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小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 6/8

近親相姦小説
09 /20 2018
 その日は賢の中学校の入学式だった。二年前にベルギーから帰国したばかり
だったので近所の公立中学ではなく、海外からの帰国子女を大勢受け入れてい
る私立への入学を圭子が選んだ。朝、七時半に家を出た圭子と賢が初めて満員
電車を経験した。それは想像以上の混雑で慣れない二人は人の波に揉まれて右
往左往していた。電車が次の駅に差し掛かった時、圭子は尻の辺りに違和感を
感じた。誰かが後ろから触っていた。
 「賢、後ろの男が変なことしてるの。」
 咄嗟に圭子がフランス語で賢に話し掛けた。
 「え、ママの後ろから。それ、きっと嫌らしい奴だよ。」
 痴漢というフランス語を知らなかった賢がそう応えた。周りはどうみても日
本人の親子が急に訳の分からない言葉で喋り始めたので一斉に好奇の目を二人
に向けて来た。
 「ママ、こっちにおいでよ。」
 「そうね。」
 圭子が後ろを振り返ってフランス語で男を罵った。慌てて手が引っ込んだ。
その隙に圭子が賢の方に移動しようとした。言葉は分からなくても周りが雰囲
気を感じて隙間を作ってくれた。圭子の後ろにいた男は次の駅で飛び降りて行
った。
 「オララー。これが日本のラッシュなのね。昔、まだ日本にいた頃はこんな
混んだ電車に乗ることなかったから知らなかったけど。」
 圭子はそのままフランス語で話し続けた。賢もどちらかと言えば日本語の方
が辿々しかったのでそのままフランス語で答え続けた。二人は向き合って乗っ
ていたが、徐々に車内が混んで来てとうとう身体が密着してしまった。圭子は
少し高めのヒールを履いていたので賢の前がピッタリと脚の付け根に食い込ん
でしまった。
 「凄い混みようね。」
 「うん。これから毎日だと思うとうんざりしちゃうな。」
 「慣れるまでママも一緒に通って上げようか。」
 「うん。ママが一緒の方が安心かな。」
 「私も賢と一緒じゃなきゃ、こんな混んだ電車嫌よ。また変な奴に触られた
ら困っちゃう。」
 「さっきの奴、ママのお尻触ってたの。」
 「そうよ。それも指先をグリグリ突っ込んで来てさ。お尻の穴がムズムズし
ちゃった。」
 圭子はさっきから賢の前が固くなっているのに気付いていた。ちょうどその
先端が敏感な突起に触れている。賢治と別れて以来、そこに触れた男は一人も
いなかった。
 自分に押し付けられているのが息子のその部分だと思うと、圭子は身体の芯
が妙に疼くのを感じて思わず腰を退こうとした。しかし、電車の混雑がそれを
許さず、反対に倍くらいの力で押し返されてしまう。強く押し付けられて賢が
更に固さを増した。突き上げてくるその感触に圭子が思わず目をつぶる。忘れ
ていた何かが圭子の中で目を覚まし始めていた。
 翌日から圭子も一緒に都心まで、賢の通学に付き合うことになった。賢を学
校まで送り届けた圭子はその足で国会図書館に行く。請け負った翻訳の資料調
べを午前中の日課にしたのである。二人は必ずピッタリ向き合って電車に乗り
込んだ。乗り込むとすぐにフランス語で話し始める。そうすれば痴漢はまず手
を出して来なかった。
 いつの間にか圭子は脚の間に当たって来る息子の強張った感触を楽しむよう
になっていた。賢の方も自分が母親のどこに触れているのか、十分に意識して
いた。痛いほどにズボンの中が固くなり、それが母親のスカートを脚の間に押
し込むまでになっていた。賢の方もその感触を楽しんでいることは間違いなか
った。
 四月も半ばを過ぎると初夏のような暑い日が出てくる。薄着になると賢の強
張りをよりリアルに感じてしまう。いつもより混雑がひどかったある日、圭子
は息子に押し付けられて軽く登り詰めてしまった。
 「ママ、大丈夫。」
 夢現になっていた圭子が賢の声でハッと我に帰った。
 「あ、大丈夫よ。今日はいつもより混んでるわね。」
 「うん。」
 賢の強張りは相変わらず脈動し続けている。また圭子の疼きが強まってきた。
圭子の中で息子がいつの間にか一人の男に変わり始めていた。
 五月の連休を過ぎても圭子は図書館通いの日課は変えなかった。朝のほんの
一時なのだが、その甘味な時間を手放したくなかったのである。混雑の中で二
人が引き離されてしまわないように、圭子が賢の腰を抱えるようになっていた。
より密着した二人の身体が電車の揺れに合わせて擦り合う。それが二人の密か
な楽しみになっていた。
 七月の初旬、賢の中学が他より一足先に夏休みに入った。朝の一時が急に途
絶えたので圭子が苛立ち始めた。三日もすると圭子は身体の芯が疼いて堪らな
くなって来た。一旦歯止めが外れた圭子は、最早、自分が転がり始めたのをど
うすることも出来なかった。夜、ベッドの中で我が身に触れるようになったが、
それがむしろ身体の疼きを倍加させてしまった。
 (実の息子にこんな気持ちを抱くなんて)
 圭子の心は羞恥に震えた。それでも、夜、目をつぶると息子のいきり立った
ものが瞼の裏にありありと浮かんで来た。
 梅雨が明け、暑い日が続くようになると圭子は極端な薄着をするようになっ
た。透け透けのブラウスをブラ無しで羽織り、裾を腰の周りで結んで臍を出し
たり、ゆったり目のキュロットの下にTバックの下着を着けたり、日が経つに
連れて露出の度合いがエスカレートして行った。色々口実を見付けようとはす
るのだが、まさか自分の方から息子に迫ることなど到底考えられなかった。そ
れでも常軌を逸してしまった圭子の頭には息子の関心を自分の身体で引きつけ
ることしか浮かんでこなかった。
 その想いは賢も一緒だった。満員電車の中ので母親の感触は今でもしっかり
憶えている。時には意識的にグリグリ押し付けても厭がる素振りさえ見せなか
った圭子。その密かな楽しみが戻ってくるのはまだ一ヶ月以上先のことなので
ある。さりとて、賢の方も母親に近付く口実を見付けることが出来なかった。
そんな中で圭子が日増しに大胆な服装になって行く。夕食時に賢の皿に料理を
盛ろうと屈んだりするとブラウスの隙間からしっかり乳首までが見えてしまっ
た。床に寝そべってテレビを見ているとキュロットの隙間から殆ど剥き出しに
なった白いお尻が丸見えになっている。賢の目が一日中圭子を追い掛けるよう
になっていた。圭子の方も十分に息子の視線を意識していた。
 「ねえ、ちょっと肩揉んでくれない。」
 溜まりかねた圭子が自分の方から切欠を作ろうとした。このままではいつま
で経っても埒があかないような気がしたのである。
 「う、うん。いいよ。」
 後ろに回った賢が圭子の肩に手を載せた。その瞬間、圭子の身体に電気が走
った。
 「最近、肩とか背中が凝っちゃってね。」
 決して上手とは言えない手付きで賢が圭子の肩を揉み始めた。肩越しに見下
ろすとブラウスの胸元から胸の膨らみが丸見えだった。その丸い膨らみの上に
ピンクの乳首がちょこんと載っていた。
 「いい気持ち。もうちょっと強く。」
 圭子は背中に当たっているものを意識して顔が火照って来た。これこそ電車
の中で自分に押し付けられていた息子の強張りそのものだった。
 「ありがとう。ついでに腰も揉んでくれる。」
 そう言って圭子が俯せになった。賢が腿を跨いで背中に手を当てた。
 「ああ、気持ちいいわ。もう少し上も。」
 賢が少し上に座り直した。腿の裏側に何かが当たった。
 「もうちょっと上。」
 今度は賢が圭子の尻の上に跨って来た。前屈みなっているので固くなったも
のがもろにその部分に押し当てられた。
 「うん、そこ。とってもいい気持ち。」
 賢が手を動かす度に押し当てられたものがキュロットの上からめり込んで来
る。それは電車の中とは比べものにならない位にダイレクトな感触を圭子に伝
えてきた。いつまで経ってもやめろと言わないので賢が圭子の背中を押し続け
た。いつの間にか手の方がお留守になり、腰だけが前後に動いていた。
 「あ、ありがとう。お陰で楽になったわ。」
 二度ほど軽く登り詰めた圭子が名残惜しそうに言った。賢がゆっくり立ち上
がる。圭子が横目でチラッと確かめると半ズボンの前が大きく膨らんでいた。
 「また明日も揉んでね。」
 「うん。いいよ。」
 こうして圭子は新たな楽しみを見出した。賢も喜んでいるようだった。次の
日は最初から賢が尻の上に跨って来た。その日、圭子はキュロットの代わりに
ミニを履いていたので、よりハッキリと賢の感触を味わうことが出来た。
 「え、」


