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小説(転載) 四枚の扉 7/10

官能小説
04 /26 2015



 余りに強烈な絶頂感により完全に意識を失っていた静絵は、夢を見ていた。
 勇次との新婚旅行。ハワイのホテルの窓から差込む夕日が、ベットの上で裸で
抱き合う勇次と静絵を赤く染めている・・。
 仰向けに寝転がった勇次のペニスを、静絵はゆっくりと口に含む。
 唾液を口一杯に溜め、舌に馴染ませ潤滑油とし、唇を先端から根元まで上下さ
せている。
 勇次は腰を震わせ、静絵の口による刺激に小さな声を漏らす・・・。
 静絵もフェラチオをしながら、自分が濡れているのを感じる。
 (ああ・・ 幸せだわ・・・・)
 夢の中で静絵は、夢中になって勇次のペニスを咥えていた。

 ふご・・ ぐふふ!
 夢から覚めつつある静絵は、夢の中の勇次のペニスが、実物より大きなモノと
なり自分の口一杯に広がっている感覚を感じた。
 (夢・・・? 現実??・・)
 判別出来ない状態に置かれても、静絵は口の中で堅く主張する物体に舌を絡め
た。それはだんだんと現実の感触になり、喉の奥を圧迫する苦しみは夢とは感じ
られない・・。
 静絵はクラッシック音楽の心地良い耳触りに、意識をゆっくり戻していった。

 静絵の口には、男のペニスが刺し込まれていた。
 男は静絵の頭を軽く握ると、その先端を喉の奥まで押し込み、引き出す際に纏
わりつく静絵の唾液をペニス全体に染み込ませていた。
 ハッキリと現実を認識した静絵は、夫のモノより一回りも大きいペニスを慌て
て口から吐き出そうとした!
 しかし頭を掴まれた状態ではそれは許されず、静絵の意思とは反対に男のペニ
スは静絵の唇を大きく広げ、口内中を擦り続けた。

 (いや! やめて!)
 フゴフゴとした言葉が、静絵の唇の端からこぼれた。
 静絵の背後からそっと近付いた別の男が、いきなり静絵の尻をすくった。
 (あっ!・・・)
 抵抗する間も無く、ペニスを口に咥えさせられたまま、静絵は床に四つん這い
にされた。その尻を後ろの男がガッチリと両手で掴んだ。
 そして尻を左右に広げると、その真中に堅くなった肉棒をズブリ!と挿入して
きた。
 「ふああっふんぐぐぐ・・・・・!」
 巨大なぺニスを咥えたままの静絵は、侵入してきた肉の感触に思わず咥えたペ
ニスをギュッと唇で締めた!
 「おおおう!・・・」
 肉棒を咥えさせてる男が、その締め具合に唸った。

 ズンズンズン・・・・。
 バックから激しく腰を叩き付ける男に、静絵の身体が前へのめる・・。
 その動きが、咥えたペニスをより奥へと導いてしまう。
 静絵はもう何だか解らなかった・・・。
 だだ自分の身体に与えられる刺激は本物で、それはとても強大なもの・・・。

 静絵の女の本能が、それを甘んじて受け入れろと命令している。
 思考を麻痺させた静絵は、本能の命令に従うしか無かった・・・。
 だが従ってみると、どこか抵抗感を持ち拒絶していた女の欲望が、堰を切った
ように溢れ出してきた。
 (き、気持ち・・・イイ・・・!)
 自然と静絵の腰は動き出し、舌が滑らかに男のペニスに絡み付く。
 尻と顔を前後に振り、前と後ろの刺激に従順に応える・・。
 前の男が口からペニスを引き抜いた時には、静絵の唇は無意識にその先端を追
っていた。

 後から貫いてくる男は激しさを増し、静絵の尻をガッチリと掴み、中心に大き
なストロークを刻み続ける。
 静絵は頭を床に付け、お尻を自然と高く上げ深さを要求する。
 その要求に男も応え、中腰になると上から叩き込むようにペニスを突き動か
す。
 「あ!ああ!! あああああーーーーーーーー!!」
 静絵は床に顔を擦りつけ、自分の両手を横から尻に回し、尻の端を掴むと左右
に広げる。
 男は静絵の尻から手を離すと、細くくびれた腰の辺りをしっかりと掴み、全体
重を静絵の穴の奥に負荷する。
 「す、す・・ごぉ・・・いい!! だめえええぇぇぇ!!」
 どうにも成らない程の高度な快感に、静絵は気が狂いそうになる・・!
 男は尚も激しく、体重を乗せ突き込み貫いてくる。
 静絵の頭の中に火花がスパークし、空中へ投げ出された身体が、今度は深い谷
底へ逆さまに落ちていく・・・。
 「うわああああああ!!!  いいい・・・くうううううううううぅぅぅぅ
ぅ・・・・!」
 手足を強烈に突っ張り、静絵の全身が痙攣する。
 一度持ち上げた頭をガクリと床に落とし、静絵は桃源郷に身を委ねた・・・。

 ハア・・ハア・・・と身体全体で息をする静絵の横に、陽子が腰を降ろした。

 下から見上げた陽子の裸体は汗が滲み、艶かしく光っている。
 「ごめんね・・静絵・・」
 頭を床につけ、お尻を高く上げた格好のままの静絵の身体を、陽子は仰向けに
寝かせた。そして自分以上に汗を滲ませ、女の体液を内股に撒き散らした静絵の
身体を冷たいタオルで優しく拭いた。
 「どうなってるの・・・これは・・・・」
 冷たいタオルの感触に息を整えかけた静絵は、陽子の顔を見た。
 「ちょっと刺激が強過ぎたかな・・?」
 内股に付着した液をタオルで拭いながら、陽子は静絵の顔を覗き込んだ。
 
 正常な呼吸に戻った静絵をソフアーに座らせると陽子は、冷えたドリンクを静
絵に手渡した。静絵はそれを勢い良く飲み干すと、陽子に向き直った。
 お互いに裸のままであったが、そんな事を気にする気持ちは沸かなかった。
 「ここは、こう言う所なの? 女のパラダイスって意味、良く解ったわ・・」

 静絵は空のグラスを床に置くと、眉間に皺を寄せ陽子を睨んだ。
 「騙したみたいでゴメンね・・・ でもそうでもしないと、静絵こんな所に付
いて来ないでしょ?」
 「当たり前よ! 私が自分から来るはずないじゃない!」
 手を上げた静絵は陽子の頭を軽くこづいた。
 「でもさ、感想は? 本心聞かせてよ!」
 陽子は申し訳無い顔から、ニヤけた顔つきになって聞いた。
 「もう! ホントに反省してるの!? 信じられない・・」
 へへへ・・と小さく笑った陽子は、入口付近に立つ男達を指差した。
 「あの男達、凄いでしょ!?」
 「そ、そうね・・」
 静絵はどの男が自分に強烈な快楽を与えたのか気になった。
 「あの男達ね、あんなにパワフルなSEXしたくせにまだ誰もイッてないの
よ」
 「えっ! ホント!!」
 静絵は驚いて男達を見詰めた。
 「ここはね、洗練された男が集められて、女を喜ばす為だけにその身体を駆使
する場所なの」
 「だから簡単にはイカないのよ。とことん女を狂わすまではね!」
 陽子はパワフルなSEXを思い出したのか、乳房を手の平で摩りながら言った。

