変わり、松山さんの声はあまり怒ってなかった。
俺は焦らないよう、ずっと考えたセリフを頭の中で繰り返す。
電話したのは仲直りするつもりじゃない、あんな場所で言い合いになってしまった事を謝るだけだ、と。
会社の中で問題なるのは嫌だし、とりあえず部分的に謝っておけば、他の人が話を聞いた時に「こっちは謝ったのに」と言い訳になる、ような気がした。
まぁ、相手は大人、多少臆病風に吹かれたってのもあり・・・。
それと俺の頭には、車に向かって走ってく松山さんの姿がこびり付いて離れなかったんだ。

「その、さっきはすいませんでした」
「あ、うぅん、いいのよ。私もちょっとカッとしちゃって」
「俺も、ちょっと・・・」
「うん、いいのいいの。私そんなのあまり気にしないから。うん」

さっきまではあんなに怒ってたのに意外な程優しい言葉に、俺は心がパーッと明るくなったような気がした。

「でもほら、生田君事務所にあまり入ってこないし、私の顔見てすぐ帰ったりするでしょ? だからね・・・」
「それは松山さんが普通に扱ってくれないから、俺だって喋る気無くなるし」
「そんな事ない、みんな平等に扱ってるのに」
「そんな事ある!」
「・・・ないってば、生田君ー。じゃあ、なに? 例えば言ってみてよ」

どうも松山さんは俺を差別した事はないと言い張る気らしかった。
俺はここぞとばかり、今まで溜めていたモノを吐き出してやったんだ。

「嘘ばかりつくし」
「え、何を? ・・・あれ? でもあれは所長さんとかに言われてしょうがなくて・・・。じゃ聞くけど、どうしてその時「嘘つくな」って言わなかったのよ?」
「すぐ言い触らすし」
「うそ、私言わないわよ何も。言い触らすの嫌いなのに」
「じゃ、なんで松山さんしか言わない事を他の人が知ってる? 俺が他の人の事で同じように聞いた時には、とぼけて言わなかったくせに」
「そ、それはー・・・(よく聞き取れない)」
「同じバイトの相手してても、俺の時は投げやりだし・・・」
「えー、そんな事ないわよぉ! ちゃんと平等に扱ってるって」
「・・・それが嘘だし」
「ホントだって。私、偉いなぁって思ってるんだから。学校行きながらバイトして・・・みんな」
「みんな?」
「うん。あ、もちろんあなたもよ。だから何かできる事があればしてあげるし・・・」
「俺、松山さんに何もしてもらった事ないよ。そのくせいつも俺が迷惑かけてるみたいに言われる」
「うぅん・・・私そんな事言った? でも・・・じゃあさ、みんなに何もしてあげない方がいいって言うの、私」
「そんな事言ってない! なんで俺だけ何もしてくれないのかって言ってるんだって」
「そ、それは、その時の事情によってしてあげられない事もあったかも・・・。あなただけ特別扱いも出来ないでしょ?」
「・・・。名前も覚えてくれないし。俺だけだろ、あなたって言われるの」
「う、うん。それは謝るわよ」

・・・。
開き直りというか、松山さんは自分の言っている事が分かっているのだろうか? って気持ちだった。
要するに、接し方に差はあったけど平等に扱った、と言ってるんだ。さすがオバサンというか・・・。
俺としてはもっともっと強く言い返したかったんだけれども、また喧嘩になるのも嫌だったし、俺の言う事も多少効いてるようであったのでやめておいた。

「だからね生田君。何かいけない所があったら、今みたいに私に言って欲しいのよ。男らしくないって言ったのは言い過ぎたけど・・・ね?」
「・・・」
「言わなきゃ分かんないから・・・ねぇ、聞いてる?」

突然フレンドリーになった先生のような言い方に、俺は曖昧な返事をした。
言わなきゃ分からないなんて・・・。じゃあ、何も言われなくても普通に扱ってやってる他のバイトとか後輩はどうなるんだ。
そういうところが差別だって言ってるのに。
でも、オレはそれを口にしなかった。

「ご飯は食べた?」
「まだ」
「まだなの? お腹減ったでしょ」
「松山さんは?」
「うちは・・・もう終わって、後洗い物だけ」

後ろを振り返りながらそう言ったのか声が遠くなって、そのすぐあとに誰かが歩く音が聞こえた。
さっき車に乗ってた息子さん? だろうか、それともだんなさんだろうか。
俺の頭に、膝をこすり合わせるようにして走っていく松山さんの姿がまた浮かんだ。
そうなんだ。
彼女は結婚していて、俺より二倍以上も生きた立派なお母さんなんだ。
そんな家で柱となる人がどこぞの高校生と喧嘩してるって聞いたら、家族はどう思うだろう。
・・・もういい。言いたいことは言ったし・・・。
いつの間にか「その時の」俺は、松山さんを許してやる気になってた。
決して納得した訳じゃないんだけど、話しているうちに気が紛れたというのか。
その後俺はほとんど聞き役にまわりながら、よく喋る松山さんと仕事の話や世間話をして過ごした。
全然知らなかった社内での話も多く、それはそれで楽しかった。

「・・・じゃ、もうそろそろ」
「あ、うん。ごめんごめん、長く話しちゃって」
「・・・全然。それより、そろそろ切らないと家の人に悪いでしょ」
「あ、うちはいいのよ。息子がいるだけだから」
「だんなさんはまだ帰ってないんですか?」
「うぅん、うちのお父さん単身赴任なのよ」