(7)へつづく・・・

小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 5/8

近親相姦小説
09 /20 2018
 数日後、圭子の方から電話があった。自分のところは手狭だから賢治の家で
話したいと言って来た。
 「そうしようか。明日は土曜だから、今晩来ないか。」
 「私もそのつもりで電話したの。」
 「泊まる用意してくれば。」
 「ええ。いいかしら。」
 「こっちは最初からそのつもりさ。賢も泊まれるんだろう。」
 「勿論、一緒に連れて行きます。」
 「じゃあ、弥生に食事の支度をさせて待ってる。」
 「いえ、こちらからも何か用意して行くから、弥生さんには私が行ってから
支度しましょうと伝えておいて下さらない。」
 「分かった。飲み物はこっちで用意しておこう。」
 六時半過ぎに圭子と賢がやって来た。圭子はボディラインぴったりの白いニ
ットのワンピースを着て来た。ブラは付けていないらしく乳首がツンと浮き出
ている。パンティラインも外からは分からなかった。
 「素敵。」
 弥生が圭子の姿に見とれた。
 「ちょっと恥ずかしかったけど、賢がこれ着て行けって言うもんだから。」
 圭子がポッと頬を赤らめた。
 夕食は始めから和やかな雰囲気に包まれていた。健二の前に圭子が座り、左
右には弥生と賢が向かい合っている。賢治の皿が空になると圭子が空いた皿に
料理を載せて差し出した。それを見た弥生がすかさず賢に給仕する。お互いに
心を許しながらも、どこかで小さな火花が飛んでいた。
 「ちょっと席外していい。」
 弥生が賢に目配せしてから立ち上がった。
 「勿論。弥生の部屋で休んで来なさい。」
 弥生が賢治にウィンクして、賢の腕を抱えながら食堂から出て行った。
 「私達に気を使ったみたいね。」
 二人の後ろ姿を見送った圭子が改めて賢治の目をジッと見つめた。
 「うん。後片付けは後にして、こっちもちょっと食休みしようか。」
 賢治がそう言って空になったグラスにワインを注ごうとすると、圭子がそっ
と手で塞いだ。
 「お酒はもういいでしょう。」
 「そうだな。」
 賢治が隣のリビングに移動してソファーに腰掛けると圭子が隣に座って身体
を預けてきた。賢治がその肩を抱き寄せた。
 「二十年振りね。やっぱりあなたの胸は暖かいわ。」
 「結婚しなかったんだね。」
 「意地でもしたくなかったわ。それに、賢のことで手一杯だったし。」
 「寂しくなかった。」
 「なかった、って言ったら嘘になるわね。賢が小学校に上がって手が放れて
からは特に。」
 「この間の話し、まだ信じられないよ。」
 「私達が兄妹だってこと。」
 「うん。」
 「私だって同じ。話としては分かるんだけど、こうして抱かれてると実感湧
かないわ。」
 「あいつらも同じだろうな。」
 「そうよね。だって、ついこの間まで他人だと思って抱き合ってたんでしょ。
無理無いわ。」
 圭子が顔を上げた。目と目が合い、スッと唇が近付いた。重なった圭子の唇
が微かに震えていた。
 「私ね、あなたとの関係を昔に戻す前に、一つだけ言わなきゃいけないこと
があるの。それが無かったら、この間来たときにそのまま抱かれてたと思う。」
 「言ってごらん。どんなことでも驚かないと思うよ。」
 「急かさないで。あなたに話していいものかどうか、まだ決心付いてないん
だから。」
 賢治は胸に響いて来る何かを感じた。同時に自分の方も大きな胸のつかえが
降りたような気がした。
 その頃、弥生の部屋では二人がしっかり抱き合っていた。
 「下の二人、上手く行ってるかしら。」
 「多分ね。でも、二十年振りに会って、どんな風に始めるんだろう。」
 「そうよね。若ければ抱き合ってキスしちゃえば後は勢いで行けるだろうけ
ど。」
 「弥生はあの時、最初の日のことだけど、何で俺に抱かれてもいいと思った
の。」
 「分からない。何となく安心感があったの。」
 「パパみたいな。」
 一瞬、弥生の身体が強張った。
 「それ、どう言う意味。」
 「さあ、それは弥生の方がよく分かってるんじゃないかな。」
 弥生の中で賢が少し固さを増したような気がした。
 「何でそんなこと言うの。」
 「弥生は夢中で気が付いてないみたいだけど、時々俺のことをパパって呼ぶ
からさ。」
 「嘘。」
 「本当だよ。最初の日は、パ、って言っただけだったけど。」
 「賢はそれでも平気なの。」
 「全部言っちゃいなよ。楽になるから。」
 「私のこと、嫌いにならない。」
 「大丈夫。弥生が本当のこと言ったら、僕の方からも言うことがあるから。」
 途端に弥生の目がキラッと光った。
 「賢、もしかして、あなたも。」
 賢がしっかり頷いた。
 「キャッホー。」
 弥生が奇声を発した。その声は下まで聞こえたようだった。
 「上は随分楽しそうね。」
 圭子が賢治の頬を確かめるように撫でていた。
 「一つだけ聞いてもいい。」
 「いいよ、何でも。」
 「あなたと弥生さん、とっても仲いいみたいだけど、何で。どうして彼女、
奥さんに付いて行かなかったの。」
 「別れた原因が女房の不倫だったからかな。もっとも、その前から弥生と俺
は仲良かったけど。」
 「うちも賢と二人っきりだったから、特別仲がいいのよ。」
 「分かってる。多分、うちも似たようなものさ。」
 「本当かしら。」
 「間違いないと思うよ。いずれにせよ、賢と弥生は兄妹だし、俺と圭子も兄
妹なら、もう離れることはないだろう。この際、何もかも、全部ぶちまけてし
まわないか。」
 「どんなことでも、しっかり受け止めてくれる。」
 「お互い様だって言っただろう。」
 「何だか私が言おうとしてること、あなたには分かってるみたいね。」
 「間違いないと思うよ。俺の方から言おうか。」
 「待って。まだ踏ん切りが付かないの。だって、大変なことなのよ。」
 「世間ではな。」
 圭子が驚いたような顔をした。一呼吸置いて賢治が言った。
 「俺はこの間、一月くらい前にパイプカットしたんだよ。」
 「え、カットしちゃったの。」
 「ああ、万一に備えてね。」
 「万一って、まさか、弥生さん。」
 賢治がしっかり頷いた。
 「何てこと。」
 圭子が改めて賢治の目をしっかり見つめてきた。目の色が全てを物語ってい
た。
 「これで、全てが弥生の思う壺だな。」
 「どう言うこと。」
 「弥生の奴、圭子と賢がそう言う関係じゃなかったら、何としてでもそうさ
せようって企んでたんだよ。」
 「賢も同じようなこと考えてたみたい。」
 「この間、うちから帰ってすぐに賢に抱かれたんだろう。」
 「うん。いつもより何倍も激しかったわ。あなたの方も。」
 「弥生がね。殆ど一晩中抱き付いて離れなかったよ。」
 「お宅は奥さんが最近までいたんでしょう。それでもそんな関係だったの。」
 「うちはほんの最近、今年に入ってからさ。弥生の十六歳の誕生日にせがま
れて二人で温泉に行ったんだよ。別れた女房が不倫相手と旅行してる間にね。」
 「弥生さんの方から迫ったの。」
 「うん。あの手この手で結局押し切られちゃった。そっちはどうなんだい。」
 「うちはもっと早くから。賢が中学に上がった時からだから、もう六年以上
になるわ。」


