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小説(転載)  魔少年 Side:A 受胎夢(じゅてーむ)

近親相姦小説
12 /02 2018
魔少年 Side:A 受胎夢(じゅてーむ)


 カッチン。コッチン。カッチン。コッチン。カッチン。コッチン。

 どこからか規則正しくリズムを刻む音がする。
 時計より少しゆったりとした、眠気を誘うテンポ。
 姫宮 聖美(ひめみや きよみ)は、ぼんやりと思った。

 あれは……なんて言ったかしら……? 確か、メトロ――
  
「ねぇ、ママ。子猫って可愛いよねぇ」
「え?」
 不意の呼びかけに声の方向を向くと、すぐ隣に座っている一人息子の雅人(まさと)
と目が合う。
「あ……マー君」
 聖美はふわりと優しく微笑む。
 小作りの顔に整った鼻筋。長い睫毛にクッキリとした二重の大きな目。ゆるやかに
ウェーブした漆黒のセミロングの髮が白い肌に映え、まるで人形のように美しい。
 今年32歳の美母は、今でも二十代前半にしか見えない、可憐で初々しい美貌を保っ
ていた。

 ああ、そっか。私、ソファーに座ってたんだっけ。
 あれ? いつからかしら? そろそろお洗濯物を畳まないと――

「やだなぁ、ぼーっとして」
 くすくすと雅人が笑う。よく少女と見間違われる美少年の端正な横顔は母親譲りだ。
 中学2年ともなると、ずいぶんしっかりしてきた気がする。日頃、サッカー部で鍛
えられているせいか、細身の体は精悍に引き締まり、エネルギーがみなぎっている。
 背丈もいつのまにか小柄な自分と並んでいた。もう「お子様」では無い。そばに寄
るだけでなんだか青臭い熱気に当てられるような気が――

「僕の質問、聞こえなかった?」
「……え、ええ。ごめんなさい、マー君。何だったかしら?」

 霞がかかったように、ぼんやりと頭が重い。だが決してイヤな気分では無い。
 むしろ、あたたかなお湯に浸かっているような心地よい気怠さが全身を包んでいる。
 このまま、いつまでも陶然と惚けていたいような――

「子猫って可愛いよねぇ、って言ったの。聞こえた?」
「ええ……ちゃんと聞こえて……いるわ」

 まるで寝入る寸前のように、集中力を保つのがひどく難しい。
 思いはすぐ脇道に逸れ、また、ぼんやりとした表情が聖美の顔に浮かぶ。

 ……ああ。このお香もなんて名前だったかしら。いい香り。
 マー君が先輩からもらってきたのよね。中学生でお香なんて、ほんと渋いセンス。
 だけどマー君、ずいぶん気に入っちゃって、このところ毎日――

 カッチン。コッチン。カッチン。コッチン。カッチン。コッチン。
 単調なリズムと、えも言われぬ芳香が聖美の思考を白く塗りつぶしていく。

「僕、子猫って大好きだな。ママは?」
 微笑みながら問いかける雅人の表情は明るい。たわいもない母と子の会話。
 だが、なぜだろう? 聖美の心の奥底で何かが小さく警鐘を鳴らす。

 ああ。答えてはいけない。いけないわ。そうよ、今ならまだ……。

 しかし、胸中の思いとは裏腹に聖美はなめらかに答を返す。

「ええ、ママもネコちゃん大好きよ」
「やっぱり! じゃ、子犬も好き?」

 幼い子供のように無邪気な問いかけ――だが、その目には異様な熱気と狂おしいほ
どの期待が浮かんでいないだろうか?

「ええ。ワンちゃんも大好き。だって……可愛いんですもの」
「そうだよね。動物の赤ん坊ってみんな可愛いよねぇ。ママはどんな動物の赤ちゃん
でも大好きなの?」
「ええ、ママはどんな動物の赤ちゃんも大好きよ」
「ふぅん。それじゃあ……ママは人間の赤ちゃんも好き?」

 どくん。

 心臓が大きく脈打つ。
 ダメよ。答えちゃいけない。いけないの。だって、だっ……

「ええ、もちろん。ママは赤ちゃん大好きよ」

 ……ああ!

 ためらうヒマもなく、言葉がスルリと唇をすり抜ける。
 そう。そこに嘘は無い。自分は子犬も子猫も好きだ。だが――

「そうかぁ。ママは【赤ちゃん】が【大好き】なんだね?」
「ええ。ママは、赤ちゃん……大好きよ」

 ああ。答えてる。どうしよう。私、また……

「ママは【赤ちゃん】が【すごくすごく好きでたまらない】んだ。そうでしょう?」
「ええ、そうよ。ママは赤ちゃんが、すごく……すごく好きで……たまらない、わ」

 幾重にも反復される質問に答えを返すうちに、だんだん意識が遠のき、ゆうらりと
目の前の景色が揺れ始める。
 周囲の物音が次第に遠ざかる中、なぜか雅人の声だけがはっきりと耳に響く。
 海の底に沈んでいくような深い陶酔感が聖美の体と心を支配し始めていた。

「そうなんだ。じゃあ、ママは【赤ちゃんのどんなところが好き】なの?」
「え? ……あっ!」
 急に、ぽん、と何かを手渡され、聖美はハッと目を見開いた。
 渡されたものは軽さの割に意外と大きく、片手では持ち切れない。
 聖美は『それ』を落とさぬよう、反射的にしっかり両手で抱きかかえた。

 どくんっ!

 手の中にある『それ』を認識した瞬間、聖美の中でなにかが弾けた。
「……あ。ああぁ」
「さぁ、僕に教えてよ。ママは【赤ちゃんのどんなところが好き】なんだっけ?」
 罠にかかった哀れな獲物を見下ろす猟師のように、薄く微笑みながら、嗜虐の期待
と興奮に満ちた声で雅人が囁く。

「あ……赤……ちゃん。赤ちゃん」

 手渡されたミルク飲み人形を見つめ、聖美はわななく唇で繰り返す。
 胸の奥底から激しく湧き上がる、せつなさと愛おしさにただただ圧倒されていた。

「赤ちゃん!」

 違うっ! 違うわ! それはただの人形なのっ!
 聖美の心の片隅の叫びは、全身を貫く激しい歓喜のうねりの前ではあまりに小さく
無力だった。かろうじて残っていたかすかな理性も原初の雌の本能にたやすく呑み込
まれてしまう。