 「ちょっと陽子! やめてよ」
 その仕草に静絵の方が恥ずかしくなり、陽子の手を払い落した。
 「そんなイイ子ちゃんぶっても駄目よ! 静絵の感じ方ったら、半端じゃなか
ったわ!」
 陽子は静絵の顔をマジマジと見詰め、ニンマリとした。
 「もう! 陽子ったら!・・ でも、確かに凄かったわ・・・・」
 思い出す静絵の顔は微かに紅潮し、身体が少し震えた。
 「スッキリしたんじゃない? 悩み事がさ!?」
 忘れていた事を陽子に思い出さされ、静絵はちょっと暗い気持ちになった。
 「そんな、いきなり忘れろなんて無理よ・・・ 現実に戻れば覆い被さってく
ることだし・・」
 「嫌になったらまたここに来ればいいじゃん! ちょっとお高いけどね!」
 「そうなの? いくら?」
 「1回5万よ!」
 陽子は指を5本立てて見せた。
 「ご、5万円! それは無理だわ・・ 私には・・・  今日もそんな金額持
って無いわよ!」
 「今日は私のおごりよ! 静絵も喜んでくれたみたいだし!」
 陽子は静絵の頭を撫でて微笑んだ。
 「そんな、おごって貰うなんて悪いわ・・・」
 「いいのいいの! でも次は無いわよ! 今度は自分でいらっしゃい」
 「だから、もう来れないわよ! 5万なんてウチの家計じゃ無理よ」
 静絵は少なからずこの場所へ興味を持ち始めていた・・。
 ストレスを抱えた自分には、この場所はパラダイスかもしれない・・・。
 自分の本性を垣間見た気がする静絵は、自分の中で何かが変わるのを実感し
た。
 そんな静絵の様子を伺っていた陽子は、入口付近に立つ男達を呼んだ。
 3人の男が二人の元へ跪いた。
 「これが最初で最後になるなら、もっと楽しんでいこ! 静絵」
 「そ、そんな・・・・」
 躊躇う形を見せる静絵を、二人の男が抱き起こした。
 「えっ! 困るわ・・・」
 素直になれない静絵に、陽子が追い討ちを掛けた。
 「あなたの右に居る男が、さっきあなたをバックでイカせた男よ!」
 驚き右を向いた静絵に、その男が微笑んだ。
 静絵の身体から力が抜けた・・。
 二人に奥へ連れて行かれた静絵は、仕切りの向こうのベットへと導かれ、数分
後には激しく声を挙げていた。
 その声を陽子は男に跨りながら聞き、心の中で呟いた。
 (薬なんか盛っちゃって、ごめんね・・・静絵)


(8)へつづく・・・

小説(転載) 四枚の扉 6/10

官能小説
04 /26 2015
 「ここはね、女のパラダイスなの。」
 「パラダイス? 楽園ってこと?・・」
 「そうよ、静絵はここで楽園気分を満喫するの! 凄く素敵なのよ・・・」
 陽子の話を聞いていた静絵は、身体の温度がどんどん上がってくるのを感じ
た。
 (ああ・・ 熱いわ・・ どうしてかしら・・・)
 目の照準が良く定まらず、ポワンとした気持ちになった静絵は、陽子の顔を
見詰めた。すると陽子の背後に、誰か人が立っていた・・。
 (誰? 男の人?・・・ 大きな人だわ・・・・)
 その男は陽子の前に跪くと、陽子の脚を手で摩り始めた・・。
 (ちょっと陽子・・・ 何してるの・・・ そんな・・こと・・さ・せて)
 静絵の意識が朦朧としてきた。
 眠りに落ちるのでは無く、フワフワと浮いた気分・・・。
 身体が火照り始め、なんだかムズ痒い・・・。
 横を見ると陽子は、ストッキングを男によって脱がされ、生の両脚を左右に
開かれている・・・。その中心部で男の顔がゆっくりと動いていた。
 (いや・だ・・・ 陽子・・・)
 陽子の艶かしい状態に、静絵は困惑した・・。
 すると静絵の前に、男が一人跪いた。
 (誰・・ 陽子・・・ どうなってるの?・・)
 声を出してるつもりの静絵であったが、実際には陽子の耳には届いていなかっ
た。

 男は静絵の脚に触れてくると、つま先からゆっくりと指を上の方に滑らせてき
た・・。
 「い・やあぁ・・!」
 静絵の喉から掠れた声が絞り出された。
 男の手から逃れる為に脚を動かそうとするが、動かない・・。
 そうしている間に、男の指が腰の辺りまで進入しストッキングのウエスト部分
に掛かり、ズリズリと降ろしていく。
 「だ・・め・・ やめ・・て」
 動かない身体をどうにか動かそうとするが、全く身体は反応しない。
 男は静絵の足先からストッキングを抜き取ると、顔を近付け舌をツツツ・・と
脚に滑らせた。
 「や・・あぁ! だめ・・・・」
 男は静絵の訴えを全く無視し、這わせた舌をどんどん上に滑らせてくる。
 そしてスカートを捲り上げると、内腿に舌を這わせ、指で下着の上から陰毛を
擦った。
 「あああ! いやあ・・・」
 ゾクっ! とする感覚に、静絵は力の限り身体を捩った。
 助けを求めようと陽子を見ると、陽子は下半身をすっかりはだけさせ、男の舌
がピチャピチャと股間を舐める音が聞こえる。
 その刺激に陽子は甘い声を挙げ、男の頭を両手で掴んで強く自分の中心へ押し
付けている・・。
 「よ、陽子・・・・!」
 その光景に静絵は声を詰まらせた。
 その時、男の指が静絵の下着の中へ入ってきた。
 「きゃあ! だめ!」
 咄嗟に声を出した静絵であったが、まだ身体が思うように動かず、されるがま
まの状態であった。
 男の指はゆっくりと静絵の割れ目を捕らえ、線に沿ってジックリと上下する。
 数回往復した指は、じょじょに割れ目の線を広げ、直接肉の感触を中心に与え
る。
 「あああ・・・・・」
 その絶妙な指の動きに、静絵の声が漏れた・・。
 指は膨らみ掛けた突起物を見付けると、その部分をコリコリと転がした・・。

 「あ! ああ!・・・ だめえ・・!」
 身体の中で1、2を争う敏感なポイントを指で擦られ、静絵は頭を後ろに反ら
した。

 身体中から力が抜け落ち抵抗出来ない静絵に、男の動きが大胆になってきた。

 下着に指を掛けると勢い良く下へさげツマ先から抜き取り、両脚を広げ静絵の
恥ずかしい部分を覗き込んだ。
 「だ、だめ・・! だめよ・・!」
 なんとか腕の感覚だけ戻ってきた静絵は、男の頭を掴んで覗くを辞めさせよう
とした。
 しかし手は男の頭には届かず、宙を空回りした静絵の腕は、虚しくさ迷うだけ
だった。
 男の顔が静絵の中心に近付き、そして生暖かいものがソコを這った・・。
 「あああああ・・・・・」
 男の舌は、指によって開かれた静絵の線に刺し込まれ、唾液を交えて刺激して
くる・・。
 往復する舌は、じょじょに上部を中心に責めを始め、遂には突起を捕らえて離
さない・・・。
 電気の走るような刺激に、静絵は堪らず大きな声を挙げた。
 「アアアアアァァァァ!!!!!」
 尚も突起を突つく舌の動きに、静絵は朦朧となりながら隣の陽子を見た。
 陽子は大きく広げた脚の間に男の身体を迎え入れ、激しく振る男の腰に合わせ
て嬌声を挙げている・・・。
 その時になってやっとここがどんな場所なのか、静絵は薄っすらと理解した。