(6)へつづく・・・

小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 4/8

近親相姦小説
09 /19 2018
(四)再会、そして

 美子の引っ越しが終わるのを待って弥生が賢と圭子を家に連れてきた。玄関
で出迎えた賢治を見て圭子が絶句した。
 「二十年振りだな。ちょっとふっくらしたけど、全然変わってないな。」
 「賢治さんこそ。」
 賢は賢治と弥生のことを殆ど報告していなかったらしい。
 「まさか、弥生と賢がこう言うことになってしまうなんて。世の中狭い。」
 「私も弥生さんって名前を聞いた時はちょっとは胸騒ぎがしんたけど、まさ
かねぇ。」
 「さ、こんなところで立ち話も何だから、上がって。」
 「お邪魔します。ところで賢治さん、奥さんは今日いらっしゃらないの。」
 賢治と弥生が顔を見合わせた。
 「話してないのか。」
 「それはパパの口からじゃない。」
 「そうだな。とにかく上がって。時間はたっぷりあるんだから。」
 圭子と賢をリビングに通した賢治が弥生にお茶の支度をさせた。圭子は紺の
スーツにピンクのブラウスを着ていた。タイト気味のやや短めのスカートなの
で、ゆったりしたソファーに深々と腰掛けるとピッタリ膝を閉じていても僅か
に下着が見えていた。賢治が言う通り腰の辺りの肉付きは一回り大きくなって
いたが、全体のプロポーションは殆ど崩れていなかった。
 「さっきの質問だけど、女房とは先週、正式に別れたんだ。細かいことを抜
きにして言えば、もう実質的に夫婦じゃなくなって何年にもなるし、弥生にそ
の辺をきちんとしておけって言われたんだよ。」
 「まあ、弥生さんに。」
 「うん。全てに於いて弥生には振り回されっぱなしなんだ。ところで、圭子
には全て事情が分かっていることだが、賢にもその辺のことをきちんと説明し
ようか。」
 自分が呼び捨てにされたので圭子がチラッと上目遣いに賢治の顔を見た。
 「俺の方は全て弥生に話してあるんだ。」
 賢が顔を上げて賢治の目を真っ直ぐに見た。賢治が口を開く前に賢が先回り
して答えた。
 「大体分かりました。要するに、あなたが僕の父親と言うことなのですね。」
 「その通りだ。俺は一目見たときにそれが分かった。何しろ、圭子にそっく
りなんだから。」
 「いえ、この子は父親似ですわ。ね、弥生さん。」
 「私もそう思うわ。初めて抱かれ・・・あ、いけね。」
 弥生がペロッと舌を出した。顔が真っ赤になっていた。
 「そんなこと分かってますよ。遠慮しなくていいわ。」
 圭子が苦笑しながら弥生にウィンクして見せた。
 「とにかく、うう・・・パパそっくりで驚いたんだもん。」
 弥生が危うく言葉を飲み込んだ。調子に乗って喋ると飛んでもないことを言
ってしまいそうだった。
 「それより、パパ達、もう一度出直す気持ちはないの。」
 「パパ達って、俺と圭子のことか。」
 「うん。二人とも嫌いになって別れた訳じゃないんでしょう。」
 「今日、それも二十年振りに会ったばかりだよ。今すぐそんなこと言われて
も。なあ、圭子。」
 「いえ、私の方は賢治さんさえよければ。」
 「ほら、圭子さんもああ言ってるんだから。」
 「そりゃあ俺に異存がある訳じゃないが。」
 賢治がコーヒーを飲み干して暫く黙り込んだ。
 「その前に、何で、二十年前に圭子が俺の前から姿を消さなければならなか
ったのか、その訳を聞かせてくれないか。」
 圭子が暫く考えてから口を開いた。
 「そうね。こうなったら、その辺をきちんとしておかないと行けないわね。」
 圭子が賢と弥生を交互に見比べた。
 「実は、私と賢治さんは、賢と弥生さんと同じ関係なの。」
 「え、どう言うことだ。」
 「私と賢治さんの父親は同じと言うこと。詳しくは聞かされてないけど、賢
治さんのお父様と私の母親が不倫して、それで私が生まれたんですって。それ
を知っていたのは不倫の当事者二人だけ。私の父親も不倫そのものには気が付
いていたらしいけど、相手が誰かまでは知らなかったみたい。母が私達の結婚
に猛反対したんで、それで初めて相手が賢治さんのお父様だって分かったんで
すって。」
 「俺と圭子が兄妹。間違いないのか。」
 「勿論、その辺のことは全て問い質したわ。だって、そんなに簡単に賢治さ
んのことを諦められる筈無いでしょう。お腹の中には賢もいたんだし。母は土
下座して私に謝ったわ。兎に角、一緒になることだけは諦めてくれって。そん
なことじゃなかったら、勿論、私独りでヨーロッパから逃げて来てたわよ。」
 「ありがとう。」
 賢治が圭子に向かって深々と頭を下げた。
 「お陰で二十年間、ずっとわだかまってたモヤモヤが晴れたよ。圭子のこと
を心のどこかで恨みに思ってた自分が恥ずかしい。許してくれ。」
 「もう言わないで。」
 圭子の目から涙がこぼれ落ちた。
 「私が誰とも結婚しなかった訳が分かる。それがせめてもの母親に対する抵
抗だったの。私の気持ちの中にはいつも賢治さんしかいなかった。だから、さ
っき弥生さんにもう一度出直してみたらって言われて、涙が出るくらい嬉しか
った。」
 弥生が嬉しそうな顔で二人を見比べてから賢に同意を求めた。
 「決まったようなものね、賢。」
 「うん。僕も二人がもう一度、一からやり直して欲しいと思うな。」
 ようやく涙を拭いた圭子が立ち上がった。
 「今日はそろそろお暇しましょう。また改めてと言うことにして。もう少し
落ち着いて考えたいし、あんた達のこともあるし。」
 「そうだね。そうしようか、ママ。」
 賢治も頷いた。
 「焦ることは何もない。圭子の気持ちが固まったら俺の方から迎えに行く。
それでいいかな。」
 「勿論、待ってます。今すぐでもいい位なんだけどもう少し時間を下さい。」
 「うん。賢、ママを頼むよ。」
 「はい。今日は何だか凄い一日でした。」
 「全くだ。気を付けて帰りなさい。」
 圭子と賢を見送った弥生が、二人の姿が角を曲がって消えるのを待ち兼ねた
ように賢治の手を取って家の中に急いで戻った。
 「何だか凄い因縁ね。パパと圭子さんも兄妹だったなんて。」
 「本当だ。俺もまだ頭の中が混乱してるよ。」
 「さ、晩ご飯にはまだ早いから。」
 弥生が賢治の手を引いて寝室に入ろうとした。
 「ねえ、もうママいないんだから、約束破ってもいいでしょう。」
 「弥生には賢がいるじゃないか。」
 「賢は私の半分っていったでしょ。今はもう半分のパパに滅茶苦茶甘えたい
の。」
 「そうは行くか。それとも、これが最後の晩餐か。」
 「ううん。今日の雰囲気なら別の可能性だってあると思うよ。」
 喋りながら弥生が賢治の服を次々と脱がせていった。最後にパンツから勢い
良く飛び出したものを弥生がしっかりと口に含んだ。その口を離さずに弥生も
服を脱いで行く。下半身裸になった弥生が自分からベッドに仰向けになった。
 「来て、パパ。」
 最後のTシャツも脱ぎ捨てて素肌になった弥生が両手を広げて賢治を迎え入
れた。
 「素敵・・・」
 賢治はこれが最後と言う感慨を持って娘の身体を激しく突き立てた。しかし、
弥生にはそんな悲壮感は全く無いようだった。次の晩も弥生は当然のように賢
治のベッドに潜り込むと賢治の腰に跨って激しく求めてきた。賢治は、圭子と
一緒になる日まで、と自分に言い聞かせながら娘に譲歩せざるを得なかった。