そうか、だんなさんはいないのか・・・と思うと同時に、俺は少しだけ嬉しくなった。
ちょっとした松山さんのプライベートを教えてもらったような気がしたからだ。
今までだったら、こんな事は絶対に俺には教えてくれなかったはず・・・。嘘ついたりして。
その時、俺の部屋のドアからミシッと軋むような音が聞こえた。

「じゃ、もう切りますよ。妹が怒ってるから」
「あ、うん。おやすみ」

俺は電話を切ると、ひとつ大きな溜め息をついた。心の中の大きな重石が取れたような晴れやかな気分だった。
歳は離れてても大きな子供がいても、やっぱり松山さんは話しやすい人なんだと感じた。

「長すぎっ! どこ電話してんだよ!」
「うるせーな。ほら」

色々釈然としない部分もあるけど、これで明日からみんなと同じように松山さんと喋れる。
みんなの事や色々な事を知ってて頼りになる、割と美人な女性と。
それだけでも良かった・・・と、その時 は思ったんだ。



それからというもの、松山さんの俺に対する態度は明らかに変わった。
ちょっとした事でも気を遣っているのが分かる接し方というのか。
例えば何かを頼まれた時でも、ちゃんと訳を言ってくれて、こっちの都合も聞いてくれて、お礼も言ってくれる。
他の人と一緒に話している時でも、俺を無視しないようにと努めてくれてるのが分かった。
いくらおばさんでも、女性のそんな気配りや笑顔を見るのはやっぱり嬉しい。
でも多少意識が過剰になってる部分もあるらしく、ある時襟が大きく開いた服を松山さんが着ていて、俺がそこを一瞬見てしまったら、次の瞬間には襟がちゃんと直されてた時があった。
俺としては単なる条件反射で、別に中を見たいと思った訳ではなかったのに。
まぁそれでも、俺の見てるとこも意識してくれるようになったんだ、って思えば納得も出来た。
そんな松山さんの変化に、しばらくは俺も満足してたつもりだったんだけど・・・。
時が経つうちに、何か物足りなさを感じてしまうようになっていったんだ。

「おはよう。今朝はすっごく寒いね」
「そうスね、もう手が動かなくて。・・・それ、なに?」
「これ? うん、知り合いからもらった映画の割引券。谷口君が友達と見たいって言うからもらってきたのよ。・・・生田君もいる?」
「・・・ううん」

机の上に置かれてある後輩がもらえるという割引券を見て、俺はちょっと嫌な気分になった。
松山さんが後輩のためにもらってきたと思ったら、自然と・・・。きっと俺も頼めばもらえるんだろうけれども。
そんな気持ちは次第に態度にも出ていって、年が明けた頃には俺と松山さんはまた、あまり会話を交わさない間柄になっていた。
仲直りしたばかりで、周りの人達は仲良く話す俺たちを見て驚いていたというのに。
なんでまた仲が悪くなったか、松山さんは判らないかも知れない。
でも俺にはちゃんと理由が分かっていたんだ。

「おう、生田君。もう上がりか?」

もうすぐ冬休みも終わる一月初め。
俺がひとりで缶コーヒーをすすっていると、社員の人が声をかけてきた。
同じ高校の卒業生で話好きのその人とは、歳もあまり離れてないせいもあり、色々お世話になっていた。

「ハイ、片付けして終わりです」
「そうか。じゃ俺も一休みするかな・・・。松山さん、まだ居たか?」
「・・・さぁ」
「そうかそうか」

その人は事務所に走っていき、しばらくして俺が居る自販機の前にやってきた。

「何飲もかな。お前何飲んでんだ?」
「カフェオレです」
「そうか、じゃ俺も。・・・そうかそうか、生田君は松山さんが『大好き』だったんだよな」
「違いますよ」

自販機から缶を取り出してそれを頬に当てると、その人は俺の横にしゃがんだ。

「でも、なんでそんなに仲が悪いんだ?」
「なんでって、色々ですよ。差別するし」
「差別ってどんな?」
「色々・・・」
「そりゃ生田君の思い込みだろ。なんかはっきりした差別があるんならともかく」

俺は今まで、具体的に松山さんの嫌なところを他人に喋る事はなかった。
悪口を言い触らすみたいだったし、周りはこの人も含め、松山さんを信用している人達ばかりなのだ。
でも、このままじゃなんか悪者にされそうで嫌だった俺は、この人に今までの事を話して見る事にした。
名前を覚えてくれなかった事から始まり、仲直りしてまた話さなくなった事まで・・・。
どうせ判ってくれないと思ったし、話してるうちにどんどん自分が惨めで小さな男に思えてきたけど、もうどうでも良かった。

「で、思ったんですよ。普通に扱ってもらうようになっても、結局はみんなと一緒になっただけなんだよなぁ、って」
「とは?」
「仲直りする前だって松山さんは俺を平等に扱ってたって言ったのに、すごい変わり様で。て事はやっぱ差別してたんじゃん・・・。それが普通になっただけかって思うと、なんか納得できないって言うか・・・。分かります?」
「・・・」