「ああ……可愛い……可愛い、赤ちゃん」

 そっと抱きしめると、人形はほのかなミルクの匂いがした。
 満ち足りた幸福の香り。優しく頬をすり寄せる聖美の目に知らず知らず涙が浮かぶ。
「柔らかくて、お日様みたいないい匂いがして……小さなおてても、小さなあんよも、
まあるいほっぺも、みぃんな、ぷくぷくしてて……私が笑うとニッコリ笑い返してく
れるの」
「うんうん。それで?」
「おなかが空くと赤ちゃん、泣いて私を呼ぶの。『ママ、おなかが空いたよ!』って。
私……私ね、赤ちゃんにおっぱいをあげているとすごくすごく幸せな気持ちになるの」
「ふぅん、そっか。じゃあ、【その子にもおっぱいあげなきゃいけない】ね」

 カチリ。
 小さなスイッチ音と共に聖美の腕の中の人形がむずかるように動き出す。

 ほぎゃあ! ほぎゃあ! ほぎゃあ!

「あ! ああ、泣かないで! 分かったわ! すぐおっぱいあげるわ!」
 慌てて乳房を与えようとして、ふと気付く。

「……え? 私……ハダカ?」

 聖美は自分が全裸でソファーに座っている事をそこで初めて意識した。
 一糸まとわぬ、つややかな裸身が午後の日差しを受け、なまめかしく輝いている。
 少女のように可憐で清楚な外見には似合わぬ豊かな乳房がクッションとして人形を
受け止め、きゅっとくびれたウェストが、これもまた芸術品のようにまろみを帯びた
豊かな尻の曲線につながっている。
 すらりと伸びた両足は、つつましく閉ざされ、合わせ目からほんのかすかに漆黒の
ヘアを覗かせている。
 おとぎ話の人魚のように、聖美は何一つさえぎるもの無く美しい裸身をさらけ出し、
居間のソファーに座っていた。

「え? どうして? 私、どうして……」
 だが、羞恥の意識が働く前に、鋭く雅人の叱責が飛ぶ。
「ママ、赤ちゃん!」

 ほぎゃあ! ほぎゃあ! ほぎゃあ!

「あ! ああっ! ごめんなさい! ごめんなさい!」
 慌てて人形の口元に桜色の乳首を寄せると、ミルク飲み人形はすっぽりと聖美の乳
首を口に含み、内蔵されたポンプの力で力強く吸い付く。

 チュク。

「ぁうっ……」
 瞬間、ゾクゾクしたものが背筋を走り、思わず聖美はあえぎ声を洩らして小さく身
震いした。

 チュク。チュク。チュク。チュク。

「……ふふ。おっぱい、たくさんたくさん飲んで、大きくなってね」
 胸の小さな疼きが、聖美の心に幸せの記憶を呼び覚ます。
 とろけるような微笑みを浮かべる聖美の耳許に雅人が囁く。
「ねぇ、ママ。【今日は暑かった】よね?」
「え……?」

 そうだったかしら?

「【暑くて暑くてたまらなかった】よね。そうでしょう?」
「……え、ええ。そうね。今日は、暑くて……暑くて……」
「でも、【クーラーは壊れてる】んだ」

 ああ。そういえば、そうだったわ。クーラーは使えないのね。

「【暑くて暑くてたまらない】、なのに【クーラーは壊れてる】。だから、ほら、
【マー君、一緒に脱いじゃおう!】って、ママが自分から言い出したんじゃない」
「ああ。そう……だったわね」
 言われてみると、そんな気もしてくる。

 そうよ。たまらなく暑かったのよ。今日は――

「ねぇ、ママ。お風呂に入る時や、着替えの時はいつも裸になってるでしょ? 外で
裸になるのはおかしな事だけど【家の中で裸になるのは別におかしな事じゃない】よ。
そうでしょう?」
 小さな子供に諭すように、ゆっくりと雅人が囁く。
 その口元に浮かぶ歪んだ笑みに聖美は気付かない。
「ええ……そうね。家の中なら……おかしな事じゃ……ないわ」

 そう。裸でもちっともおかしくないわ。だって……だって暑かったんですもの。

「ああ、そうそう! ついでに【ここをお風呂場だと思えばいい】んだよ。ほら、僕
もママも裸だけど、それなら全然おかしくないでしょ? 僕とママは【一緒に赤ちゃ
んをお風呂に入れている】んだよ」
「ああ……そうなのね。マー君もママと一緒に赤ちゃんをお風呂に入れてるのね。そ
れなら、ちっともおかしく……ないわ」

 マー君も――ハダカ?

 何かがチリッと頭の隅をかすめる。
 だが、小さな音を立てて乳首を吸う人形に心奪われ、至福の笑みを浮かべ続ける聖
美の意識に、もはや疑念が浮かびあがる事はなかった。


            ■■■■


 チュク。チュク。チュク。チュク。

 飽く事を知らぬ人形は単調な音を立て、ただ黙々と口もとを動かし続ける。
 雅人は全裸でミルク飲み人形に乳房を与え続ける美母に優しく語りかけた。

「ねぇ、ママ。【赤ちゃんて、とっても可愛い】ねぇ」
「ええ……とっても可愛いわ」
「ママは今、【すごく幸せ】?」
「ええ。すごくすごく幸せよ」
「そっか。じゃあ、ママは【赤ちゃんといる時が一番幸せ】なんだね?」
「ええ。そうよ。ママは赤ちゃんといる時が一番幸せなの」

 オウム返しに雅人の問いに答える度に、全身を包む幸福感が増していく。
 腕の中の小さな重みと、吸い付かれる胸の疼きが、いまや世界中の何よりも大切に
思える。

「ふぅん。そうか、一番幸せなんだ。それは良かったねえ、ママ。――【紫の常闇】」

 ……え?