(5)へつづく・・・

小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 3/8

近親相姦小説
09 /19 2018
 あれから二十年。間もなく成人に達するところまで成長した息子が目の前に
いた。賢の顔立ちは圭子に瓜二つ。もし道ですれ違ったとしても間違いようが
無い位だった。
 「植野くんのお父さんは何をしてるの。」
 賢治がそれとなく圭子の現在を探り始めた。
 「いえ、僕には父親がいないんです。祖父母の反対で一緒になれなかったと
母が言ってました。」
 「お母さんは。」
 「母は今、翻訳とか通訳の仕事をしています。」
 「英語。」
 「いえ、フランス語です。僕が生まれたときはベルギーに住んでいたので。」
 「ベルギーね。」
 賢治は祝電の発信元がベルギーだったことを思い出した。
 「ところで、弥生から聞いたんだけど、二人のデュエット、その内聞かせて
よ。」
 「は、はい。喜んで。」
 「お母さんは歌、歌わないの。」
 「たまに歌うこともあります。嫌いじゃないみたいです。」
 「その内、四人でコーラス出来たら楽しいだろうな。」
 「ええ。母にも聞いておきます。」
 「うん。」
 賢治と賢のやり取りを弥生がジッと見つめていた。勘の鋭い弥生は何かに気
付いたようだった。賢と別れた二人が家に戻ろうとすると、弥生が賢治の手を
強く引っ張った。
 「ねえ、パパ。今日はこのまま帰りたくない。」
 「何だ、急に。」
 「まだ九時でしょ。」
 弥生が駅とは反対の方角に向かって歩き始めた。
 「おい、今日はやめとこう。」
 「駄目。」
 賢治はどこかで賢と出くわさないか、それが気になって仕方が無かったが、
弥生はお構いなしに裏通りに入っていった。飲屋街を通り過ぎるとその先には
ホテルのネオンが幾つも輝いていた。弥生が何度も後ろを振り返り、人通りが
絶えたのを確認してから一軒のホテルに賢治を引っ張り込んだ。弥生自身も賢
のことが気になっていたらしい。
 部屋に入った弥生が無言で服を脱ぎ捨て、煮え切らない賢治を素早く裸にし
てしまった。風呂も使わず強引にむしゃぶりついてきた弥生を賢治が抱きしめ
た。そのまま賢治をベッドに押し倒した弥生が自分の方から強引に一つになっ
てきた。
 「ねえ、パパ。どう言うことか聞かせて。」
 「え、何の話だ。」
 「パパ、賢のこと知ってるんでしょう。」
 「いや、会ったのは今日が初めてだよ。」
 「嘘。」
 「いや、本当だ。正真正銘の初対面さ。」
 「でも、何かあるんでしょう。今日のパパ、凄く変だった。」
 弥生はその鬱憤を身体で晴らそうとでもするように腰を乱暴に擦り付けて来
た。
 「ちょっと待て。こう言うのパパ嫌いだ。話すからジッとしなさい。」
 「何もかも話してくれる。」
 「パパが知ってる範囲で全部話すよ。」
 「うん、ならいいわ。」
 弥生の動きが鎮まったところで賢治が重い口を開いた。
 「賢は俺の息子だ。多分、間違いないだろう。」
 「パパの息子って、私の兄さんって言う意味。」
 「うん。母親はママじゃないが。」
 賢治が手短に圭子との経緯を話して聞かせた。
 「へえ、そんなことがあったんだ。でも、パパ、何でママと結婚したの。子
供まで出来ちゃってたのに。どうしてその圭子さんって人を追い掛けなかった
の。」
 「追い掛けたさ。夏休みに休暇取ってヨーロッパまで捜しに行ったんだ。」
 「それでも見つからなかったの。」
 「うん。結局、圭子の方が会おうとしないんなら諦めるしかないかなって。」
 「でもさぁ、一年くらいで簡単に諦められちゃうもん。それともママが美人
だから気が変わったの。」
 「タイプは違うけど圭子もママに負けない美人だよ。そうだなあ、二人の若
い頃思い出して比べてみても、今の弥生が一番かな。」
 「またまたぁ。娘喜ばしてどうするの。」
 口ではそう言いながらも弥生は満更でもない様子だった。少しだけ弥生の機
嫌が直ってきた。
 「パパが簡単に圭子さんって人諦めちゃったのは不満だけど、別れてなかっ
たら私は生まれて来なかったのよね。うーん、複雑な気分。」
 「簡単に諦めた訳じゃないんだよ。」
 「でもさあ、賢のお母さんがその圭子さんだとすると、ちょっと微妙ね。い
ずれ会うことになるでしょ。」