俺が話し終わっても、その人の口からは否定も肯定の言葉も出なかった。
やっぱり、こんなこと他の人に話したって分かってるもらえるはずがなかったんだと、一瞬後悔する。

「そうか・・・。例えとして、こういう事だな?」

そうしたら、しばらく黙っていたその人はいきなり指で丸印を作り、俺の前で数度置く仕草をした。

「誰かが持ってきた・・・松山さんにしとくか。松山さんがお菓子を持ってきたとして、それがこう・・・五個あったとする」
「はあ」
「でも従業員は六人いて、一個足りないと。もらえなかった奴は怒るよな」
「はぁ・・・怒りますか」
「例えばだよ。で、次は松山さん、ちゃんと六個お菓子を持ってきた。それで言うんだ。今度は平等にあげるってな」
「ええ」
「でも一回目にもらえなかった奴は一度損してる訳だろ。だから、二つもらわないと納得できないんだよ。でも松山さんはみんな平等にと一個しかくれないと。もらえなかった奴を特別扱いしないんだ。・・・そんな気持ちだろ?」
「うーん・・・」

合ってるような合ってないような。
俺の気持ちを判ってくれたような、お菓子なんかに例えて、なんとなく遠回しに批判されてるような気もするが、

「そんな感じ、ですかね」
「そうか、そうだろ」

その人は、俺の気持ちをうまく言い当てられた事が嬉しかったようだった。
特別を求める気持ち。それは確かに存在した。
不公平な扱いをされてたんだから、俺を優先してくれても良いんじゃないか・・・。そんな、あんまり誉められない気持ち。

「でも生田君。そんな事なんて世の中にゃ山ほどあるよ。好き嫌いもそうだし、誰しも相手によって対応を変えるってのはやってる事だろ? 松山さんも生田君が幼く見えるもんだから、ちょっと子供扱いしたんだろなぁ」
「やっぱそうですかね」
「気にしたってしょうがないな。でも松山さんは結構、生田君の事可愛く思ってるみたいだったけどな」
「どこが」
「本当だよ。最初の頃なんて、生田君生田君って生田君の事ばっかり話してたし」
「・・・最初はそんなもんでしょ」

と言いつつ、仲直りの電話の時の、はしゃいだような松山さんを思いだした。

「逆に言えば、生田君が気になってたから、ひいきにならないようにと気をつけすぎた、のかも知れない・・・って考えられないか?」
「全然全く考えられない」
「・・・そうだろなぁ。でも本当だぜ。今は知らんけど、生田君が本気で頼めば結構何でもしてくれると思う。・・・あっちの方でも何でも」
「はあ?」
「そりゃあもお、松山さんくらいの女なら手取り足取り教えてくれるぞ。・・・ナマで何回でも出来るよ」
「やめてくださいよ! 気持ち悪い・・・」
「そうかそうか。あはははは。高校生があんなおばさんにゃ女感じないか」
「当たり前ですよ・・・。それに、俺が何か頼んでもしてくれた事がないって言ったばかり・・・」
「そうだよな、そうそう。あはははは!」
「・・・」
「ま、とにかく、事務の人相手にそんなムキになるなよ。ひがみっぽいとモテないぞ・・・」

その人はそう言うと、仕事場へ戻っていった。
最後の方の冗談もそうだけど、松山さんを気にし過ぎている俺を不思議に思っているような様子だった。
確かに、なんで俺はこんなにも腹を立てているのだろう。
唯一の女性だから? みんなに信頼されているから・・・?

「分かんないけどムカツクもんなぁ・・・。あぁ、なんもかんも楽しくない。もぅやめよ。やめよ・・・」

風の音が聞こえるような寒空を見てると、バイトなんてもうどうでもいいと思えてきた。
今まで「高校生だから」だなんて考えちゃいけないと思ってたけれど、周りは高校生としか見てくれないのだ。
頑張ってもしょうがない、と。



続く

小説(転載)  Natural

官能小説
01 /04 2019
ボク達は4人は仲良しです。
遊ぶときはいつも一緒です。
ボク、ケンカが一番強いリョウくん、太ってるけど頭がいい友和の3人が6年生、守くんが中学1年生です。
ボク達は家が近所なので、いつも決まった時間に集まって色んな遊びをしました。
一度みんなで万引きして捕まったことがあったので、お母さん達はボクらのことを嫌いみたいでした。

ボクはよくお母さんから「あの子達と遊んじゃダメ」と言われてました。
でも友達はお母さんより大切なので、そんなこと聞いたりしません。
ある日ボク達が公園で野球をしていると、近所のおばさんが来て「ここで野球をするな」と怒りました。
最初は年上の守くんがおばさんの相手をしてたんだけど、横で聞いてたリョウくんがいきなり怒り出しておばさんを殴りました。
おばさんは大声を出して逃げました。
リョウくんは6年で一人だけ拳で殴るから、蹴ったりしか出来ないみんなには、ケンカで負けたことがありません。
背が高いので中学生の守くんだって勝てないと思います。
その日はみんな、家に帰るのが怖いと言いました。
帰ったらお母さんはやっぱり知ってて、泣くまで怒られました。

次の休みの日、お母さんは守くんの家に出かけていきました。
守くんのお母さんは教育ママで、よくボク達も怒られていたので、あまり好きではありません。
守くんに聞いたら、みんなのお母さんが家に来てると言いました。
ボク達は公園に4人で集まり、どうしようか考えました。
きっとお母さん達はボクらをどうするか相談してるんです。
もしみんなで一緒に遊んじゃダメってことにでもなったらどうしよう・・・。
リョウくんは「ケンカだ」と言いました。
お母さんとケンカして勝つつもりみたいです。でも、大人に勝てるわけがない。
そうしたらデブの友和も「戦おう」と言いました。
いつもお母さんから勉強勉強って言われて、腹が立ってたみたいです。
真面目な守くんとボクはそんなこと出来ないと言いましたが、喋っているうちにだんだん腹が立ってきて、「ケンカする」と言いました。
でも守くんは中学生なので、先生に言われたら困るみたいでした。
中学校の先生は恐いんだそうです。
そしてしばらく待っていると、お母さん達が公園に来ました。