 一瞬、貧血を起こしたように目の前がスッと暗くなり、聖美は目をしばたいた。
「ねぇ、マー君、今の……停電?」
 不思議そうにあたりを見渡した聖美は、不意に悲鳴を上げた。

「……ああっ! 赤ちゃん! 赤ちゃんはどこっ?!」

 腕の中に大事に抱えていた人形が忽然と姿を消していた。
 激しい焦躁感とパニックが聖美の胸に押し寄せる。
「赤ちゃん! 私の赤ちゃんっ!」
「ママ、落ち着いて。――【深く穏やかな泥の海】」
 慌てて立ち上がろうとする聖美の肩をそっと押さえ、雅人が囁く。
「……あ」
 全身を虚脱感に襲われた聖美は、上げかけていた腰をストンとソファーに落とす。
 続いて素早く聖美の額に人差し指を当てた雅人は、小さいがはっきりとした声で告
げる。
「【過ぎゆく日々のあかし】は【五つ】」
 途端にトロンと目の光を失った聖美が、さきほどまでとは打って変わったあどけな
い口調で話し始める。
「あのねぇ。マーくん、あかちゃんが――」
「聞いて、ママ。【あの子はママの赤ちゃんじゃない】んだよ」
「え? そう……なの?」
「うん。【他のお家の赤ちゃん】なんだ」
「ほかの……おうち?」
「そうだよ。【他のお家の赤ちゃん】だから、【自分のお家に帰らなきゃいけない】
――分かるよね?」
「うん……わかる。そっか、あのコはわたしのあかちゃんじゃなかったのね」
 パニックと焦躁感が消えると、一転して言いようのないほどの喪失感とやるせなさ
が聖美の胸を締めつけ始めた。
「わたしのあかちゃんじゃ……ないんだ」
 じんわりと風景がにじむ。
 うつむいたままポロポロと涙をこぼしはじめた聖美を、そっと抱き寄せた雅人は、
あやすように美母の髮を優しく撫でてやる。
 だが、行動とは裏腹に、その目は淫らな妄念にギラギラと血走っている。
 やがて、つとめて何気ない風を装い、雅人は尋ねはじめた。

「ね、ねぇ……ママ。【赤ちゃんがいないと寂しい】ねぇ?」
「……」
 無言のまま、コクリと聖美がうなずく。
「【赤ちゃんが好きで好きでたまらない】ママは、今、【赤ちゃんがいなくてすごく
すごく寂しい】んだよね? やっぱり【赤ちゃんに一緒にいて欲しい】?」
「……うん。ママね、すごくさびしいの。あかちゃんにいてほしい」
「だけど、ママ。【他のお家の赤ちゃんはずっと一緒にはいられない】よ。それは分
かるよね?」
「……うん。わかる。あかちゃん、おうちにかえっちゃうのね」
 聖美は、今にも泣き崩れそうになるのを必死に堪えながらうなずく。
「でも、ママは【やっぱり、どうしても赤ちゃんと一緒にいたい】んだよね? そう
なんでしょ?」
「……うん」
「それじゃあ……僕がとっておきの【簡単な解決方法】を教えてあげようか?」
「えっ!? ほんと!? おねがい! おしえて、マーくん! どうすればいいの?」
 幼い子供のように全神経を集中し、聖美は真剣に待ち受ける。
 その吸い込まれそうなほど美しい瞳に、雅人は思わず一瞬たじろぐ。
 ゴクリ。
 喉を鳴らしてツバを呑み込むと、押さえ切れない興奮に声を掠れさせながら、雅人
は最も重要なキーワードを切り出す。

「それはね――【ママが・赤ちゃんを・産むんだ】」

「ああっ!」
 途端に聖美は勢い良く立ち上がり、雅人をギュっと抱きしめる。
「スゴいっ! スゴいスゴい! マーくん、アタマいいっ!」
「わぶっ!」
 豊かな胸のふくらみに顔を埋め、甘い体臭に包まれて、雅人は目を白黒する。
「そうよ! わたしがうめばいいのよっ! あはっ! カンタンカンタン!」
 溢れんばかりの歓喜に身を震わせる全裸の母に慌てて雅人が叫ぶ。
「……ま、待ってママ! でも、それには【問題がある】んだ!」
「え? もんだい?」
 きょとんとした顔で見つめる聖美を再びソファーに座らせ、雅人は慎重さを取り戻
した声で、ゆっくり刻み込むように話し始める。

「ねぇ、ママ。【パパはいつも帰りが遅い】ね」
「……うん。おそいね」
「【パパは仕事が大好き】なんだ。それはママも知ってるよね?」
「うん。パパはむかしっから『おシゴトだいすきニンゲンさん』なの」
「一日のうちでパパの『仕事の時間』と『僕達と一緒にいる時間』じゃ、どっちが多
いのかな?」
「えと……おしごとのじかん?」
「そうだね。つまり、【パパは僕達より仕事が好き】なんだ。分かる?」
「あ……うん。パパはわたしたちといっしょにいるより『おシゴト』してたいのね」
「そうだよ。【パパは何よりも仕事の時間が大事】なんだ。だから【パパはもうママ
のためには時間を作ってくれない】んだ。それは分かる?」
「うん……わかる」
 聖美はあどけない表情でコクリとうなずく。
「だからね。【パパはもうママがどんなに頼んでも一緒に赤ちゃんを作ってくれない】
んだよ」
「え? そうなのっ!?」
「そうなんだ。残念だけど、【パパは何よりも仕事のための時間が大事な人】だから、
もう、【ママと赤ちゃんを作る時間は無い】んだよ」
「えぇ! そんなのヒドいっ! ママ、どうしてもあかちゃんがほしいのに……」
 再び意気消沈する聖美に、逸る心を押さえ付けつつ雅人が尋ねる。

「……ねぇ、ママは【どうしても赤ちゃんが産みたい】の?」
「うん! ママ、ぜったいにあかちゃんうむのっ!」
「ふぅん。何人くらい?」
「え? えと……いっぱい! かわいいあかちゃん、たくさんたくさんうみたい!」
「なるほどなるほど。【ママは可愛い赤ちゃんを何人も何人も産みたい】のか……
よし! それじゃあ、【そのためにママがどうすればいいか】を僕が一緒に考えてあ
げよう」
「うんっ!」
 勢いよくうなずいた聖美に、雅人はとぼけた表情でわざとらしく問いかける。
「あ……だけど、せっかく僕が考えてあげても【ママはちゃんとその通りに出来る】
のかなぁ?」
「できるよ! だいじょうぶっ!」
「【何でも絶対に僕の言う通りにする】って約束出来る? 約束出来ないなら……」
「やくそくするっ! ママ、なんでもぜったいマーくんのいうとおりにするよっ!」
「そう。……【約束だよ、ママ】」
 キラキラと透き通った無垢な目で自分を見つめる母に、雅人は歪んだ笑みを返す。