 「うん。会わないって訳にも行かないだろう。こうなったら、圭子の両親が
そこまでして、なぜ俺達を強引に引き離したのか、その理由が知りたくなった
よ。」
 「パパ、その前にすることがあるんじゃないの。」
 「何だ。」
 「ママのこと、このまま放っておくの。」
 「ああ、そのことか。」 
 「私、ママの浮気の証拠、しっかり集めておいたよ。パパとこうなってから
すぐに興信所に頼んだの。写真も撮ってあるって。」
 「そんなことまでしてたのか。」
 「うん。パパ、そろそろ潮時だと思うよ。もう、どうやったって元には戻れ
ないんでしょう。」
 「まず無理だな。」
 「だったらパパがきれいな内に別れた方がいいと思うよ。」
 賢治が苦笑した。
 「パパのどこがきれいなんだ。」
 賢治が下から腰を突き上げた。弥生が咽の奥でククッと笑った。
 「私は別。だって、パパの娘でしょ。」
 「余計悪い。」
 「そんなこと言わないで。」
 賢治が元気を回復したので弥生がまた腰を動かし始めた。さっきと違って落
ち着いた動きに今度は賢治も下から優しく応じた。
 「気持ちいい。」
 弥生が目を細めて腰を震わせた。
 「上になろうか。」
 「ううん。このままがいい。何かこうしてるとパパが本当に自分のものだっ
て実感するんだもん。」
 「パパはずっと弥生のものさ。弥生は俺のものじゃないけど。」
 「駄目、弥生もパパのもの。」
 「賢がいるだろう。」
 「そうだね。じゃあ、半分だけパパのもの。」
 「困った奴だ。」
 「パパの方の残り半分はどうするの。」
 「そんなの、圭子に会って見なけりゃ分からないさ。」
 「パパの方はそれでもいいの。」
 「圭子がうんって言えばな。」
 「ちょっとは先が見えてきたかな。」
 「何だ、先って。」
 「ううん、こっちの話し。でも、パパにとっても悪い話じゃないと思うよ。」
 弥生が腰を前後にきつく擦り付けて来た。弥生は何があろうとも賢治とのこ
の時間を無くすつもりはないようだった。

 翌週、弥生が興信所からの報告書を賢治に見せた。添えられている写真を見
て、賢治は妻の不倫相手が誰なのかを初めて知った。一緒にホテルから出てく
るその男は賢治の旧友、青沼だった。以前は家族ぐるみで行き来したいた時期
もあったのだが、ここ数年、顔を合わせたこともない。恐らく二人がそう言う
関係になったので自然と疎遠になってしまったのだろう。賢治は依頼主の名前
を自分に書き換えさせ、その書類を妻の前に突き付けた。
 「もう、お仕舞いにしようじゃないか。」
 賢治の言葉に美子が黙ってうなだれた。
 「青沼の方も最近カミさんと別れたそうじゃないか。だったら、お前にも受
け皿があることだし、この辺で区切りをつけないか。」
 「あなたの方はどうなさるの。」
 「さあ、暫くは独りになってゆっくり考えるさ。弥生のこともあるしな。」
 「最近、随分弥生と仲がおよろしいのね。」
 賢治にはそれが皮肉に聞こえた。
 「いい加減に仮面夫婦やめたらって言い出したのは弥生だよ。あいつにもど
うやら恋人が出来たようだし。それに、この調査も最初は弥生が俺の名前で依
頼したんだ。」
 「そのようね。弥生もここ暫くで随分女っぽくなったわ。ところで、弥生は
どうするって言ってるの。弥生が私のこと調べた位だから、あなたと一緒って
ことね。」
 「その方がお前も身軽でいいだろう。青沼の方にも確か子供が二人いた筈だ
し。」
 「三人よ。分かりました。それで、あなたの方の条件は。」
 「家は俺と弥生が使わせて貰う。預金はお前が全部持ってっていい。まあ、
大した額じゃないけどな。別に、青沼から慰謝料取ろうなんて気は全く無いよ。
百パーセントお前達が悪いなんて言わないから。」
 「随分寛大なのね。もしかして、あなたにもいい人が出来たんじゃないの。」
 「そんなのがいたら、とっくに調べてるだろ。」
 「ええ。あなたが最近やたら元気なんで調べようかと思ってたくらい。ま、
その辺は今更詮索しようとも思いません。でも、最後に弥生と話をさせて下さ
い。その上で改めてご返事します。」
 弥生の返事は当然決まっていた。それを受けて美子が書類に判を押し、全て
が終わった。賢治は約束通り定期預金など全てを解約して美子に渡した。弥生
の学費等これからの出費もそれなりあったが、家のローンが終わっているので
当座の心配は無かった。