 しかし理解した時には遅く、突起を舐め続けていた男の隆起した塊が、静絵の
入口を捉え、今まさに突き入れられようとしていた。
 「あっ! だ、 あうぅぅ!!」
 制止の声も出し終わらぬうちに、男の塊が静絵の体内へと抽入された!
 「い! いやあああァァァァァ!・・・・・・」
 スドン!・・と塊の先端で奥を貫かれた静絵は、一瞬にして頭の中を真っ白に
させた・・・。

 一瞬失っていた意識が、身体の中心に強く感じる摩擦によって現実に引き戻さ
れた。
 男は静絵の両脚首をガッチリ掴み、左右に大きく広げている。
 その真中に身体を割り込ませ、堅く長い塊を静絵の膣穴に往復させている。
 静絵は現況が理解出来ないまま、男が与える強烈な突き込みによる刺激で下半
身が痺れていくのを感じていた。
 意識は殆ど戻っていた。手足も今は自由に動かせる・・。
 そう自分の身体を認識した静絵は、男の身体を跳ね退けようと、ソファーの背
もたれに押し付けられた身体を前へと起こした。
 そして男の頭を掴もうとしたとき、男が激しく腰を静絵の中心にぶつけた。
 「あううう!・・・ううぅぅぅ・・・・・!」
 その余りにも衝撃的な圧迫感に、静絵は起こした身体を激しく背もたれに倒し
た。
 奥まで突き入れた先端を、男はゆっくりと引き出していく・・。
 内臓を一緒に持って行かれそうな感触に、静絵の尻が前にせり出していく。
 静絵は次の突き込みが始まらないうちにと思い、背中を再度起こした。
 しかしそれは一瞬遅く、男の腰が前へ突き出された。
 「あああぁぁぁーー・・・・・!」
 ググッっと子宮を貫かれた静絵は、背中をビッと伸ばし、腰が自然と痙攣し
た。

 「よ、ようこ・・ たすけ・・て・・」
 隣の陽子に首を向けると、陽子はソファーに腰掛けた男の上に跨り、尻をこ
ちらに向けて激しく腰を上下していた。
 その尻の間には、黒く巨大なペニスが陽子の入口を大きく広げ、陽子の吐き
出した液でヌラヌラ光ながらスライドしていた。
 静絵は微かに残る理性を振り絞り、陽子の背中に手を伸ばした・・・。
 しかしその手を、誰か別の人間が掴んだ。
 静絵の手を優しく掴んだ第3の男は、静絵の手を掴んだまま静絵の隣へ腰を降
ろした。
 「えええ!・・・」
 何がなんだか解らない静絵のシャツに手を掛けた男は、ボタンを荒々しく外
し、シャツの前を肌蹴させた。
 「いやぁ!!」 
 第3の男の手を振り払おうとした静絵であったが、一時腰の振りを休めていた
男の動きが再開され、静絵の中心に肉棒を強く押し込んできた。
 「あああああ!!」
 振り払おうとした手が下へ落ち、静絵は背中を反らした。

 第3の男は静絵のブラを押上げると、先端に佇む乳首を中指と人差し指の間に
挟みながら、ギュッと静絵の乳房を揉んだ・・・。
 「ふああぁぁ・・・・・!」
 もう片方の乳房も同じ様に揉まれ、静絵の身体が大きく揺れた。
 脚の間で腰を動かす男は、直線的な突き入れから円を描く様な動きに変わり、
静絵の穴内を縦横左右に擦り込んだ。
 「いやああー・・・ だめぇぇ・・・・・」
 乳房と中心を同時に刺激され、静絵の思考は崩壊寸前に追い込まれた。
 「静絵・・ イっちゃいなさい!」
 隣で激しく腰を上下していた陽子が、静絵に囁いた。
 「やだぁ・・ だめえ・・・ も・・う  だめえええぇぇぇ・・・・!」
 より強度を増した男のピストン運動に、静絵の腰の辺りに大きな波が発生し
た。
 そのタイミングを逃さず、第3の男は静絵の乳首を強く捻った!
 「いやああ・・・・・!! ああああああ・・・・・・・・・」
 「いっちゃうぅぅぅぅぅぅうううううううう! あああああああ!!」
 静絵は身体をガクンガクンと波打たせ、意識を天空高く舞い上げていっ
た・・・。


(7)へつづく・・・

小説(転載) 四枚の扉 5/10

官能小説
04 /26 2015


 静絵はこのところ、どうも気分がスッキリしない日が続いていた。
 その理由は、夫勇次の様子がここ1ヶ月程ちょっとおかしい事が原因だった。

 帰宅が0時を回ることも多くなり、今迄殆ど無かった休日出勤が増えた事に、
静絵は疑問を抱いていた・・・。

 たまに家に居る時の夫は、何処か落ち付かない様子だった。
 息子祐輔に対する態度は、以前となんら変わったところは無いのだが、自分に
対してはどうもヨソヨソしさが感じられる・・。
 週に二度は交わしてきた夫婦生活も、この1ヶ月は皆無に等しい。
 静絵の頭には、無意識に「浮気」の2文字が浮んでいた。
 だが、勇次の性格からして浮気をするとは思えない。
 決して自分を裏切る事はしない夫だ・・・・。
 そう自分に言い聞かせ、日々の生活に手を抜くこと無く、静絵は家族と接して
いた。

 静絵がそんな考えを巡らせている事も露知らず、勇次は純子との関係を続けて
いた。深く付き合えば付き合う程、純子の全てにのめり込み、純子も同じ様に、
勇次の全てを欲しがった。殆ど毎日、勇次と純子は身体を重ねていた。
 背徳感から生じる興奮は、お互いの理性と常識を破壊し、時間の許す限り二人
は場所を選ばず絡み合っていた。
 昼間のラブホテル・・夜の公園・・・車の中・・・。
 シチュエーションを変える事によりもたらされる刺激に、二人は酔った。
 前に3日会えない事があり、その後もゆっくり時間が取れず会う事がまま成ら
なかったときなど、純子は昼休みに勇次を自分の勤めるデパートに呼び出し、余
り利用されることの無い化粧室の個室で後背位から勇次に突き込まれ、声を殺し
て腰を痙攣させたりもした。
 そんな関係を続けていて静絵が感付かない訳が無いのだが、純子の身体に溺れ
た勇次は、そこまで気を回すことなど出来ていなかった・・。

 そんな日々が数日続いた。
 相変わらずの夫の様子に、静絵の我慢も限界に達していた。
 祐輔を寝付けてリビングへ戻ってきた勇次に、静絵は言い寄った。
 「あなた、浮気してない!?」
 いきなり静絵に詰問された勇次は、思わず声を詰まらせた。
 「バ、バカなこと言うな! 俺が浮気する訳ないだろ!・・」
 「だってあなた、最近様子がおかしいわ!」
 「仕事が忙しくて疲れてるんだよ・・」
 「そうだとしても、私のこと全然構ってくれないじゃない!」
 静絵は一度切り出した不満を押さえる事が出来ず、捲くし立てた。
 それでも妙に冷静さを保とうとする勇次に、静絵は遂にキレた。
 「じゃあ、今すぐ私を抱いてよ! ずっと無いのよ!!」
 そう言うと静絵は、軽装のワンピースを足元から脱ぎ捨て、下着姿になった。

 「おい! いきなり何だ!」
 「抱きなさいよ! 構ってよ!」
 下着姿のまま、静絵は勇次のすぐ目の前に詰寄った!
 その姿から一瞬勇次が目を反らした・・。
 その瞬間を静絵は見逃さなかった。
 静絵は目に一杯涙を溜めると、その場から走り去り、祐輔の部屋へ閉じ篭っ
た・・・。
 勇次はソファーにドサッと腰を降ろすと、頭を抱えた。
 (まいったな・・・ 静絵があんな態度を取るなんて思いもしなかった・・)
 (今から謝って抱いてやるか・・・・ でも無理だ、今日純子に3回も出しち
まったし・・・)
 勇次の頭には、今涙を流して走り去った静絵の顔よりも、今日の純子との営み
の情景が頭を巡っていた・・・。
 状況は、最悪の方向へと向かっていた・・・。