 ――かくして全ての準備は整い、少年の禁じられた『妄執』が現実を侵食し始める。


            ■■■■


「さて。それじゃ、さっそく質問だよ。僕はオトコでよく分からないから、きちんと
答えてね。【赤ちゃんを作るのに女の人はまず何をすればいい】のかな?」
 親しげに聖美の裸の肩を抱いた雅人はさらりと問いかける。
「……え?」
「教えて、ママ。【赤ちゃんを作るのに女の人は何をしなくちゃいけない】の?」
「えと――それは……そのぅ」
「ほら、ちゃんと答えてくれないと【可愛い赤ちゃんを作れない】よ。さぁ、早く!」
「……せ、せっくす?」
 頬を赤らめ、目をそらし、蚊の鳴くような小さな声で告げる。
「ん? 聞こえないなぁ? キチンと大きな声で言ってよ、ママ」
「ああ! もう! マーくんのいじわるっ! 『せっくす』するのっ!」
「へぇ。そうなんだ。でも、【セックス】って【具体的には何をするの】?」
「え? そ、それは……そのぅ」
 口ごもる母に先回りして答えを告げる。
「確か、【女の人のお○んこに男の人がお○んちんを入れて精液を出す】んだよね?」
「おま……」
 頬を真っ赤にしたまま、うつむく聖美に、さらに畳み掛けるように雅人は質問を重
ねる。
「ねぇ、ママ。確認したいんだけど、【女の人が赤ちゃんを産む】には、必ず【セッ
クスしなきゃいけない】んだよね? 【セックスしないと赤ちゃんは出来ない】――
そうなんでしょ?」
「……うん」
「じゃあ、【ママが可愛い赤ちゃんをたくさんたくさん産む】には【ママのお○んこ
にお○んちんを入れて、中にたくさんたくさん精液を出してもらわなきゃいけない】
――そういう事だよねぇ?」
「……し、しらないっ!」
 プイと顔をそむける聖美に、雅人は笑いを堪えながら、質問を変える。
「ごめんごめん。じゃ、違う質問。【赤ちゃんが欲しくて欲しくてしょうがない人が
セックスをする】のはいけない事?」
「えっ? ううん。それは……ちっともいけなくないよ」
「【セックスするのは気持ち良い】事?」
「えっ!? えと……それは……」
「ちゃんと正直に答えて、ママ。【セックスするのはすごくすごく気持ち良い】事――
そうなんでしょ?」
「う……うん」
「それじゃあ、【赤ちゃんが欲しくて欲しくてしょうがない人】は【すごくすごく気
持ちの良い事をしたがってる人】で、だけどそれは【ちっともいけない事じゃない】
――そういう事になるよね?」
「えと……えと……」
「ゆっくり考えていいからね、ママ」
 しばし黙って指を折りながら真剣に考えていた聖美は、やがて小さくうなずいた。
「うん……そう」
「ふぅん。それじゃあ……」
 満面の笑みを浮かべた雅人は、ゆっくりと『言葉の罠』を閉じていく。

「【赤ちゃんが欲しくて欲しくてしょうがないママ】は【すごくすごく気持ちの良い
事をしたがってる】んだね? そうなるよね?」

「――え?」
「でも、それは【ちっともいけない事じゃない】……そうだよねぇ? だって【すご
くすごく気持ちの良い事をする】のは【赤ちゃんを産むのにどうしても必要な事】な
んだもの――そうでしょ、ママ? 違う?」
「……う、うん」
 じわじわと空気が変わって行くのを敏感に感じとった聖美は、少し怯えた目で雅人
を見つめる。
「じゃあ――」
 聖美の肩を抱いていた雅人の手がいつのまにか位置を変え、脇の下からそっと乳房
を包みこむ。伸ばした中指が優しく乳首をさすり始める。
「ひっ!? ま、マーくんっ?!」
「【ママが・可愛い赤ちゃんを・たくさん・たくさん・産む】ためには、【すごく・す
ごく・気持ちの良い事を・たくさん・たくさん・しなくちゃいけない】……ね?」
「え? そ、そうなの……かな? あっ!」
 今度は反対の手が聖美のすべすべとした太股を優しく撫でまわし始める。
「だけど、それは【ちっともいけない事じゃない】――つまり【いい事】なんだよ。
だって、ママは自分から【可愛い赤ちゃん、たくさんたくさん産みたい!】って言っ
てるんだもの」
「えーと……えーと……」
 混乱し、泣きそうな表情の美母を雅人はじわじわと追い詰める。
「これは【気持ち良い】事?」
 首筋をペロリとなめる。
「ひうっ! う……うん」
「【いい事】? 【いけない事】? どっち?」
「い……いい……事?」
「そうだよ。【気持ち良い事】は【いい事】なんだ」
「う、うん。……あっ!」

 クチュリ。

 太股をなでていた息子の指が、ついに秘められた禁忌の花弁に触れる。
「ま、マーくん!? ……ダメっ!」
 ビクンと体を硬直させた聖美は、思わず雅人の手を押し留め、イヤイヤと小さく首
を振り、懇願するように上目使いで雅人を見つめる。
「ママ……【約束だよ】。僕に任せて」
「あ、う……ううぅぅ。……うん」
 にっこりと優しく微笑みかけられ、聖美はしぶしぶ手を放す。
「そうそう。いいコだね」
 雅人はポンポンと軽く聖美の頭をなでると、のしかかるように体勢を整える。
「じゃ、いくよ、ママ。声を上げるの我慢しちゃダメだからね。それと手で邪魔する
のもナシ。いいね? これは【いい事】で【必要な事】なんだから」
 そう言って雅人は本格的に『いい事』にとりかかる。


            ■■■■


 はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。

 聖美の朱唇から、熱い吐息が洩れる。
「ほらほら、我慢しちゃいけないよ、ママ。ママがちゃんと気持ち良くなってくれな
きゃ、全然意味が無いんだからね」
 内心の興奮を押し隠し、雅人はあくまでもソフトに丁寧に、じらすようにゆっくり
と指先を這わせ続ける。
「う……んうぅ……」
 抵抗を諦め、目をつぶり身を硬くしていた聖美の頬が次第に上気し始める。