(4)へつづく・・・

小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 2/8

近親相姦小説
09 /19 2018
 「ご、ごめん。」
 賢が慌てて腰を浮かせようとしたが弥生が腰に手を回して離さなかった。二
度、三度、それが口に入って来る度に弥生の喉が鳴った。一滴もこぼすまいと
しているようだった。
 賢がフーッと息を吐いて顔を上げた。弥生が口を離すと、体の向きを変えて
上から重なって来た。見上げた弥生の目が潤んでいた。
 「ご、ごめん。我慢出来なかった。」
 「ううん。嬉しかった。」
 「そう言ってくれると、俺も嬉しい。」
 「少し休んだら。」
 父親の賢治は一度果てると最低でも十分くらいは休憩するのである。しかし、
賢は首を横に振った。
 「弥生がよければ、今すぐにでも一つになりたい。」
 「うん、いいよ。」
 「ちょっと待って。」
 賢が起き上がって枕元から小さなビニール袋を取った。
 (コンドーム付けるんだわ)
 それは弥生にとって初めての経験だった。最初の晩も含めて賢治は一度も付
けたことがない。賢が振り返ったので弥生がチラッと確認した。それは透明な
スキー帽のように少し先端が余って垂れ下がっていた。
 「弥生。」
 「賢。」
 賢が弥生の膝を開き、その膝を抱えさせた。上を向いた襞が物欲しそうに半
ば口を開いている。賢が先端を宛うと弥生が息を吐いた。スルッと入って来た
ものがやけに滑らかだった。
 (やっぱり生の方がいい)
 きっと賢の方も物足りないことだろう。出来ることなら邪魔なゴムなど外し
て直に賢の感触を味わいたかった。しかし、今日が安全日なのか、弥生には自
信がなかった。一番奥まで到達した賢が両腕で押し付けていた弥生の膝を自分
の腰に絡ませた。
 「好きだよ。」
 賢が弥生の耳元で呟いた。
 「私も。なぜか分からないけど、賢が好き。」
 「動いてもいい。」
 「動いて。滅茶苦茶にして。」
 賢の腰が激しく動き始めた。最早弥生に優しさは要らなかった。父親の賢治
と比べたら倍以上の早さで賢の腰がコクコクと前後に動いている。それも単純
な動きではない。突き入れる度に角度を変えて来るのである。合わさった部分
から粘っこい、いかにも卑わいな音が部屋中に響き始めた。
 「い、いい・・・・」
 弥生は身体の芯から沸き上がって来る心地よい波に身を任せながら、心の中
で必死に賢治の面影を思い浮かべていた。ふと見上げた賢の顔がドキッとする
くらい父親に似ていた。

 「そうか、弥生にもとうとう彼氏が出来たか。」
 上になった賢治が腰の動きを止めた。ともすれば強張って来そうな表情を何
とか和らげようと必死になっていた。
 「初デートで抱かれたんじゃ、よっぽど気に入ったんだな。」
 「分からない。カラオケハウスで二人きりになったら、なぜか胸がキューン
となっちゃって、気が付いたら抱かれてたって感じかな。」
 「兎に角、一度連れておいで。」
 「パパ、怒らない。」
 「馬鹿言うな。俺に怒る筋合いなんて無いさ。」
 「駄目よ、パパ。元気無くしちゃ。」
 弥生が下から腰を突き上げた。
 「男って、本当にデリケートなのね。」
 勢いを失った賢治に弥生が焦れたように腰を押し付けた。
 「駄目、ちゃんと可愛がって。」
 弥生が目をつぶると目の前に賢の顔が浮かんできた。ハッと目を開くと目の
前の父親の顔が賢とダブって見えた。
 (何でこんなに似てるのかしら)
 中の感じだけが違っていた。
 (やっぱり生がいい。賢とも生でしたい)
 弥生は父親のゆったりした動きに身を任せながら勝手な想像を巡らせていた。
 (きっと賢とも生でしたらこんな感じなんだわ)
 弥生は父親と一つになりながら平気で賢のことを想像している自分に苦笑し
た。
 翌日、弥生が賢治の会社に電話を掛けてきた。
 「ねえ、帰りに待ち合わせていい。」
 「昨日の今日じゃちょっと。」
  賢治が言い淀んだので弥生が苦笑した。会社だから滅多なことは口に出来
ないのである。
 「違うの。今、賢とデート中なの。で、パパが会いたがってるって言ったら、
今日じゃ駄目か聞いてみてって。」
 「そこにいるのか。」
 「うん。」
 「分かった。今晩会おう。どこか適当なところで待ってなさい。もうすぐ出
られるから六時前には行けるだろう。そうだな、新宿西口交番の前でどうだ。
地下のロータリーの。」
 「何か色気のない待ち合わせ場所ね。」
 「そのまま寿司でも食いに行こう。家には俺の方から電話入れておくから。」
 「いいわ、それで。じゃあ六時ね。」
 「うん、なるべく早めに行くよ。」
 電話を切った賢治が隣の若い事務員、洋子に向かって照れ笑いした。
 「娘が彼氏に会ってくれだってさ。」
 「あら、父親としては複雑な気分じゃありません。」
 「うん。どんな奴を連れて来るんだか。」
 「父親の目って、どんなにいい相手でも厳しいらしいですね。娘を取られち
ゃうような気分になるんでしょう。」
 「違いない。」
 「お寿司、喉、通ります。」
 「さあ。井上くんの時はどうだった。」
 「私、まだ一度も彼を紹介したことないんです。そんな決まった相手いない
し。あら、そう言えば課長のお嬢さん、まだ高校生じゃなかったかしら。」
 「うん、高校一年だ。」
 「お嬢さん、よっぽど課長のこと信頼してるのね。私だったら、例え彼氏が
出来ても絶対に父親に会わせたりなんかしないわ。」
 「そんなもんか。」
 「だって・・・」
 洋子が頬を赤らめた。
 「彼氏って言うからには、もうしてる訳でしょ。そんな相手、恥ずかしくっ
て父親なんかに紹介出来ないわよ。」
 「やっぱり、してるかな。」
 「してなかったら彼氏だなんて言わないし、ただのボーイフレンド紹介して
も始まらないし。」
 「言われてみればそうかも知れないな。」
 洋子が時計をチラッと見た。
 「ほら、課長。急がないと遅刻ですよ。残りの書類は私が片付けて置きます
から。」
 「すまない。そうさせて貰うよ。」
 「明日、しょげて来ないで下さいね。」
 「だといいんだが。」
 賢治が約束の西口に着いたのは六時五分前だった。既に弥生が賢を連れて待
っていた。
 「パパ、紹介します。植野賢さんです。」
 「植野です。はじめまして。」
 「こちらこそ。弥生の父親です。さ、こんなところで立ち話してないで、寿
司でも食いに行きましょう。」
 賢治は一目見て、賢が自分の息子だと確信した。