お母さん達はボクらを見るとすぐ怒り出しました。
不良とか悪ガキとかって、特に守くんのお母さんはキーキー声で言ってきます。
最初は黙って聞いていたボクらだけど、リョウくんが最初に言い返しました。
友和も一緒に「ママはいつもうるさすぎる」と言い返しました。
友和のお母さんは友和が怒るのを見て驚いたみたいです。
ボクと守くんは何も言えなくて黙っていました。
でも、守くんはいっこ下のリョウくん達が威張っているように感じるのか、ちょっと不機嫌そうでした。
そのうちリョウくんもお母さん達も本気になっていき、ボクはまたリョウくんが手を出すのではないかと気になりました。
もしリョウくんがキレても、お母さん達の方が大きいし、勝てないと思います。
ボクはボクのお母さんもすごく怒ってるのを見て、家に帰るのがちょっと恐くなりました。
しばらくしてリョウくんが「殴ってやる」と言いました。
お母さん達は声をそろえて「やってみなさいよー、このガキ」と言いました。
ボクはちょっとビビったリョウくんをかばうつもりで、ドキドキしながら少しだけ言い返しました。
守くんは後ろに立ったまま黙っています。
そしてホントに怒ったリョウくんが言いました。
「決闘だ!」
そしたらお母さん達も「やってやるわよ!」と言い返してきました。
いつも優しいリョウくんのお母さんだけはそんなに怒ってないみたいです。
ボク達は睨み合い、負けた方はどうするか決めました。
お母さん達は「負けたら裸で土下座して二度と逆らうな」と言ってきました。
ボク達はそれを聞いて「じゃ、こっちが勝ったら一日裸で何でも言うこと聞いて、二度と文句言うな」と言いました。
恥ずかしいからお母さんには裸になってもらいたくないけど、勝ったらそれくらい当たり前だと思います。
場所は近くの山にあるレクリエーション広場。
そこにはアスレチックとかもあって、結構広いし人もあまりいません。
守くんとリョウくんのお母さんはやる気がないみたいだったけど、ボク達は別々に山へ行きました。

広場に着くとボク達は並んでお母さん達を睨み付けました。
山の中のアスレチック場は色々な障害をクリアしていくようになっていて、入口と出口があります。
ボクらとお母さん達は入口と出口から別々に入っていくことにしました。それで出会ったときケンカするんです。
お母さん達はやる気満々みたいでした。
子供に負けるわけがないと思っているのだろうけど、ボク達も絶対負けません。
ボクはもしお母さんとケンカになっても蹴ってやる気でいました。
ケンカでどうやったら負けかを決めるとき、あまり暴力が好きではない守くんが「ごめんなさいを言ったら」にしようと言いました。
年上の守くんの言うことだしボク達はそれでも良かったんだけど、お母さん達はそれじゃ甘いと怒ります。
それならと守くんは「相手を裸にしたら」と言い出しました。
でもそうしたら、それは行き過ぎとお母さん達は声をそろえて言いました。
それで決まったのが「相手のパンツを奪った方が勝ち」というルールです。
最初はそれも嫌がってたお母さん達だけど、ボクらが「弱虫」と言うと「それでいい」と言いました。
そしてボク達は別々にアスレチック場へ入っていきました。

入ったらすぐボクらは作戦を考えました。
4対4でそのまま戦うと、きっとボク達は本気のお母さんに負けてしまいます。
それでリョウくんの考えで決めたのが、お母さん一人一人に集中攻撃を掛けることです。
お母さん達にバレないため、木の中を隠れて通っていくことにしました。
守くんがやりすぎるなと言い、ボク達はうんと言いました。

しばらく進むと誰かが見えました。
どうもボクのお母さんと友和のお母さんの2人みたいです。他の2人のお母さんは見えません。
4対2なので、ボク達はガッツポーズしました。
ボク達4人はお母さん達から見えないようジッとすると、飛び出すチャンスを待ちました。
死ぬほど心臓がドキドキします。
リョウくんが「ゴー!」と言うとみんな木の間から出て、お母さんに飛びかかって行きました。2人はキャーキャー言ってボク達の顔を叩きました。
でもボク達も負けずにお母さんを蹴ったりして、特にリョウくんが友和のお母さんの胸を殴ると、友和のお母さんは泣きそうになりながら逃げようとしました。
それを友和が後ろから押さえて、スカートを捲ったリョウくんが白いパンツを降ろしました。
パンツの下には毛がいっぱい生えていて、気持ち悪かったです。
次にボクのお母さんをみんなで押さえつけて、今度は守くんがパンツを脱がし始めました。
お母さんはジーパンを穿いていて、それが脱がされるとものすごく暴れました。
ストッキングっていうのか、透明な薄いのと一緒にピンクのパンツを降ろされると、お母さんは泣きそうな声を出すので、ボクはちょっと可哀想にもなったけど、ざまみろとも思いました。
お母さんのあそこにもいっぱい毛が生えていて、守くんはそこをジッと見ていました。
よくそんなとこ見れるなと思います。