 翌朝、静絵は勇次の出勤を見送る事はしなかった。結婚して5年、初めての事
である。
 祐輔と共に部屋に閉じ篭ったまま、音も立てずいた。
 ドアの閉まる音が聞こえ、勇次が出勤した事を認識すると、静絵は祐輔を抱っ
こしながら部屋を出た。
 静絵の目は真っ赤に張れ上がり、一晩泣き通していた事がはっきりと現れてい
た。
 それでも悲しい習慣なのか、静絵は家事を一通りこなしてしまった。
 一息付いてソファーに腰を降ろしたとき、涙が頬を伝った・・・。
 そんな時、電話が鳴った。
 「もしもし・・ 00でございます」
 「静絵! 陽子よ、久し振り!」
 電話口から、軽やかで明るい声が飛び込んできた。
 「あら、陽子、元気だった・・・」
 「元気よー! でも静絵はそうでもないみたいね・・・」
 自分とは対照的に沈んだ声の静絵に、陽子は声のトーンを下げて言った。
 「ちょっとね・・ 色々あってね・・」
 静絵は懐かしい旧友の声を聞いて、泣きそうになった・・。
 「ちょっと出て来れない!? 久し振りに会おうよ!」
 引き裂かれそうな心に陽子の明るい声が染み渡り、静絵はホッとなった。
 「そうね、久し振りだし・・ 出ようかしら!」
 静絵は午後1時に会う約束をすると、身支度を始めた。

 祐輔を実家に預け、静絵は待ち合わせ場所へ向かった。
 自分の結婚式以来5年ぶりに会う陽子は、ちっとも変わっていなかった。
 「陽子、久し振り! 変わらないわね」
 陽子は現在フリーでライターをしている、静絵の大学時代の親友である。
 身に付ける物や化粧の仕方も洗練され、同じ歳とは思えないと静絵は感じた。

 「何言ってるの! 静絵も相変わらず綺麗よ!」
 「私なんか駄目よ・・・ すっかりオバさんよ・・・」
 二人は顔を見合わせて微笑んだ。

 二人共昼食を済ませていなかった為、近くレストランへ入った。
 ランチメニューを選び、久し振りの再開だからとワインを一本注文した。
 5年ぶりの親友との会話に、静絵は心が開放されるのを感じた。
 一本目のワインがアッと言う間に空になってしまい、二人は二本目を注文し
た。
 楽しい会話にワイン・・。
 静絵は気分が和んで行くのを感じ、陽子に最近の夫への愚痴を話し始めた。
 「それは浮気ね! 間違い無いわよ!!」
 ズバリ陽子に指摘され、静絵は下を向いた。
 「そうだとしても、私どうしたらイイのかな・・・」
 下を向いたまま呟く静絵に、陽子は以外な言葉を掛けた。
 「静絵も浮気しちゃえば!」
 「エッ!?」
 「だから、お返しすればイイのよ!」
 陽子は悪びれる様子もなく、事もなげに静絵に言った。
 「そんな、無理よ・・・ 相手だっている訳ないし・・・」
 少し顔を上げ、静絵は陽子を見た。
 「大丈夫! 私に任せなさい。 ちょっと冒険しちゃおうよ!」
 「冒険って・・ あなただって結婚してるじゃない」
 陽子は二年前、同じライターの男性と結婚していた。
 その事は、その年の年賀状で静絵も知っていた。
 「いいのよ、そんな堅苦しく考えるから旦那に浮気されて落ち込むんじゃな
い!」
 そう言うと陽子は店員にチョックのサインを送り、席を立った。
 「何処いくの?」
 不安げに聞く静絵に陽子は、
 「黙って付いてきなさい! きっと楽しいから」
 そう言って店をスタスタと出て行ってしまった。

 仕方無く後をついて行く静絵・・。
 陽子は10分程歩くと、ある雑居ビルの前に立った。
 「ここ、なに?」
 古びたビルを見上げながら、静絵は陽子に聞いた。
 「ここはね、私の行き付けなの」
 そう言って陽子は、脇の階段を登り始めた。
 「ちょっと陽子! 待ってよ」
 躊躇っている静絵の元に戻った陽子は、静絵の手を引くと階段を再度登った。

 ガチャリ!
 鉄のドアを陽子が開け、静絵を中へ導き入れた・・・。
 中は静まり返っており、奥の方は暗くて良く見えない。
 「なんなの、この部屋?」
 目に不安を滲ませて覗く静絵に、陽子はニコリ笑うと、手を引き中へ入ってい
った。

 「あら、陽子さん! 久し振りね!」
 奥で仕切られたカーテンを潜って、中年の女性が一人出て来ると陽子に声を掛
けた。
 「どうもです! 今日は友達連れて来たけど、イイ?」
 中年女性は、陽子の後ろに隠れる様に立つ静絵を見た。
 「あら! 綺麗な人ね! ウチは大歓迎よ!」
 「良かった、 じゃあ、ヨロシクね!」
 陽子はそう言うと、静絵を部屋の奥へ引っ張っていった。
 仕切りのカーテンの向こうは、クラシック音楽が静かに流れる空間だった。
 部屋は10畳ほどの広さで、要所に二人掛け用のソファーが数個置いてある。

 何処となく怪しい雰囲気に、静絵は後退りした・・・。
 そんな静絵をソファーに座らせた陽子は、中年女性が運んで来たドリンクを静
絵に勧めた。
 「取り合えず乾杯!」
 グラスを差し出す陽子に釣られ、静絵はカチンとグラスを合わすと、一口飲ん
だ。
 部屋の温度は少し高めに設定されているのか、何だか蒸し暑い・・・。
 静絵は喉の乾きを感じ、グラスの中身を殆ど飲んでしまった。
 数分後、何故か身体の芯が熱い・・・・。
 その熱さに耐え切れずに、静絵はジャケットを脱いだ。
 すると陽子が語り出した。


(6)へつづく・・・

小説(転載) 四枚の扉 4/10

官能小説
04 /26 2015



 一足先に昨日東京へ戻った純子は、都内某デパートで慌ただしく働いていた。

 高校を卒業してから今年で9年。このデパートの紳士服売り場で今は勤務して
いる。
 二年付き合った男が札幌に転勤になり、月に一度、純子は男に会う為に札幌ま
で行っていた。
 その男が、数ヶ月前から会う度に様子がおかしくなり、今回問いただしたとこ
ろ、札幌に新しい女が出来た事を白状したのだった・・・。
 
 元来真面目な性格の純子は、その事実に打ちのめされ、涙したが、まさか自分
がその晩に、初めて会った男と関係を持つとは、状況を加味したとしても想像し
がたい事だった。
 だが純子は、初めて自分に硬く覆い被さっていた真面目と言う殻を破った事実
に、内心嬉しく思っていた。
 陳列してある商品を整えながら、純子は勇次の事を考えた・・・。
 札幌の夜に熱く燃えた自分・・。
 純子は勇次と相性が合うと感じていた。
 (あの人の事、余り聞く事が出来なかったけど、既婚者かしら?・・)
 勇次との出会いを大事なものと感じていた純子は、再度勇次と会って確かめて
みたいと思った。
 (お昼休みにでも電話してみよう・・・)
 1時間後に迫った昼休みを心待ちにする純子の顔が微笑んだ。