「さぁ、それじゃ、もう一度聞くよ。【ママはどうしても赤ちゃんを産みたい】んだ
よね?」
「――う、うん。……ん! んんっ!」
 耳たぶを甘噛みされ、耳の穴に舌をねじ込まれ、聖美の全身がゾクゾクと震える。
「【たくさんたくさん可愛い赤ちゃんを産みたい】――そうだね?」
「はうぅぅ……あ! やあんっ!」
 チュポっと音を立てて、乳首が吸われる。
「ほらほら、ちゃんと答えて。そのためには【たくさんたくさんセックスしないとい
けない】――そうだよね?」
「そ、そうです! あ! あんっ!」
 たっぷりと唾液をまぶされた乳首がヌルヌルコリコリと弄ばれる。
「つまり、ママは【たくさんたくさん気持ち良い事しないといけない】んだよ。分か
ってるね?」
 雅人の中指がトン、トン、と軽く、敏感なピンクの肉の芽をノックする。
「わか……あっ! んっ! あうぅ!」

 14歳の少年とは到底思えない老練したテクニックで、雅人は美しい母の裸身に官
能の焔をかき立て、まるで楽器を演奏するかのように、あえぎ声を『奏で』てみせる。

「ふふ。やっぱりママは優秀だね。今日もすぐに【気持ち良い】事を覚えちゃった」

 聖美の腕が持ち上げられ、脇の下に雅人の鼻先が寄せられる。
「ああ、いい匂い。ママの匂いだ――」
「いやいや、かいじゃダメ! あっ! ひああっ!」
 丁寧に手入れされた脇の下を、ベロベロと舌が襲う。
「【気持ち良い】のは【いけない事】?」
「い、いいこと! いいことですっ! きゃううっ!」

 聖美は無意識のうちにクイクイと腰や胸をくねらせては、雅人の指先に自分が一番
感じる場所を押しつける。
 最初こそ、とまどいを見せたものの、もはや嫌がってなどいない。
 むしろ、雅人に甘えるように自ら積極的に身を委ね始めている。
 つつましく閉ざされていた両足は、知らぬ間に大きく開かれ、濡れそぼつ熱い秘裂
から漂う、熟れたオンナの香りが雅人の鼻腔を刺激する。
 すでに「する/される」という一方的な関係ではなく、二人は立派な『快楽の共犯
者』だった。

「でもねぇ、ママ。【気持ち良い事】にも、ひとつだけルールがあるんだよ」
「え? き、きもちい……あぅ! いいコトの、るーる……?」
 全身の快楽のツボを狙い打ちされ、骨抜きにされた聖美はもはや目を開ける事さえ
ままならない。
「そう。簡単だよ。【お互いに愛し合ってる同士】なら【気持ちいい】のは【いい事】
なんだ」
「あ、あいしあってる……なら……いいこと? あんっ!」
「そうだよ。例えば、【ママは僕が好き】……そうだよね?」
「う、うん。ま、ママはマーくんのこと、だいすきっ!!」
「【ママは僕を愛してる?】」
「うん! ママは……ママはマーくんのこと、あいしてる……ああんっ!」
「【僕もママを愛してる】よ。すごくすごく愛してる。パパよりも誰よりも――世界
中で一番ママを愛してるんだ」

 万感の思いを込め、母の耳もとに愛の告白を囁く。
 美母を淫蕩の罠に陥れた魔技の持主も、この時ばかりは純真な少年そのものだった。

「い、いっしょ! ママも、いっしょなの! ママもせかいじゅうで、いちばんマー
くんのこと、あ、あいしてるっ!」
「【パパよりも?】」
「うん! パ、パパより、マーくんがすき! いちばん、あいしてるっ!」
「ああ。嬉しいよ、ママ! 僕達は【世界中で一番愛し合ってるんだね?】」
「うん! マーくんとママは、いちばんあいしあっ……あっ! あっ! ああっ!」

 次第に大胆さを増す雅人の指先の動き一つ一つに、聖美はビクビクと敏感に反応を
示す。もはや抗いなど一切無い。聖美はソファーの背に大きくのけぞり、白く大きな
乳房を重たげにふるふると揺らし、両足をしどけなく広げ、何の遠慮も無く全身で快
楽を貪る。

「ママ、気持ちいいのっ? ほら! ここも、ほらっ!」
「あー! マーくん! いいの! いいっ! あっ! あーーーーーーーっ!」

 おだやかな昼下り。姫宮家の居間には、欲情したオスとメスの淫靡で濃厚な匂いが
立ちこめる。


            ■■■■


「――ん? あ……え?」
 雅人の与える快楽にすっかり身を委ね、目を閉じ、忘我の表情を浮かべていた聖美
は、ふと、肌寒さを感じて我に返る。
 気付くと息子は指を止め、しげしげと面白げに聖美の反応を観察していた。
「こ、コラぁ!」
 途端に、かあっと頬を染めた聖美は両手で胸を隠し、慌てて足を閉じる。
「うーーーっ! もぉっ! ばかばかばかっ!」
 気恥ずかしさをごまかす為に、聖美は怒ってみせるしかなかった。

「ふふ。【いい事】は気にいったみたいだね、ママ?」
「し、しらない! ママ、ぜんぜん『きもちよく』なんかなかったもん!」
「あは。可愛いなぁ。……ねぇ、ママ。【気持ち良い事】は【いい事】――それじゃ、
【いけない事】ってどんな事だろうね?」
「え? いけない……こと?」
「そうだよ。こうして【愛し合ってる人同士が一緒に気持ちよくなる】のは【いい事】
でしょ?」
 雅人は母の首筋にそっとキスをする。
「あっ! う、うん!」
「反対の【いけない事】は――」
「きもちよくない……こと?」
「ああ、残念。正解は【家族じゃない人と一緒に気持ちよくなる事】だよ」
「かぞくじゃないひとと?」
 小首を傾げる聖美に雅人は微笑む。
「『不倫』て言うんだけど、知ってるかな?」
「あ! 『フリン』! しってる!」
「ママは不倫したことあるの?」
「ないよっ! そんなのぜったいない!」
「そう。安心した。実は【ママには呪いがかけられている】んだ」
「え? ノロイ?」
「そうだよ。もし、ママが不倫したり、『不倫したい』って思ったりしたら、【ママ
の頭は死ぬ程痛くなるんだ】よ。そういう『呪い』なんだ」
「えっ! そ、そうなの?」
 雅人のあまりの真剣な表情に、怯えた聖美は思わず問い返す。
「うん。頭が割れるようにガンガン痛くなるけど、どんなに薬を飲んでも治らないん
だ。なんたって『呪い』だからね。そうなりたい?」
「イヤイヤ! そんなのイヤ! ママ、ぜったい『フリン』なんかしない! したい
なんておもわないもん!」
「そうだよねぇ。【一緒に気持ちいい事していいのは愛し合ってる人とだけ】ってルー
ル、ママはちゃんと分かってるもんね」
「うんっ!」
 まるで父親に甘える少女のように聖美は雅人の胸に顔を埋める。
 雅人は愛しさを込め、美しい母の黒髪を撫でてやる。
 しばし、甘く静かな時が流れる。