次は守くんのお母さんとリョウくんのお母さんです。
ボク達は周りに誰もいないのを確かめながら先に進みました。
その時友和がいきなり「なんで女の人にはチンコが無いのかな」と言いました。
ボクは女だから当たり前じゃないかと思ったけど、リョウくんはゲラゲラ笑っています。
中学生の守くんは真っ赤になって「色々理由があるんだよ」と怒りました。
ボクは色々な理由なんて言われても判りません。

もう少し進むと「ターザン」という、ロープに捕まって向こう側まで行く障害物があります。
その前に誰かがいるのが見えました。
リョウくんのお母さんです。
ボク達は走ってリョウくんのお母さんを囲んだんだけど、リョウくんのお母さんはケンカをする気が無いみたいでした。
いつもみたいに笑って「さっきの2人はどうしたの?」と聞くので、ボク達はボクと友和のお母さんのパンツを見せました。
そしたらおばさんはもっと笑って「私は降参するわ」と言って自分でジーパンを脱ぎ、近くにいたボクへパンツを渡してきました。
クリーム色の短パンみたいなパンツで、とても温かいです。
おばさんがジーパンを穿き直してるときにリョウくんが「弱虫」と言うと、おばさんはちょっと怒りました。
リョウくんの顔は真っ赤になっていました。

最後は守くんのお母さんだけです。
ボク達はもう絶対勝ったと喜びました。
リョウくんは守くんの前なのに「絶対殴ってやる」と言いました。
よっぽど守くんのお母さんが嫌いみたいです。
少し進むと、ネット越えの障害の前に守くんのお母さんがいるのが見えました。
キョロキョロして他のお母さんを捜してるようでした。
ボク達は堂々とおばさんの前に立っておばさんを睨み付けると、おばさんはキーキー声でボクらを怒鳴りました。
守くんはすぐに後ろへ隠れます。
取ったパンツを見せて他のお母さんが負けたことを言っても、おばさんは手を上げてボク達に向かってきました。
それをリョウくんは避け、手を振り回しておばさんを殴ると、おばさんはネットに吹っ飛ばされて悲鳴を上げました。
やっぱりリョウくんは強いです。
ボク達は暴れるおばさんをネットに押し付け、後ろ向きにスカートを上げてパンツを脱がし始めました。
守くんは協力してくれなくて、ちょっと離れて見ています。
おばさんの大きなお尻からパンツを全部降ろすと、リョウくんはお尻をバチーンと叩きました。
おばさんは暴れながら「何するの、やめなさい!」と怒りました。
それに怒ったリョウくんがおばさんのお尻をいっぱい蹴ると、おばさんは泣きそうになってもう何も言いませんでした。
後で守くんとリョウくんがケンカになったりしないか、少し気になります・・・。

全員のパンツを脱がしたボクらは笑いながら家へ帰りました。
やっぱり友達が協力して戦うと強いんです。
お母さん達は悔しそうにボクらへ謝り、今度の日曜日は友和の家でボク達の言うことを何でも聞いてくれると言いました。
ボクが肩もみでもさせようかな、と言うとリョウくんはパンツをひとつひとつ眺めて笑いながら、もっと色々な事をさせようと言いました。
裸で色んな事を。
ボクはお母さんのことを思うとちょっと可哀想だと思ったけど、さっき見たアソコの毛とかお尻を思い出すとなんだか楽しそうでした。
いつも威張ってる大人を一日恥ずかしい格好で召使いに出来るんだもん。
その時には誰かのお母さんから、なんで女の人にチンコが無いのか聞いてみようと思います。



小説(転載)  お母さんと一緒!

官能小説
01 /04 2019
話は、とある対戦ゲームから始まる。
今回の話の主人公1である森田 衛二は、主人公2の友人、野沢 圭吾とその対戦ゲームをしていた。
場所は衛二の家の二階自室。
対戦ゲームとは、3Dポリゴン格闘ゲームである。

衛二と圭吾は中学二年生。
衛二の血液型はBで、がさつで小さな事は気にしない、ゴーイングマイウェイな性格である。
対して友人の圭吾の血液型はA。
八方美人で少し臆病、大人しい気性だ。
両名ともだいたいが両親から受け継いだ気性である。
ここら辺を覚えておいて読んでいただくと多少分かり易いかもしれない。