 プルルルルル・・・・・。
 勇次の携帯の呼び出し音が、純子の耳に聞こえる。
 「はい・・」
 数日前に聞いた勇次の声が届いた。
 「あの・・・純子です」
 「ああ・・・ どうも・・」
 少し素っ気無い勇次の声に、純子は不安になった・・・。
 「電話、大丈夫ですか?」
 「平気だよ・・ どうしたの?」
 「今日の夜・・お暇ですか?」
 純子は不安感からくるのか、か細い声で勇次に問い掛けた。
 「うーん・・・ まだ分からないな」
 余り乗り気では無い勇次の答えが、純子の不安をより狩り立てた・・・。
 「そうですか・・・ じゃあ、夕方また電話してもイイですか?」
 「そうだね、そうしてくれる・・」
 純子は電話を切った。
 (あの人・・ 私のこと、どう思っているんだろう・・・・)
 純子は目頭が少し熱くなるのを感じた。
 (どうしたんだろう・・私・・ もう、あの人のこと・・・好きになった
の?・・・)
 自分への問い掛けに、自分でもハッキリと答えを出せない。
 (とにかく、もう一度会ってみよう・・)
 夕方、再度電話をする事を決め、純子は売り場へ戻った。

 携帯電話を見詰めながら、勇次は考え込んでいた・・・。
 自分からは純子には電話をするつもりは無かった。
 札幌から帰ったのち、勇次は静絵の顔を暫くマトモに見る事が出来なかっ
た・・。
 不貞を働いた夫を、妻は見抜くのだろうか・・・。
 初めての浮気に勇次は、不安で一杯だった。
 だが静絵は、出張前と何も変わらず、相変わらず甲斐甲斐しく勇次と祐輔に接
してくれる。
 勇次は少し安心し、二度と不安をもたらす行為を慎もうと、心に誓ったのだ。

 そんな折の純子からの電話であった・・・。
 会ってはイケナイと強く思いながらも、何故か気持ちが激しく動く・・。
 勇次は、もう一度会って、直接「もう会わない」と純子に伝えようと決心し
た。

 夕方の純子からの電話を受けた勇次は、7時に新宿で会う約束をした。
 気のせいなのか、電話先の純子の声が弾んでいる様に思えた。

 純子の心は弾んでいた。
 昼間の電話では、もう会えないのかも・・・とさえ思えた勇次の態度が、夕方
の電話では、少し違っていた。
 何より、今夜会える事の嬉しさが、純子の心に喜びの気持ちを沸き上がらせて
いた。

 「あああ・・・ イイイイイイ・・・・!」
 新宿のシティーホテルの一室で、純子は歓喜の声を挙げていた。
 下から突上げる勇次の腰は、純子の花芯の最も奥を貫き、圧迫していた。
 「おく・・・ 奥! あたる・・・のおぉ・・!」
 自分の乳房を両手でガッチリと揉み、背中を反らして純子は悶えた。
 高みへと突き進む純子の肉壁が、怪しく蠢き、勇次を刺激する・・。
 「ああ! これだ!」
 勇次は札幌で味わった、この甘美な感覚に、身体中が痺れるのを感じた。
 ヌメヌメと纏わり付く肉のヒダ・・・・。
 己の先端をクイクイと締め付ける子宮口。
 純子の名器に、勇次は爆発寸前だった。
 そんな勇次にタイミングを合わせる様に、純子の嬌声が高らかに部屋に響い
た!
 「イ! イクゥゥ!!」
 「うおおおうぅぅ!!!」
 ガクリと勇次の胸へ倒れ込む純子。
 その中心では、勇次の肉茎が激しく痙攣し、放出を続けている。
 ドク・・・ドクリ・・・・。
 全ての精を吐き出した勇次の塊は、尚も怪しく動く肉ヒダに包まれ、微かに震
えていた。

 「勇次さん・・結婚してるの?」
 純子はミネラルウォーターを勇次に手渡して聞いた。
 「ああ・・してるよ」
 勇次は渡されたミネラルウォーターで喉を潤すと、答えた。
 「そうだったんだ・・」
 純子の目が、悲しさを帯びた・・。
 「駄目かな・・?」
 勇次が問い掛ける。
 「ちょっと残念だけど・・イイわ」
 純子は勇次に微笑み掛け、答えた。
 「良かった・・嬉しいよ!」
 勇次は本心でそう思った。
 昼間は二度と会うまい・・と、心に誓った勇次であったが、
 再度純子を抱き、その素晴らしさを堪能してしまった今では、静絵への裏切り
を懺悔するよりも、純子との関係を上手くやって行こうとさえ、考え直すところ
まで来ていた・・。
 「純子、おいで・・」
 ベッドサイドで座っていた純子の手を、勇次は引いた。
 「もうなの?!」
 「ああ、純子の裸を見てたら、もうこんなだよ・・」
 勇次は下半身に掛けてあったシーツを取り払った。
 下からは、すでに完全な状態になった塊が、純子を手招きしていた。
 「凄いわ! アナタって・・・」
 そう言うと純子は、ビンビンに張り詰めた塊を、ジュブリっ!と、咥え込ん
だ・・。
 「ああ・・ いいよ、純子」
 勇次は股間に顔を埋め、その口技で甘美な刺激を与え続ける純子を見下ろしな
がら思った。
 (ちょっと、手放せないな・・純子は・・)
 顔を激しく上下させ、舌で勇次の肉茎を舐め込んでいる純子も思った。
 (結婚しててもいいわ・・ この人、凄くイイ!)
 その決断が、今後お互いを深く追い込む事になろうとは、知らずに・・・・。


(5)へつづく・・・

小説(転載) 四枚の扉 3/10

官能小説
04 /25 2015



 札幌市内のビジネスホテル。
 ベッドスタンドの薄暗い灯りの中に、男と女の腰が激しくぶつかる音が響く。

 勇次は女の両脚を肩に掛けた格好で、己の肉茎を女の奥深くに突き込み続けて
いた。
 「イイ!・・・ いいわあァ・・・・ もっと深くぅ・・・!」
 女は勇次の首に両手を廻し、自らも腰を勇次の突き入れるタイミングに合わ
せ、更に奥を突かせようと尻を迫り上げてきた。

 「ああ、最高だ・・・・」
 勇次は額に汗をタップリと滲ませながら、女の肉壁が、己の塊に与える快感に
酔いしれていた。
 「も、もう・・いっちゃうか・・も・・!」
 肉壁の刺激により、一層硬度を増した勇次の肉棒に最奥部を貫かれ、女は息も
絶え絶えの声を挙げた。
 「イッテいいぞ・・・ 俺も・・またイキそうだ!」
 勇次はだらしない程に長持ちしない息子を叱咤するかのように、肉茎の根元に
力を入れて放出を耐えている。
 しかし、女のもたらす膣内の感覚に、もうとっくに我慢は限界に達してい
た・・・。
 「イ・・イ・・クゥゥ・・・・」
 女の肉壁は、女自身の絶頂に呼応するかのごとく、勇次の肉棒を激しく締め付
けてきた。
 「うおぅ・・・ また、これだぁ・・・!」
 勇次はどうにも堪らなくなり、二度目の精液を女の中へと放出した・・・。
 「ああああんん・・  いくううぅぅぅ!!」
 二度目にしては多すぎる液体の迸りを奥深くに感じ、女の気も遠くに引き込ま
れていった・・・。