「ね……ねぇ、マーくん。もう……しない、の?」
 もじもじと太股を擦り合わせながら、聖美が小さな声で尋ねる。
「ん? 何を?」
「うー、わかってるくせにぃっ!」
「うーん。全然わかんないな」
「もぉ、いじわるっ! き……『きもちいいこと』っ!」
「あれあれ? ひょっとして、【僕にもっともっと気持ち良い事して欲しい】の? 
ママはエッチだねぇ」
「ち、ちがうよ! えーと……えと、あ! 『あかちゃんうむにはきもちいいことが
ぜったいひつよう』なんだもん。それは『いけないことなんかじゃなく』て、『いい
こと』だから、『ママはたくさんたくさんきもちいいことしなきゃいけない』のっ!」
 勝ち誇るように聖美は反論してみせる。
「お、スゴい。やっぱりママはアタマ良いね」
「でしょお? あ! それにマーくんてば、まだ、『ママがどうしたらかわいいあか
ちゃんをたくさんたくさんうめるか』って、ちゃんとおしえてくれてないよ」
「ああ。……たぶん、ママはもう分かってると思うんだけどな」
「え?」
「じゃあ、最後に一番大事な質問をするからよーく聞いて答えてね。ちゃんと考えた
ら分かるはずだよ。これは【ママが自分から答えてくれなきゃ意味が無い】んだ」
「わかった。ちゃんとかんがえる!」
「さ、それじゃ僕の膝においで」
「うん!」

 さっそく聖美はソファーに座る雅人の膝をまたぎ、向かい合わせに座ろうとしたが、
目と目が合い、慌てて後向きに反転する。
「な……なんか、はずかしいから、アッチむくね!」
「いいよ」
 人間椅子状態の雅人は全裸の母の背中を優しく受け止める。
「ん!」「うっ!」
 母と子の素肌が大きく触れ合い、瞬間、二人ともゾクリと身震いする。

「あ……あのね、マーくん」
 雅人の膝に座った聖美が、前を向いたまま、振り返らずに話しかけてくる。
「……ほ、ほんとはね。ママ、ちょっと『ヘン』なの。だれかにどこかから『やめな
さい!』っていわれてるみたいなきがするの。『いいこと』のハズなのに『すごくす
ごくイケナイこと』をしてるみたいなキモチにな――あんっ!」
 背後から抱きすくめられ、うなじに舌を這わされる。
「じゃあ、ママはどうしたいの? やっぱり……やめたい?」
 いたずらな指がそっと乳首をつまむ。
「う、ううん。『さいごのいちばんだいじなしつもん』なんでしょ? それに……」
 聖美は足を大きくM字に開くと、雅人の手を取り、自らの秘められた花弁へと誘う。

 クチュ。

 そこはすでに溢れんばかりに女の蜜を熱くたぎらせていた。
「……ママ」
「『やくそく』……だもん。いいよ、マーくんなら――『イケナイ』ことでも」
「……」
 瞬間、感動と罪悪感とで胸を詰まらせた雅人は、母の背に頬を寄せ答える。
「あ……ありがとう、ママ」


 ――そして微かな声で「ごめんね」と呟き、魔少年は最後の仕上げに取り掛かる。


            ■■■■


 チュプ。チュプ。チュプ。
「う……んぅ!」
 膣内に差し込まれた細い指が小さな水音を立て、ゆるゆると女の中枢を刺激する。
「いいかい、ママ。よく聞いて」
「……ぅん。あくっ!」
「【赤ちゃんを産むため】に【ママはセックスしなきゃいけない】よね?」
「う、うん」
「だけど【パパにはもう頼めない】」
「うん。……あ。ソコ……いぃ」
「【セックスはすごく気持ちが良い事】で【気持ち良い事】は【いい事】」
 韻を踏んだ詩を唱えるように、雅人はゆっくりとしたリズムで問いかけ続ける。
「うん、わか……うぅっ!」
「でも、【家族じゃない人と一緒に気持ちいい事をする事】のは【不倫】で、それは
すごくすごく【いけない事】」
「う、うんっ! わかってるっ! ぜったいしないっ!」
「うん、いいコだね。【気持ち良い事】は【愛し合っている人同士でしなくちゃいけ
ない】――ママはちゃんと分かってるもんね?」
「うん!」
「【ママが愛してる】のは誰?」
「マーくん! それと……えと……パパ?」
「【ママが一番愛してる】のは誰?」
「マーくん!」

「――ああ、今日もやっとここまで来てくれたね、ママ」
 一瞬、背後からギュっと美母の体を抱くと、雅人はラストスパートにかかる。

「さあ、ママ教えて!」
「あっ!」
 雅人は左手を伸ばして敏感な小さな肉の芽をつまみ、右手の指2本を膣に挿入して、
聖美が一番弱いGスポットあたりをこすり上げる。

「【パパよりずっとママを愛していて】!
 【ママからも愛されていて】!
 【不倫】なんかじゃなくて!
 【ママに赤ちゃんを産ませてあげられる】のは誰っ!?」

 グチュグチュと激しい水音を立て、雅人の指が秘奥を出入りする。
「あっ! は、はげし……あ! ああっ!」

「【世界でたった1人だけ】!
 【ママと一緒に赤ちゃんを作る】ために!
 【ママのお○んこにお○んちんを入れて】!
 【射精してあげられる】のは誰っ!?」

「あ! あうっ! あうううっ!」
 もはや言葉を返す余裕もなく、聖美は情欲の炎に呑み込まれて行く。
「さぁ、イッて、ママ! また今日も自分からイッて! 自分の言葉で僕に応えて!」
 ありったけの情熱を込め、少年は愛する母を攻め立てながら叫ぶ。

「【ママは誰の赤ちゃんが産みたいの!?】」

「ま、マーくんっ! マーくんですっ! ママは……ママはマーくんの……マーくん
のあかちゃんがうみたいのっ! ああ、マーくん! おねがいっ! あかちゃん――
マーくんのあかちゃん、うませてええええええええええっ!」