さて、二人して格闘ゲームに熱中していたのであるが、その時部屋のドアをノックする音がした。
と、ノックの意味もなく、瞬時にドアが開け放たれる。
?「衛二~~、なにしてんのー!」
入ってきたのは衛二の母、忍(36)である。
衛二「ゲーム。」
圭吾「おじゃましてます、おばさん。」
忍「へー、ゲームかぁ。ほら、どきな。母さんにやらしてみなさいよ。」
衛二「わっ、触るなよ!‥‥‥あっ、ほら、もう‥‥!」
忍は衛二から強引にコントローラーを引き剥がすと、でたらめにボタンを押しまくった。
忍「わっわっ、剣振ってるっ、ジャンプした、あっ!蹴った蹴った、蹴ったよ衛二!!」
衛二「分かった、分かったよ、ホラ、離せって!」
そうして母の手から無理矢理コントローラーを奪い返すと、母も応戦し、新たな格闘がモニター外で始まるのである。
圭吾からすれば、衛二のうちに遊びに来ればよく見られる光景だった。
?「ふふっ。森田さん、元気ね。」
その時、誰もいないと思っていた背後から声がして驚いて振り返ると、そこには圭吾の母、亜唯子(36)がちょこんと座っていた。
ちなみに、あいこ、と読む!
圭吾「なっ!?ママ、なんで?」
亜唯子「森田さんに下でお茶をご馳走になってたのよ。そしたら、ちょっと二人の様子を見てこよう、って。」
圭吾「へぇ。そっか。」
忍と亜唯子は仲がいい。
活発な忍とおっとりした亜唯子。正と負を補完しあってバランスがとれているのか、不思議と気が合うのだ。
忍「よこしなさいよっ!」
衛二「離せっ!!」
横では衛二と忍のコントローラー奪取戦が白熱の様相を呈していた。
体格では中学2年生の衛二がほんのちょっと勝っているが、とっくみあいを繰り返しているうち、忍が衛二の腹にまたがり衛二の動きを封じた。
マウントポジションである。
忍「フフ、私の勝ちね。さぁ、たこ殴りにされたくなければコントローラーを渡す。ん?ほら。」
衛二「んぬぬぬぬぬぬ‥‥。」
母の気性ではマジでしばき回されると感じた衛二は、おとなしくコントローラーを渡した。
母とはいえ、女にとっくみあいで負けるのはとても悔しいことであるが、いつものことでもある。
忍「‥‥‥よぉし。じゃあ、圭吾ちゃん、私と勝負よ!」
圭吾「え?あ、はい。」
亜唯子「圭くん、頑張れー!」
衛二「チッ!」
忍は染められた肩までのソバージュヘアをかきあげ、画面を凝視した。
圭吾も子供のプライドでゲームでは負けるわけにはいかないと、ぎゅっとコントローラーを握り直した。
少し話が逸れるが、”忍”という名を聞くと女忍者を連想し、青色の髪を想像してしまう輩が多いのではと思うが(僕だけかも)、この忍はオレンジ色の髪、目は少しつり上がり気味で性格は息子と同じ、マイウェイ母である。
ちなみに、亜唯子の方はストレートなロングヘアで、おしとやかな感じを想像していただきたい!
衛二と圭吾はほぼ身長も体格も同じ、伸びてくる骨格に肉がついていけない、まだ華奢な体格ということになってます。


それから20分後。
イヤと言うほど圭吾に叩きのめされた忍はコントローラーを投げ捨てて叫んだ。
忍「あー!!もぉぉぉっ!つまんなーい!!つまんない!圭吾ちゃんずるばっかりっ!」
衛二「ババァがゲームなんか出来るわけねーんだよ。」
忍「なにおーっ!?」
亜唯子「でもそうよねー。子供には勝てないわ。」
忍「うぬーっ‥‥‥。」
忍が今まで部屋に乱入してきたときは、たまたま一人用のゲームをしていることが多かった。
なので今までは悔しい思いはしなかったのであるが、忍は(なんであれ)子供に負けた、そのことが許せなかった。
忍「フ、フン。ゲームなんかがうまかったって何にもならないわよ。他の事じゃ絶対に負けないしー?」
衛二「ああ、そう。分かったからどっかいってくれよ。」
忍「ホントよっ!ガキが大人に逆らおうなんて3万年早いわね。」
衛二「ああ、そう。なぁ、圭吾。この技出せるか?→、→、A‥‥‥。」
圭吾「あっ、それはこの技の連携で出すような感じで入力するとうまくいくよ‥‥‥。」
亜唯子「へぇ?なになに‥‥‥。」
忍「無視した‥‥‥うぬぬぬぬぬ‥‥。」
衛二と同じ呻き方だ、と圭吾と亜唯子親子は思ったが、別にどうでもいいことだった。
忍「圭吾ちゃんっ!!」
圭吾「はい?」
忍「私と勝負しましょうよっ!格闘技で!」
圭吾「いいですから、僕の負けで。‥‥‥でさ、この技が下段ガードの時‥‥‥。」
亜唯子「えー、どんな技?見せて見せて‥‥‥。」
衛二「これだな?そうかそうか‥‥‥。」
忍「うぬぬぬぬぬ!」
忍は握りしめた拳を小刻みに震わせながら、大声で叫んだ。
忍「逃げる気ね!‥‥‥いいわ、じゃあ、野球拳で勝負よっ!!それならいいでしょう?」
衛二「うるさいよ。下行ってテレビでも見てくれば?今頃ワイドショーやってるから。」
すると忍は不思議に落ち着いた態度で腕を組み、顎を少し上げてせせら笑った。
忍「あ。なに、衛二?あんたの質素なモノを見せるのがそんなに恥ずかしいの?」
衛二「‥‥‥わけわかんねーよ。それに、なして野球拳?」
亜唯子「そうよ、森田さん。ブツ(誰も言ってない)だなんてお下品な‥‥‥。」
忍「あーら、そんな事言って野沢さん。あなただって年老いた身体を見られるのが恥ずかしいんじゃなくって?」
なんて事を言うオバハンだろう。
衛二と圭吾は顔を見合わせ、大きなため息をついた。
亜唯子「あら?私は別に構わないわよ。森田さんの方こそ大丈夫なの?お身体の皺はお化粧で隠せないでしょう?」
衛二・圭吾「!!!!!?」
二人は、今まで落ち着いていた淑やかな亜唯子がしょうもない挑発に応酬したことに驚愕した。
忍を止められるとすれば亜唯子しかいないのに、である。
(なんなんだ、どうなってるんだ!?)
‥‥‥少年達は気づいていなかったのだ。この部屋に渦巻いている異様な空気を。


解説せねばならない。
衛二と圭吾、二人は長時間ゲームという媒体を借りて覇を競いあっていた。
その時に発生した、相手には負けたくないという本能的な勝負意識が”気”として部屋の中に充満していたのである。
なぜ競争をすると、負けたくないという気持ちが起こるのだろう?
それは勝利し、自分の血こそを後世に残したいがためである!
その闘気を母親‥‥‥同じ血を引く忍と亜唯子が無意識だが敏感に感じ取り、ファミリーの血を残すため他の家族に対し攻撃的になっていたとしても、何の不思議もないのである。(苦しい?)