 今から二十年前、妻の美子と知り合う前に賢治は大学の後輩、植野圭子と付
き合っていた。既に大学を卒業して現在の会社に就職していた賢治は圭子の卒
業を待って一緒になる積もりだった。圭子の卒業式の日、二人は初めて避妊せ
ずに抱き合った。二人の結婚に反対だった圭子の両親に既成事実としての二人
の関係を認めさせる積もりだった。その日は危険日のまっただ中だった。
 二人の思惑通り圭子が妊娠した。圭子はその事実をひたすら隠し通し、腹の
出っ張りが傍目にも目立つようになって初めて両親に賢治との結婚を頼み込ん
だ。既に中絶は不可能だった。
 ところが圭子の両親は頑としてこれを認めず、強引に圭子を連れて海外に移
住してしまった。なぜ、これ程までに圭子の両親が自分を嫌うのか。その理由
が賢治には分からなかった。半年後、男の子が生まれたこと。名前は賢治から
一字貰って賢としたことが簡単な封書で知らされた。差出人は圭子の名前にな
っていたが、賢治はその筆跡が本人のものではないような気がした。
 失意の賢治に結婚話が持ち上がった。美子との縁談だった。圭子との非常な
別れの直後だったので賢治は頑なにこれを拒んだ。圭子の家族はヨーロッパに
いるらしかったが、一箇所に留まっていることは無かったらしい。音信不通の
まま一年の歳月が流れ、賢治も周囲からの圧力を押さえきれなくなって来た。
何よりも賢治の父親が美子との縁談に積極的だった。
 美子は父親の友人の娘だった。少し我が儘なところは見られたが顔立ちは目
が覚めるほど整っており、何年か前の全日本レベルのミスコンで準ミスに選ば
れたこともあるらしい。両親や周囲から徐々に外堀を埋められた形でようやく
賢治が結婚を了承した。
 結婚式の祝電の中に賢治は植野の名前を見付けて愕然とした。差出人は植野
賢になっていた。どこで聞きつけたのか、圭子が息子の名前で送って寄こした
ものらしい。
 『ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに。』
 賢治はその行間から圭子の想いを読み取ろうとした。飾りっ気も何もない電
文。全てを打ち消すような言葉の中に賢治は、最早同じ世界では暮らして行け
ないと言う圭子の覚悟のようなものを読み取った。その日から賢治は美子のこ
とだけを見つめて生きて行く決心をした。


(3)へつづく・・・

小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 1/8

近親相姦小説
09 /19 2018
(三)弥生の恋人

 賢治は週に一度、仕事が早く終わりそうな日に弥生の携帯に電話を入れるこ
とにした。帰りに待ち合わせて秘密の時間を持つためである。弥生は何があっ
ても都合をつけて、常に賢治とのデートが最優先だった。
 「ねえ、パパとこうなってから、私、何か急にもてるようになったのよ。」
 弥生がいつものように上になって腰を振りながら賢治の耳元で囁いた。
 「だろうな。パパの目から見ても随分女っぽくなったよ。それで、気になる
ような相手はいないのか。」
 「一人だけいるけど。」
 「好きなのか。」
 「分からない。でも、何となく気になるんだ。」
 「いざとなったらパパに遠慮なんかするな。」
 「さあ、まだパパ以外の人とこうなるなんて想像できないよ。」
 弥生は自分が一番感じる部分に当たるような動きを繰り返していた。腰をピ
ッタリ押し付けて離さず、激しく前後に擦り付けて来るのである。そうすると
奥だけでなく、入り口の少し上で二人の間に挟まった小さな粒がもみくちゃに
なるのである。感極まった弥生がそれでも足りないと言わんばかりに賢治の指
先を固くしこった粒の上に持って来た。
 「一週間に一度じゃ足りないよぅ。」
 弥生が駄々をこねた。
 「無理言うな。」
 「分かってるけどさ。」
 次の週は賢治の都合が付かなかった。翌週の月曜日にようやく時間が取れた。
ホテルに入って抱き合ったとき、賢治は弥生の様子がいつもと違うのに気が付
いた。ほんの一瞬だが賢治の胸に飛び込むまでに間があったのである。
 「何かあったのか。」
 賢治が髪を撫でると弥生がコクッと頷いた。
 「ごめんね、パパ。私、抱かれちゃった。」
 「土曜の晩か。」
 「うん。」
 「帰りが遅かったからな。で、どんな男だ。」
 「やっぱり気になる。」
 「まあな。」
 「今度連れてくるね。」
 「そうしなさい。冷静に会えるかどうかが問題だけど。で、同級生か。」
 「ううん、大学生。私と入れ違いに去年卒業した先輩なの。」
 「どこで知り合ったんだ。」
 「合唱部のOBなの。時々顔出す人で。植野さんって言うの。」
 「ウエノ。上野駅の上野か。」
 「ううん。植えるって言うか、植物の植って書くの。」
 「ああ、そっちの植野か。名前は。」
 「賢よ。パパと同じ字書くの。」
 「弥生より三つ年上で、植野賢か・・・」
 賢治の顔が一瞬曇った。
 「どうかしたの、パパ、知ってる人。」
 「いや、別人だとは思うけど。」
 「パパと雰囲気が似てるんだよ。だからその気になっちゃったんだと思うけ
ど。」