 全身をガクガクとエクスタシーに震わせながら、ついに『母』は陥落する。
 そこにあるのはただ、本能の命ずるまま若い牡に種付けをねだる一匹の美しい雌の
姿だった。


 はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。

 全身をヌラヌラと汗で光らせた二人は、しばらく無言のまま、ただ荒い息を付く。
 やがてゆっくりと後ろを振り返った聖美は、まるで初恋の相手と出会った少女のよ
うにキラキラした目で雅人を見つめる。
「……マーくん」
「……ママ」
 ごく自然に唇と唇が触れ合う。ありったけの愛しさと情熱を込めて聖美は雅人の唇
を貪る。

「ああ、すきっ! マーくん、だいすき! ママ、マーくんとしたいっ!」
「何を?」
 雅人は優しく微笑みながら問いかける。
「せっくす! 『せっくす』するのっ! マーくん、ママとあかちゃんつくろっ!」
「うーん。どうしよっかなぁ。僕、今日はあんまり乗り気じゃないかも」
「ウソウソ! そんなのぜったいウソ! ママ、しってるもん、マーくんホントはス
ゴくエッチなんだもん! おっきくなったお○んちん、いっしょけんめいりょうあし
ではさんでかくしてたけど、しってるんだから! ほら!」
「……あ、コラ!」

 ぶるんっ!

 聖美が閉ざされていた雅人の太股をこじ開けると、肉の兇器と化した雅人の『カタ
マリ』が飛び出す。
「わ……スゴぉいっ!」
 雅人の『ソレ』は標準的な成人男性と比べても遥かに巨大だった。
「ま、ママがいけないんだよ。ママがあんまり可愛いから……こんなになっちゃった
んだぞ」
 なぜか、少し照れながら雅人が言う。
「ね? さわっていい?」
「……うん」
 聖美は天を衝いて吃立する息子の欲棒におそるおそる指を絡める。
「……どう?」
「あつくて……すごぉくカタいよ。それに、すごく……おっきい」
「パパより?」
「うん。どうしてこんなになっちゃうの?」
「言ったろ、ママが可愛いからだよ。ママの中に入れたくて入れたくて、こんなにギ
ンギンになっちゃったんだ」
「わたしのせい……なの?」
「そうだよ。全部、ママがいけないんだぞ! ずーっと昔から僕が知ってる誰よりも、
綺麗で、可愛いくて……だから僕、アイドルやクラスの女の子に全然興味持てなかっ
たんだ」
「……マーくん」
「あんな仕事バカのパパになんか絶対ふさわしくない! ママはもう僕のものだよ。
カラダもココロも誰にも渡さない!」
「うん。ママはマーくんのモノだよ。だから、マーくんもママのモノになってね」
「ママ……」
 ふたたび、二人は口づけを交わす。それはまるで婚姻の誓いのように心のこもった
厳かな口づけだった。


「ねぇねぇ、マーくん。ママはさっきちょっとイッちゃったけど、マーくんはまだぜ
んぜんイッてないから、カッチカチだねぇ」
 雅人の分身をオモチャにしながら、聖美が目を輝かせる。
「うん。我慢するのが大変だったよ」
「え? どうしてガマンしてたの?」
「だって……どうしてもママの口から『したいっ!』って言わせたかったんだ。僕、
ほんとは……ムリヤリなんかイヤなんだ」
 後半は口の中で呟く。
「ふふ。ズルい、マーくん。じゃ、いってあげる。ママはいまスゴくスゴーく、マー
くんと『したい』の。だから、おねがい。これをママにちょうだい」
 そう言って聖美はひざまずくと、息子の熱い肉塊に軽くキスする。
「いっぱい、きもちよくしてね」
「……ママ」
 妖艶で可憐な仕草に雅人の鼓動が早まる。
 だが、ふと、いたずら心を出した雅人はわざとらしい口調でうそぶく。
「ああ、そうだ。パパの机の引出しの奥にスキンがあったっけ。せっかくだから使っ
てみよっかなぁ」
「え?! どうして? やだやだ! そんなのつけちゃダメ! いっしょにあかちゃ
んつくるの! ちゃんとだしてくれなきゃダメ!」
「えーと、『出す』って『どこ』にだっけ? ボク、子供だから全然わかんないや」
「んもぉ! ママの、お……お○んこのナカにだすのっ!」
「何を?」
「マーくんのせいえきを!」
「どうやって?」
「マーくんの……お、お○んちんをママのお○んこにいれてっ!」
「うーん。キチンと続けて言ってくれないと分かんないなぁ」
「うう……ほんと、イジワルなんだからあ! 『ママのお○んこにマーくんのお○ん
ちんをいれて、たくさんたくさんせいえきをだす』の! だから、ぜったいゴムなん
かつけちゃダメなの! ちゃんとナマでいれて、ぜんぶママのナカにだしなさい! 
さぁ、これでいいでしょ!?」
「ふふ。ママ、可愛いなぁ」
「お、おこるよ!」
 待ち切れない様子で聖美は雅人の手を引く。
「ねぇ、はやくっ! もう……ベッドにいこ、マーくん! ママ、はやく、マーくん
といっしょにきもちよくなりたいの! マーくんのあかちゃんがほしい! 『ママ』
になりたいの!」
「うん。これからまた明日の朝まで、何回も何回もママの中に出してあげるよ。僕の
濃いミルクをママの子宮の奥までたっぷり注ぎ込んで、今日こそママを孕ませるんだ。
必ず妊娠させるよ。いいね、ママ?」
「うん! かわいいあかちゃんつくろうね、マーくん!」
 勢いよくうなずいた聖美だったが、ふと、途中で気付く。
「あ、でも……どうしよう? とちゅうでパパがかえってきちゃうかも」
「ああ、それなら大丈夫」
「どうして?」

「もう、【パパは僕達が何をしてても目に入らない】からさ」


 パタン。

 こうして今日もまた、愛の営みに胸はずませる美しい母と子は手に手を取り合い、
生まれたままの姿で寝室のドアの向こうに消えて行くのだった。

                                [END]

[2007/04/06]