そうして熟女のブラックな言い合いの後、野球拳勝負が開催される運びとなった。
まぁとにかく、ケンカにしろ、セックスにしろ、きっかけはこんな些細なことが多いのではないか。


忍「じゃあ、まずは私と圭吾ちゃんよ。」
圭吾「ちょっ、ちょっと待ってよ!そんなこと出来るわけないでしょ!」
衛二「そ、そうだよ!ババァの裸なんて見たくねぇんだよ!」
勝手に納得し合った母親達はともかく、息子達はそんな異常な展開についていけるはずがない。
それを言葉にしただけなのに、母親達は別の箇所に反応した。
忍・亜唯子「ババァ‥‥‥?」
向かい合っていた忍と亜唯子が体の向きを変え、その単語を吐いた少年を見下ろすと、 衛二の背筋を戦慄が走る。
衛二「い、いや‥‥‥その‥‥‥は、母親の裸なんて見たくないし、みみみみ見ちゃいけないし‥‥‥。ななななぁ?圭吾ちん?」
圭吾「そ、そうだよ、裸になるなんて、な、何言ってんの。マ、マ、ママ達おかしいよ。」
忍「‥‥あ、分かった、衛二。母さんの身体を友達に見せるのがイヤなんだろー。‥‥‥もぅ、やきもちなんか焼いて!」
おかしくなった人間にどう説明すれば分かってもらえるのか二人は必死に考えたが、そーいう問題でもないとも思うとわけがわかんなくなる。
忍「大丈夫。私、脱いだらすごいんだから。ちょっと刺激が強すぎるかも知れないけど、絶対に恥ずかしい思いはさせないから。少なくとも野沢さんとこよりは‥‥‥。」
亜唯子「なんですってぇ?」
衛二・圭吾「‥‥‥‥‥。」
衛二(どうする圭吾。こいつら狂ってるぜ?)
圭吾(ほんとだよ、下でドラッグでもやってたんじゃないの?)
衛二(そうかもな。母さんならやりかねない‥‥‥って、おいおい。)
圭吾(とにかくどうしよう?ママなんかに脱がれたらしゃれになんなんって。)
衛二(そうだよな‥‥‥お互い。)
忍「何こそこそ相談してんのよ。‥‥‥冗談よ。私たちが脱ぐわけがないでしょ。息子に裸見せて何が嬉しいの。野球拳やるのはあんた達。」
衛二「なぁんだ、そっか。」
圭吾「そりゃそうだよねぇ。ママ達大人が脱いじゃったらやばすぎるよなぁ。」
(‥‥‥‥‥‥。)
衛二・圭吾「なにぃぃぃ!!!!?」
忍「いいわね、森田さん!?お互いの息子達が勝負するの。負けた方が今度の旅行の費用を持つって事で!」
亜唯子「望むところですっ!いい、圭くん。負けたら許しませんからねっ!」
衛二・圭吾「ちょちょちょ、ちょっと待ってよっ!」
二人は話が急展開し、いつのまにか賭の対象まで決まってしまっているこの状況にさらに混乱した。
脇役からいきなり主役である。
母親達が入ってきたのが30分ほど前。
たったそれだけの時間で、なんでこんな状況が生まれるんだ?何でこういう風に展開していくんだっ!?
忍「いいじゃない。別に私たちはあなた達の母親なんだし。ちんこ見たってなんとも思わないし。」
衛二「そういう問題じゃないだろっ!」
忍・亜唯子「‥‥‥いいから早くしな!!」


野球拳ダイジェスト
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ポイ、ポイ、ポイッ。


ガクッ。
ずりっ、ずりっ‥‥‥。

途中経過3勝3敗、後残るはお互いブリーフのみ!
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二人は股間に手を挟み、縮こまって母親達の顔を見た。
目が輝いている。マジな顔をしている。
ブツをどちらかが出すまで納得しない表情だ。
しかしブリーフのここまでならともかく、大人になりかけの今、ちんこを人前で露出させるなど考えられない話である。
それも母親達とはいえ、女性の前なのだ。いや、母親だからこそ余計に恥ずかしいのだ。
もちろんこんな理不尽な勝負、拒否したい気持ちはある。
しかし、忍だけならともかく、おとなしく理性的な亜唯子までもが賛同していることにより、反抗する意識にブレーキがかけられていた。
衛二・圭吾(できない、できない、できない‥‥‥でも。)
二人は負けたら死を意味することを知りながら手を前に出していく。
衛二「圭吾っ、ジャンケン‥‥‥!」
圭吾「ジャンケン‥‥‥!!」
忍「待って!」
亜唯子「二人とも止めて!」
今まさに手を決めようとしていたその時、お互いの母の止める声に二人は驚いて振り返った。