 賢は弥生が所属している合唱部のOBだった。部の顧問が音楽には全く縁の
ない数学の教師だったので、月に二度、授業のある土曜日の放課後に現役部員
たちの発声練習を指導していた。弥生の高校はブラスバンドが盛んで毎年全国
大会に駒を進める位レベルが高い。音楽の教師はそちらに掛かり切りだった。
 弥生は少し前から賢のことが気になっていた。穏やかな雰囲気がどことなく
父親に似ていたからだろう。その日、帰り支度を始めた賢に弥生が話し掛けた。
 「先輩、カラオケなんかに行ったりしないんですか。」
 「カラオケねぇ。行かない訳じゃないけど。」
 「あなたが生きたラブソングって曲、知ってます。玉置浩二と高橋真梨子の
デュエットなんです。」
 「ああ、知ってるよ。いい曲だな。」
 「あれ、歌いたいなあって思うんだけど、男のパート歌える人がいないんで
す。」
 「へえ、高橋真梨子の歌は難しいけど、歌えるの。」
 「何とか。」
 「よし、お相手になるか。俺も誰かと歌ってみたいなって思ってたんだ。」
 「わぁ、いいですか。」
 「うん。これから行くか。」
 「行きます。行きます。連れてって下さい。」
 幸い部室に残っているのは二人だけだった。一緒に連れ立って学校を出るの
は気が退けたので弥生が先にカラオケハウスに行って待っていることにした。
賢に好意を寄せている女子部員が結構いたので彼女らの目が気になったのであ
る。賢は十分ほど遅れて弥生と合流した。そこは少人数用の小部屋だった。弥
生がコーラを、賢がビールを注文した。
 「さて、合わせて見るか。」
 「はい。」
 賢がリモコンを操作してピアノのイントロが始まった。
 「確かなことは分からない・・・」
 弥生が静かに歌い始めた。歌詞は憶えていたので賢の目を見つめ続けた。
 「なぜ今ここに二人が・・・」
 その瞬間、弥生の胸の中に熱いものがこみ上げてきた。父親に抱かれた時と
同じ切なさが弥生を包み込んだ。
 「そっと揺らめいた、季節を呼んで、マイラブ・・・」
 完璧なデュエットだった。賢も歌詞を憶えていてメロディも完璧に歌い上げ
た。元々合唱部の二人だからハーモニーもバッチリである。その素晴らしさに
弥生の目から涙がこぼれ落ちた。
 「先輩・・・」
 弥生が吸い寄せられたように賢の胸に顔を埋めた。弥生の肩をしっかり抱き
しめた賢の腕にも力が籠もっていた。
 「好きになってもいいですか。」
 一瞬驚いた表情を見せた賢が小さく頷いた。弥生が顔を寄せると二人の唇が
重なった。
 二人は同じ曲を三度続けて歌った。歌い終える度に弥生が抱き付き、唇を求
めた。しっかり抱きしめた賢の前が少し固くなっていた。嫌な気は全くしなか
った。反対に身体の芯が熱くなってきた。
 「先輩・・・」
 「賢と呼んで。」
 「賢。」
 「何。」
 「どこかに連れて行って。静かなところに。」
 「いいの。」
 弥生が黙って頷き、強張ったところに自分の腰を強く擦り付けた。
 「出よう。」
 賢が弥生の身体をそっと引き離した。
 外に出ると弥生が賢の腕を抱えて歩き始めた。途中で一年先輩の女子部員二
人とすれ違った。彼女らのきつい視線を背中に感じながらも弥生は決して手を
離そうとはしなかった。弥生が腰に手を回すと賢が肩を抱きしめて来た。それ
が二人の交際宣言になることは明らかだった。
 賢がホテルの入り口を躊躇い無く潜った。弥生も同じ歩調で続く。弥生はま
だ背中に絡み付く視線を感じていた。恐らく月曜には部の仲間全員に知れ渡っ
ていることだろう。それがむしろ誇らしくさえ思える弥生だった。
 部屋に入ると賢が何も言わずに服を脱ぎ始めた。弥生も慌ててそれに従う。
全てを脱ぎ捨てた二人がベッドを挟んで向かい合った。弥生が改めて賢の身体
を眺めた。特別逞しいと言う印象は無いが、均整の取れた体付きだった。目を
下に移すと父親そっくりのものが真っ直ぐに弥生の方を向いていた。
 (不思議だわ)
 弥生が心の中で呟いた。全く違和感が無かった。賢が先にベッドに上がった。
弥生も隣に身を横たえる。自然に回された賢の手が弥生の肩を引き寄せ、二人
の身体が密着した。
 「初めて。」
 賢がそっと聞いた。弥生が首を横に振る。安心したように賢が唇を重ねてき
た。
 賢の手が動き始めた。背中から肩、脇腹から胸へと這い回るその手を弥生は
気持良く感じた。そっと乳首を摘まれ、弥生が腰を賢の方に押し付けた。間に
挟まった賢の強張りが何度も脈動した。
 賢が手を離し、唇が喉から胸元に下りてきた。目をつぶっていると父親の愛
撫を受けているような錯覚に陥ってくる。唇の当て方もそっくりだった。乳首
を含まれ、弥生は自分が濡れてくるのを感じて思わず腿を擦り合わせた。
 (この人、パパと同じくらい女を知ってる)
 賢の顔が弥生の膝を割って入ってきた。舌の先が襞の周りをゆっくりと動き
回る。片方の襞が唇に挟まれ、そのまま吸い込まれた。吸い込まれたまま唇が
少しずつ上がってくる。合わせ目の部分で舌の先がベールを剥いて固くなった
粒を転がし、今度は反対側の襞へと移っていった。
 襞を伝って下まで降りた唇が後ろの入り口に押し付けられた。舌の先が僅か
に差し込まれる。どちらかと言うと体の中で一番恥ずかしいところ。そこを賢
の舌に委ねている。襞の中から溢れ出た蜜が流れ落ち、賢の舌がその滴をすく
い上げた。全ての動きが父親そっくりだった。
 「パ・・・」
 危ういところで弥生がパパと言いそうになった。顔から火が出るほど恥ずか
しかった。心臓が喉から飛び出すかと思った。
 「わ、私にも。」
 弥生が賢に向きを変えるよう手で促した。一刻も早く賢のものを口に含みた
い。飛んでもない言葉が口から飛び出るのを防ぐにはそれしか無いと思った。
反対向きに跨って来た賢のものが目の前に来た。弥生は何の躊躇いもなくそれ
を口に含み、思い切り舌の先で転がした。
 どの道これが初めての経験ではないことを賢には伝えてあるのだから今更取
り繕う必要など無い。弥生はいつも父親にしているように、多分一番感じると
思われる部分に舌の先を集中させた。賢にはそれが予想外だったらしい。
 弥生の口の中で賢が急速に膨らみ、あっと言う間に弥生の口が生暖かいもの
で満たされた。


(2)へつづく・・・

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。