 カチッ!
 薄暗い部屋にライターの火が灯りを点した。
 勇次は咥えたタバコに火を付けると、そのタバコを、やっと息を整えた女の口
に運んだ。
 女はそのタバコを咥えると、ゆっくりと息を吸い込んだ。
 勇次はもう一本タバコを取りだし、火を付けて息を吸った。
 お互いが吐く煙が、ゆらゆらと天井に向かって漂っていった。
 「喉乾いたでしょ?」
 勇次が頷くと、女はベットを降り、冷蔵庫を開けた。
 チェックインの際に勇次が買っておいた缶ビールが二本、冷蔵室の明かりに反
射していた。
 女はそれを片手で抱えると、一本のプルトップを空け、勇次に手渡した。
 勇次は喉を鳴らしてビールを飲んだ。
 女も同じ様に喉を鳴らしていた。

 「今日会ったばかりなのに、こんな風になってイイのかい?」
 勇次は潤った喉から声を発した。
 「こんなこと、普通ないと思ってたわ・・・ でも、タイミングかしらね」
 「タイミング?」
 「そうね・・タイミング。私が酷い男と別れた時に、あなたがそこに居たって
言うね・・」
 女は上半身に辛うじて掛かったままのシャツをそっと脱ぐと、汗を滲ませた身
体を手の平で摩った。
 「じゃあ俺は、とてもラッキーな男ってことだな・・ 君みたいな素敵な女性
とタイミングが合うなんて」
 勇次は薄い灯りに照らされた女の裸体を眺めながら、本気で思った。
 「私もラッキーかもよ。アナタの様な男に出会えて・・」
 こちらに正面を向けた女の乳房が、微かに揺れた・・。
 「お互いにラッキーか・・ それもイイかもな・・」
 勇次は形良く佇む乳房に手を重ね、やんわりと揉んでみた。
 「あん! また感じちゃうわ・・」
 女は乳房に重ねられた勇次の手を掴むと、そっと下へ降ろした。
 「感じたっていいさ・・ 君の身体が素晴らしいから、触りたくなるのさ」
 「もう、嬉しいこと言ってくれるわね! アナタの身体も素敵よ!」
 女はそう言うと、半分程しか堅さを失っていない勇次の塊をキュッ!と握っ
た。
 勇次も負けじと、一度払われた手を再び女の乳房に重ねると、軽く乳首を摘ん
だ。
 「ああん もう!」
 二人は顔を見合わせて笑った。

 お互いの手の動きが休むこと無く、自然と会話が始まった。
 「君の名前は?」
 「知りたい?・・・」
 「知りたいよ、教えてくれ」
 「純子よ 純粋な子供・・ あん!」
 「歳は?」
 「27よ」
 「こっちの人?」
 「ああ・・・ 違うわ・・ 東京よ」
 「ホントに! 俺と一緒だ」
 「まあ、ビックリね! ビジネスホテルに泊まるくらいだから、出張・・で来
たの?・・あふぅ・・」
 「そうだよ・・・」
 勇次は純子の乳首を摘む指に力を加えた。
 「ああん ズルイわ・・」
 純子は身体をピクリと震わせた。
 「私も・・聞きたいのにぃ・・ああ」
 休みなく摘み続ける勇次の指に、純子のセリフが途切れ途切れになる・・。
 「何が聞きたいの?」
 勇次は身体を起こすと、純子の空いた乳首に舌を這わせた。
 「う・・ん! それじゃあ・・聞け・・ないわ・・ああぁ」
 「じゃあ、もう一度スッキリしてからだ!」
 そう言うと勇次は、純子の身体をベッドに横たえた。
 「アナタ・・・強いのね・・」
 またもや自分の身体を奪おうとする勇次に、純子は甘い声で応えた・・。
 「自分でも不思議だよ。今迄こんな事無かったから・・。きっと君のせいだ
よ・・」
 勇次は純子の脚を開くと、舌を割れ目に這わせて囁いた。
 「あああ! 嬉しいわ・・・・」
 深夜のビジネスホテルの一室に、3度目の男女の絡み音が響いていった・・。

 翌朝、勇次が目を覚ますと、女はベッドに居なかった。
 いつの間に帰ったのだろう・・・勇次が寂しく思ったとき、風呂場から水の流
れる音が聞こえた。
 3度目の交わりを、バックで激しく終了したのち、二人は眠りについた。
 女は身体にタップリと染み渡った、お互いの体液をシャワーで洗い流している
のだろう。
 そんな姿を想像していると、勇次の股間が熱を帯びてきた。
 (おいおい、どうしたんだ、俺のコレは!)
 自分の息子が急に若い頃に戻った感覚に戸惑いながらも、勇次は衝動を押さえ
られないでいた・・・。
 ベッドから降りると、そのまま風呂場へと入って行った・・・。
 数分後、シャワーの音に紛れて、純子の甘い声が朝日の差し込む部屋に染み渡
った・・。

 楽しみは人に時間を忘れさせる・・。
 勇次は時計と睨めっこしながら、大急ぎで支度をしていた。
 純子もドレッサーの前を陣取り、慌ただしく化粧で顔を整えていた。
 「君はいつ東京に戻るの?」
 勇次はネクタイを締めながら聞いた。
 「今日の夜なの。アナタは?」
 「俺は明日の夜だよ」
 髪にブラシを入れながら純子がこちらを向いた・・・。勇次の目と純子の目が
見詰め合った。
 言いたいことはお互い一緒だった・・。
 「また会えるかな?」
 勇次が切り出すと純子は、
 「もちろんよ 私も会いたいわ」
 そう言って立ち上がると、勇次に唇を重ねた・・・。
 携帯番号を交換すると、二人はホテルを出て別の方向へと歩いて行った。

 札幌での業務を全て終え、勇次は帰りの飛行機の中にいた。
 純子との交わりの後、想像以上に札幌での業務が忙しく、冷静に物事を考える
暇が無かった・・。
 改めて考えると、自分はとんでも無い事をしてしまったのではない
か?・・・・・。
 そんな思いが勇次の頭を支配していた。
 初めての浮気・・・静絵を裏切ったこと・・・祐輔の顔・・・。
 色々な事が脳裏をよぎり、勇次は心穏やかでは無かった。
 純子とは東京で会う約束をしたが、やはり会うべきでは無い!・・・。
 そう自分を理解させ、疲れた身体を休める為に眠りに付こうと考えた。
 しかし目を瞑ると、浮んでくるのは静絵や祐輔の顔では無く、純子の艶かしい
裸体と、締め付ける肉の感覚だけだった・・。
 勇次は目を開き、外の景色を見詰めた・・。
 眼下に広がる海を見ながら、一生懸命家族の事を考えた・・・。


(4)へつづく・・・

小説(転載) 四枚の扉 2/10

官能小説
04 /25 2015
エレベータのドアが開き、勇次が乗り込みドアが閉まり掛けた時、そのドアを
手で空けて女が乗り込んできた。
 「えっ!?」
 戸惑う勇次を尻目に、女は
 「何階?」
 と、聞いた。
 「5階ですけど、アナタもここに宿泊してるんですか?」
 勇次の方を振り返った女は、勇次に抱き付いてきた。
 「違うわ・・ でも、イイでしょ? 今日は一人は嫌なの・・・」
 「しかし・・! マズイよ・・・・ こんなの・・・」
 うろたえる勇次を見上げると女は、唇を合わせてきた。
 「うむっ!・・・」
 女の舌が進入してきた・・・。
 勇次は振り解こうと女の肩を掴むと、力と入れた。
 女は勇次の背中に両手を廻すと、ギュウっと身体を密着してきた。
 女の身体からは甘くイイ香りが漂う・・・。
 酒のせいか、勇次の思考がその香りで麻痺する・・・。