忍「そこまででいいわ、衛二。」
亜唯子「そう。圭くんももう止めて。」
母親達は少年達に待ったをかけると、お互い見つめ合った。
決して睨み合ったわけではない、お互いともある決意に満ちた目つきであった。
その時の二人の心情はおおよそ次の通りである。

曲がりなりにも自分が育ててきた息子がちんこを剥き出され晒し者にされる?
そ、そんなこと‥‥‥!
それも闘いに敗れたうえ、さらに決定的に恥をさらされるのよ。
もし‥‥‥もしも久しく見ていない我が子のモノがたらこウィンナー程のサイズしかないとしたら。
もし‥‥‥万が一、この状況の中でも激しく興奮し、マズイくらいに勃起していたとするならば。
この子の将来はなくなったも同然‥‥‥。

そして母親達は目覚めたのである!
息子達を救うために立ち上がったのである!!
愛する息子を傷つけないため、息子の代わりに母親である私が闘おうと‥‥‥‥!!!

ああ、なんと美しく儚い母性愛であろうか!!

などと息子達が思うはずがなく、激しく憎悪のこもった視線を母達に投げかけ、こそこそとブリーフの股間を押さえながらあっさりと主役の座を譲った。

 

 

忍「森田さん、私‥‥‥‥いつかこんな日が来るんじゃないかと思ってた‥‥‥。」
亜唯子「そうね‥‥‥。残念だけど‥‥‥うぅん、しょうがないものね。」
自分達で全て話を進めたのにも関わらず、忍と亜唯子は悲しげな表情で見つめ合った。
二人の服装はというと、

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厚めの半袖Tシャツ、白。
グレーのカラージーンズ。

亜唯子

フロントホックのワンピース。黒地に白の小さな花柄がたくさんついて、水玉風。
肌と同色のストッキング。関係ないですが、ストッキングに包まれた素足って色っぽいですね。
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言い忘れていたが、季節は夏である!


だんだんと二人の眉が上がっていき、闘争心を顔に表し始めるのを見ながら、少年達は部屋の隅っこでその様子を窺っていた。
衛二「マジでこの二人、するみたいだな‥‥‥。」
圭吾「うん‥‥‥。ホントにやる気みたい‥‥‥。僕たち男はまだいいけど、ねぇ‥‥‥。」
衛二「なぁ‥‥‥。」
二人は青ざめた顔を見合わせ、お互いに思いを回らせていく‥‥‥。

衛二(母さんがもし負けたら‥‥‥。あいつなら脱ぐのなんて楽勝だろう。負けなくたって脱ぐ可能性が‥‥‥。)
圭吾(ママが脱がされるなんて‥‥‥。信じられない。僕の前でだってほとんど裸を見せないのに‥‥‥。)
衛二(とにかく、母さんに脱がれるなんて冗談じゃない。パンツまでだろうけど恥だ。圭吾のおばさんは美人だから大歓迎だけど‥‥‥。)
圭吾(ママが誰かにヌードを見られるなんて絶対にイヤだ!下着でも絶対に‥‥‥!衛二のおばさんなら開けっ広げだし、グラマーだから構わないけど‥‥‥。)
衛二(おっ!圭吾のおばさんはワンピースで一枚だから不利じゃないか?‥‥‥しめしめ。)
圭吾(しまった!ママはワンピース脱がされたらすぐ下着!?‥‥‥いや、衛二のおばさんはストッキングはいてない。互角か?)
衛二・圭吾「‥‥‥‥‥‥。」
見つめ合った二人の顔には次第に赤みが差していき、含みのある視線に変わっていく。
露骨には出せないが、自分の母親が勝ってくれるよう祈るばかりだった。


忍「衛二。楽しみに待ってな?野沢さんスッポンポンにして、野沢さんに筆下ろしさせてもらうから。」
亜唯子「あら、何言ってるの森田さん。あなたこそ、うちの圭くんを満足させてあげるよう頑張っていただかないと。」
衛二・圭吾「こらこらこら~~~!!!」
勝手にどこまでもエスカレートしていく話に、衛二と圭吾は涙を流しながら叫んだ。
衛二「何言ってんだ、脱ぐだけだろっ!?このアホババァ!!」
圭吾「そうだよ、ボケんのもいい加減にしてよママッ!!」
忍「なによ。セックスしたくないの?」
衛二「そそそそそんな問題じゃねぇやっ!もう止めだよ、止め!!勝手にやってろ、ババァ!!」
忍「なにぃ~~~っ!?」
言うが早いか、忍は恐るべきスピードで衛二の下肢に掴みかかっていった。
驚いた衛二が反応する隙を与えず、左足を右脇に、右足を左脇に挟みロックする。そして、素足の右かかとを息子のそのまた息子の上へ乗せた。
一種のサブミッションであった!
衛二「ひっ!?」
忍「さあ衛二。どうする?このかかとに力を入れれば、あんたの女も知らないちんこは短い一生を遂げるわ。そうなりたくなければ、おとなしく私の応援をする事ね‥‥‥。」
衛二(ガッデム!この女ならマジでやるっ!)
鳩のように首を縦に振る衛二に忍は満足そうに頷き、ホールドを解いた。
亜唯子「‥‥‥。圭くん。ママにあんな事はさせないで‥‥‥。」
圭吾も激しく頷くのを二人の母親は確認すると、ゆっくりと部屋中央へと歩み寄った。
そして、拳を出す右手を後ろにひき、中腰の体勢になる。

さあ、今お互いのBODY、家族のプライドを賭けた闘いが始まるのだ!!


続く

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。