 エレベーターが5階へ着き、勇次の部屋に転がり込んだ頃には、勇次は舌を積
極的に女の舌へ絡めていた・・。
 (浮気するのか?・・・ 俺が!)
 今迄浮気をした事が無い勇次は、自分の今の状況を整理しようとした。
 (妻を裏切るのか?・・・ 静絵を・・・)
 静絵の顔が浮んだその時、理性が働きかけた。 
 (やっぱりダメだ! 静絵を裏切れない!)
 そう決断し、女の顔を自分から離そうとした。
 その時、女の手が勇次の股間を弄った!
 「ダメだ!」 
 勇次は力を入れ、女の顔を引き剥がした。
 女の目には涙が溢れていた・・・。
 それを見た勇次は、一瞬たじろいだ・・。
 その隙を逃さず、女の手がズボンのチャックを降ろした。
 そして中に手を刺し入れると、トランクスの中へ指を滑り込ませ、
 直接勇次の塊を摩った・・・・。
 「うあ!」
 思わす声を漏らした勇次の反応に応える様に、塊がグっ!と堅さを帯びてき
た。
 その先端を女の指が滑らかに動く・・。
 勇次の理性は失われつつあった・・。
 女はベルトを器用に外すと、ズボンのボタンを指で弾き、膝元までスルリと脱
がし降ろした。
 そして顔を勇次の顔から離すと、姿勢を低くしていった。
 女の指がトランクスのゴムに掛かり、下へさげた。
 その行為に、失いつつあった勇次の理性が再度甦った。
 「やっぱり駄目だ!」
 そういい、姿勢を低くした女の頭を掴もうとしたとき、己の塊を熱いものが包
んだ。
 「あうっ!・・・」
 女の唇は、しっかりと勇次の塊を捕らえ、舌を絶妙に絡ませてきた。
 「や、やめてくれ・・・」
 急速に襲ってくる快感に、勇次の訴える声も掠れた・・。
 女は勇次の訴えに耳を貸さず、8割程度に膨らんだ塊を、喉奥まで咥え込ん
だ。
 「くうううっ!・・・」
 先端を喉で締めてくる行為に、勇次の理性は殆ど吹き飛んだ!

 じゅじゅじゅる・・ ジュルっ!
 女の口技は絶妙だった・・・・。
 完全に堅く膨らんだ勇次の肉茎を、完璧なまでに刺激してくる・・。
 根元に指を絡めシゴキ、奥まで咥え込んで締め付け、舌を縦横に動かし裏筋全
体を刺激する・・・。
 勇次は今迄味わった事の無い刺激に、我を忘れた。
 勇次をベッドに押し倒した女は、スーツのミニスカートを自分で捲り上げる
と、レースの下着を細い脚からスルリと抜き取り、ベッドへと上がった。
 そして虚ろな目で見上げる勇次に甘い目で応えると、勇次を跨ぎ、ゆっくりと
腰を降ろしてきた。

 ズズズ・・・・
 勇次の肉茎が、女の膣穴に呑み込まれた・・・。
 その感触に、勇次の頭が揺れた。
 女は沈めた腰をゆっくり引き上げると、引き上げた腰をまた、ゆっくりと沈め
た・・・。
 「ああああ・・・・・」
 女の口から吐息が漏れる・・・。
 女は腰を円を描くようにグラインドさせると、入口を締め付け上下運動を交え
た。
 その余りの巧みさに、勇次は男らしからぬ声を挙げた。
 その声が女に火を付けたのか、腰の動きが一層激しさを増し、勇次の肉茎へと
得も言われぬ快感をもたらす・・・。

 完全に女の性技に翻弄された勇次は、女の上着に手を掛けると、ブラウスのボ
タンを荒々しく外した。
 レースの下着とお揃いのブラを強引に押上げると、女の乳房を強く揉んだ。
 「あああああ!  いい・・・・・」
 女は腰の動きを微妙に変化させると、乳房を揉む勇次の手の平の上に、自分の
手を重ねると、強く握った。
 二人の手の平が女の乳房を弄る・・・・。
 自分の上で怪しく悶え声を挙げる女の美しさに、勇次は興奮した。
 女の腰使いは、口での技と同様に巧みだった・・・。
 こんな性技に長けた女を勇次は知らない・・・。
 元々、女性経験が豊富な勇次ではない。
 静絵を入れても数人との経験しかなかった。
 もちろん静絵も、これ程までの女の技をもってやしない。
 どちらかと言えば受身一辺倒の静絵は、勇次の上で怪しく腰を振ることなど、
皆無に等しい・・。

 そんな風に無意識に頭の隅で思いを巡らせていた勇次に、強烈な放出感が沸き
上がった!
 女の絶妙な腰使いに、決して早漏では無い勇次の肉茎は、とても耐えられなく
なっていた。
 「いきそうだ!・・・・」
 女の乳首を指で擦りながらうめく勇次に、女は腰の動きを速めて言った。
 「いいわ!・・ ああ・・・ このまま・・はあ・・ イッて・・」
 そう言うと女は、膣全体を強烈に締め付け、勇次の肉茎をキツク包んだ。
 「うああ・・! いく・・!」
 勇次の塊が、最高潮に堅く膨らんだ!!
 「あああああぁぁぁ・・・ イイぃぃ・・・!」
 「イッテ! ・・・ いってぇぇ・・・ わたしも・・・・い・・く
ぅ・・・」
 女の肉壁がグニュグニュと動き、勇次のクライマックスを促した。
 「あああああっ!」
 勇次の塊の先端から、勢い良く白液が放出された!
 「あああああぁぁぁああァァァ・・・・・!!!」
 締め付ける膣穴の奥が激しく収縮し、勇次の放出物を受けとめた・・。
 女の肉壁は、性を放った勇次の肉茎を尚も締め付けてくる・・・。
 その未知の快感に、勇次は唸った。
 女も背中を大きく反らせたあと、勇次の胸に崩れ落ちてきた。

 ハア・・ハア・・ハア・・・・
 お互いの荒れた息が部屋に木霊する・・。
 勇次は女の顔を上に向けると、唇を重ねた。
 女も自らの舌を勇次に絡ませ、身体を痙攣させた。
 「凄かったよ・・・」
 息を整え勇次が言うと
 「貴方も良かったわ・・・・」 
 と、まだ中に残る勇次の塊を締め付けて言った。
 「うおっ!」
 その感覚に勇次は思わず声をあげる・・・。
 肉茎も、放出したばかりだというのに、何故か微妙に堅さを取り戻した。
 「まだ出来るかしら・・・・」
 女は怪しい笑みで勇次を見た。
 「かもね・・・ 自分でも信じられないけど」
 
 きゅっ・・キュッ! 
 と、締め付けを止めない女の肉壁に、勇次の塊は完全に近い状態に復活してい
た。
 「あああ・・・ 大きくなった・・・」
 塊の復活を膣内で感じた女は、嬉しそうに囁いた・・。
 「責任とってくれよ」
 そう言って肉茎に力を込める勇次は、女と上下体勢を入れ替えると、今度は自
分から、女の奥へと腰を突き入れた。


(3)へつづく・・・

小説(転載) 四枚の扉 1/10

官能小説
04 /25 2015



 勇次は都内一流企業に勤めるサラリーマンである。
 妻の静絵と5年前に結ばれ、3歳になる男の子が一人いる。
 年齢は34歳。静絵は29歳。
 仕事や結婚生活には、何も問題なく、平凡な生活を送っている。
 会社では、課長のポストを与えられ、可も不可もなく、また部下からも慕われ
る、人当たりの良い人間である。

 そんな日々を過ごしていた勇次は、有る日を境に人生を大きく変えていった。

 6月の最初の月曜、勇次は部長に呼ばれ、明日からの札幌支社への急な出張を
命じられた。
 自分のデスクの上には、仕事は山程溜まってはいたが、断われる訳もなく、部
下に簡単は引継ぎを行うと、出張の準備の為その日は早々と会社を後にし帰宅し
た。

 「あら、今日は随分と早いのね!」
 台所で夕食の準備を始めていた妻の静絵は、普段より3時間は早いであろう夫
の帰宅に、少々驚きの声をあげた。
 「明日から急に北海道へ出張になったんだ・・。その準備が有るから今日は早
く帰れたのさ」
 滅多に無い父親の早い帰りに、喜び飛び付いた息子の祐輔を抱きかかえなが
ら、勇次は妻に言った。
 「そうなの・・・それは急よね。急いで夕飯作り終えるから、その間に支度し
たら」
 静絵は冷蔵庫から材料を数品取りだし、いそいそと支度を始めた。
 勇次は書斎へ入ると、出張用の資料やら着替えをバックに適当に詰め込んだ。

 
 夕食の献立は勇次の好物の親子丼だった。
 静絵は常日頃から、勇次の好むものを夕食のテーブルに並べる事が多かった。

 息子の祐輔の事も有るので、子供用の献立も別に作る、マメで愛情に満ちた良
妻であると、勇次は日頃から感じている。

 「主張はどの位なの?」
 静絵は祐輔の口に食べ物を運びながら聞いた。
 「3日の予定だよ」
 「そうなんだ・・3日も居ないなんて寂しいね!」
 息子の祐輔に同意を求める様に、静絵はニコリと祐輔に笑いかけた。
 祐輔は余程お腹が空いていたのか、静絵の言葉には全く反応せず、無邪気に母
の手元の箸を口で追い掛けていた。
 そんな息子の行動が可笑しくて、勇次と静絵は顔を見合わせて微笑んだ。
 
 「行ってくるよ」
 翌朝勇次は、玄関で見送る妻と息子の頬にキスをすると、迎えに来たタクシー
に乗り込み空港へ向かった。
 札幌千歳空港行き、117便。
 勇次を乗せた飛行機は、順調にフライトを続け、約1時間半後、千歳空港へ着
陸した。
 空港から札幌支社へのタクシーの中で、勇次は昨夜の夕食時の事を思い出して
いた。
 息子祐輔の無邪気な笑顔。妻静絵の優しい振舞い・・・。
 結婚してこの5年間、勇次は幸せな生活を送れている事に嬉しくなり、思わず
口元が緩んだ。
 静絵とは7年前、勇次27歳、静絵22歳の時に出会った。
 勇次の勤める会社に、大卒の静絵が入社し、同じ部署で働く事になったのが、
最初の出会いである。
 静絵は入社後すぐに、社内で一番の美人との評判がたった。
 勇次の目からも、スラリとしたスタイルながらも、制服の上からも充分に確認
出来る凹凸を持ち、純和風系の整った顔立ちをした静絵は、皆の評判通り、社内
一だと感じていた。

 当時は勇次には付き合ってる相手が社内におり、静絵にも学生時代からの彼氏
が存在し、お互いに恋愛対象と感じる事はなかった。
 静絵が入社して1年が経ち、その間同じ部署で働く者として頻繁に会話を交わ
し、先輩後輩という関係のみで親近感を深めていた。
 そんな二人の関係が、その年の部署の忘年会で親密になった。
 深酒をしてすっかり酔っ払った静絵を、家が同じ方向だからと勇次がタクシー
に同乗し送る事になり、酔いつぶれて寝てしまった静絵を部屋まで運び入れ、目
を覚ました静絵が失恋したと泣き崩れ、そんな静絵を介抱しているうちに、大人
の二人は自然に結び付いてしまった。
 
 勇次は一晩で静絵に魅了され、付き合っていた彼女と速攻で別れた。
 別れには当然一悶着あったが、勇次は静絵との付き合いを諦める事は全く考え
られず、1年交際した後、静絵と結婚した。
 すぐに可愛い長男が生まれ、家族愛に満たされて生活を送り、現在がある。 
勇次は札幌に来たばかりなのに、早く家に帰りたいと考えていた。 

 札幌支社での初日の業務も完了し、わざわざ本社からいらしてくれたからと、
札幌の社員が設けてくれた酒の席に招待され、勇次は北海道の酒の幸を堪能し、
とても気分が良かった。
 明日も業務があるからと、一次会で早々に解散し、勇次は宿泊するビジネスホ
テルへチェックインした。
 一次会で帰って来た事もあり、まだ時間が早かったので、勇次は良い気分も手
伝ってか、部屋に荷物を置くと地下のラウンジに向かった。

 平日ともあって、ラウンジには一組のカップルが居るだけだった。
 勇次はカウンターに座ると、バーボンのロックを注文した。
 暫くバーボンを堪能していると、最初から居たカップルが喧嘩する声が聞こえ
てきた。
 女は男に詰寄り、文句を言っている。
 男はそれを黙って聞いていたが、おもむろに席を立つと、無言のままラウンジ
を出て行ってしまった。
 一人残された女は、その場で泣いていた・・・。
 5分ほど泣いていただろうか、女はバックからハンカチを取り出すと涙を拭
き、涙で落ち掛けてしまった化粧を直すのか、奥の化粧室へと入って行った。

 暫くして化粧室から戻ってきた女は、勇次の事をチラっと見ると、カウンター
に座った。
 マスターにシンを注文し、タバコに火を付けようとライターをカチカチ鳴らし
た。
 ガスが切れているのか、火は一向に付かない。
 勇次がその様子をチラチラ見ていると、女は勇次の方を向き、火を貸して欲し
いと言った。
 勇次は自分のライターを女に差し出した。
 女は勇次のライターでタバコに火を付けると、スウー・・と吸い込み、暫く息
を止めてから、吐き出した。その息は、少し溜息も混じっている様だった。

 勇次はバーボンのお替わりを注文した。
 すると女は、ハシタナイところをお見せしたからと、こちらに付けてくれとマ
スターに言った。
 そんな事でご馳走にはなれないと勇次が断わると、女は、
 「それなら少し私に付き合ってください」
 と、自分のグラスも持ち上げ、勇次に乾杯の仕草をした。
 「それなら・・」
 勇次は少し躊躇いもしたが、傷付いた女性の気晴らしにでも成ればと付き合う
事にした。

 数杯酌み交わしたのち、お互いに少し打ち解けた事もあり、会話が弾んでき
た。
 女は先程の男の愚痴をいい、勇次はその話を聞きながら、自分なりの意見を言
った。
 「なんだかバカみたいね、私って!」
 女は勇次に笑顔を向けて言った。
 「君は悪くないよ。相手の男が悪いのさ!」
 勇次は慰めの気持ちを込めたつもりで女に言った。
 「そう言ってもらえると救われるなー・・・」
 女の顔が少し輝いた。

 すっかり良い調子でお互い飲んでしまい、勇次が腕時計を見た時は12時だっ
た。
 「そろそろお開きにしましょうか? 少しは気が晴れましたか?」
 勇次は女の方を向いて聞いた。
 「うーん、そうね・・・。少しはね・・・・」
 勇次の顔を見詰めながら女は答えた。
 女の目は、少し潤んでいた・・。また涙がこぼれそうだ。
 勇次はその目に一瞬吸い込まれそうのなった。
 改めてジックリ見た女は、とても妖艶で、魅力的だった。
 勇次は頭を軽く振ると、煩悩を振り払った。
 そしてチェックを済ますと、
 「それでは・・」
 と、女に声を掛けて席を立った。


(2)へつづく・・・

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。