小説(転載)  DISTANCE

近親相姦小説
12 /02 2018
題名 DISTANCE

【第一章 交錯しあう許されぬ感情】

ある夏の昼下がり、うだる様な暑さの中、恭子はリビングがら外を眺めていた。その
視線の先には、洗車をしている息子、和志の姿があった。照り付ける陽射に水飛沫が
キラキラと反射する中で、ショートパンツにサンダル、上半身裸という出立ちの息子
が作業に精を出していた。
今年の春大学に入学した我が息子を見つめる恭子の視線には、夏の暑さも敵わない火
照りを含んでいる。気が付けばいつの間にか成長し、立派な大人の男の体格をしてい
た。薄い胸毛を蓄えた厚い胸板に逞しい二の腕、見事に六つに割れた腹筋に沿って縮
れた体毛が生えている。スッと鼻筋の通った端整な横顔、力強い目、うっすら生やし
た無精髭。短く刈ってボウズ頭にした事により、更に武骨な男らしさを兼ね備えた様
に思える。猛暑で吹出す汗が、雫となり背筋を伝って流れていく。
そんな息子を見つめ、ぼーっとしてきた恭子の頭の中が、禁断の欲望で充満し始め
た。
『和志が私の中に猛り狂うモノを突き立ててくる…。それに応えて淫らに反応してし
まう私の肉体…。息子と熱く激しく絡まり、欲望赴くままにお互いを求め合うの
…。』 (はっっ…ダメダメっ…私ってば何て事…和志は私の実の息子よ…イケない…。)
脳内に立ち込めた許されぬ妄想から、『はっ…』と我に返った恭子。頭では間違って
いると理解していても、身体は正直だった。普段は貞淑な女性の恭子だが、和志の事
を考えると途端に淫女へと変貌を遂げるのだ。身体の芯が疼く…。乳首が硬くすぼま
る…。そして熱を帯びたワレメからは大量の愛液が溢れ、パンティを濡らし始めてい
た。 (あぁん…でもダメ…我慢出来ない…はぁん…和志…。) 幾ら頭で抑制しようと
しても、恭子の飢えた身体は限界に達していた。
しかし、こんな淫らな想像を馳せる様になったのは昨日今日の事では無い。実は数ヵ
月も前から止まらなくなっていたのだ。その原因は七つ年上の、繁治にあった。恭子
と繁治は結婚して今年で19年になる。新婚当初は熱く燃え上がっていた二人だった
が、ここ数年は片手で数える程しかしていない。言わばセックスレスの状態だった。

まだ39歳の女盛りの恭子がそんな生活に耐えられる筈がなかった。39歳という年齢に
は到底思えない見事な肉体を誇る恭子。ヨガを続けているおかげで贅肉など一切無
く、張りのある透き通る様な白い肌には、染み皺一つなかった。そして街を歩いてい
ても常に周囲の男達の視線を釘付けにさせるFカップの胸、絞まったヒップ、なまめ
かしくくびれたウエスト。ほんのりダークブラウンに美しくなびく髪。その美貌は実
年齢より十歳、いや十五歳若く見えると言っても過言ではない。そこらの二十代の女
性よりも遥かに瑞々しい身体付きをしていた。
こんな豊満で熟れた肉体を持ち合わせているにも関わらず、自分に全く興味を示さな
くなった夫。日々逞しく男に成長していく和志に、恭子の心が次第に魅き付けられて
いくのに時間はかからなかった。無論、中年特有の弛んだ体型、合わせて頭頂が薄く
なりかけている繁治に、もはや恭子を満足させられる訳がなかったんだが…。 イケ
ない想像を膨らませ、気が付いた時、和志はもう家の中に入っていた。キッチン
でゴクゴクと水を飲み、喉の渇きを潤している。そんな息子の背後に恭子は静かに近
付いた。背中に滴る汗を直に手で拭いながら、耳元で囁く。
「凄い汗…」
「あぁ、物凄い暑かったからな…」
母に触れられ、一瞬身体をピクンとさせながら、和志は静かに答えた。汗に濡れた息
子の肉体。浮き出た筋肉に沿って手を緩やかに滑らす恭子。背中、腰、肩、腕。いや
らしく這わせた両手がまんべんなく上半身を擦る。
「逞しくなったわね。私ドキドキしちゃう…。」
恭子はここ最近、和志の前では必ず自分の事を『お母さん』ではなく、『私』と言う
様に心掛けていた。と言うのも、自分の事を一人の『女』として見て欲しかったか
ら。『母』としてではなく『女』として…。
そんな恭子の軽いペッティングを受け、和志の股間にも徐々に力が漲り始めた。母を
背にして立っている為、股間の巨大な膨らみを曝す事はなかったが、和志は敢えて身
体を反転させ母と向き合う体勢をとった。
「お袋もすげぇソソるぜ。」
そう言うと恭子の腰に腕を回し、グイっと引き寄せた。そうした事によって、硬く力
を蓄えた固まりが母の下腹部に押しつけられる事となった。当然直ぐさま気付く恭
子。
(っ!!…はぁっ…スゴイっ…)
強棒の感触に一瞬戸惑う。
「嬉しい…ありがと。」
だが、視線を真っ直ぐ息子の瞳に向け、破裂しそうな程心臓を高まらせながら呟い
た。
そして今度は、厚い胸板や鍛えぬかれた腹筋、脇腹に手をなめらかに滑らせる。息子
の腕の中にすっぽりと収まりながら、このまま時間が止まればいいのに、と願う程至
福の瞬間を味わっていた。が、しかし
「それじゃぁ俺、バイトだから。」
と素っ気なく置き去りにされた恭子。リビングを出て行く和志の後ろ姿を眺め、否応
なしに現実に引き戻された。
(だからダメなの。…和志は息子なの…ダメダメ…。)
ほんの一瞬ではあったが、男と女として見つめ合ってしまった罪悪を感じながら、
そう自らに言い聞かせる。火照った肉体を静めようと努めたが、シャワーを浴びる息
子の事が頭に浮かび、更に身体が疼いてしまう。もう自分でもどうしていいのか、ど
うすべきなのか分からない。心の歯止めは、今や折れる寸前になっていた。 一方、
和志もシャワーを浴びながら、たった今直に感じた母の感触を思い出してい
た。やんわりとした絹肌、香り漂う美しい髪、甘い息。そして何と言っても、薄いブ
ラウスの生地を通して伝わってきた、硬く尖った乳首…。既に股間は激しく脈打ち、
肉棒となってそそり立っていた。空手で作り上げた筋肉質な身体を石鹸の泡で洗いあ
げる。そして同時に、ペニスにも泡を絡ませ一心不乱に扱いた。言うまでもなく、和
志の脳内ではあの美しい淫母を徹底的に犯している。母の濡れ滴る秘部に、この太く
長い肉棒を思い切り突き立てているのだ。 (お袋…すげぇよ、お袋の身体…おぉぉぉっ…)
和志も恭子と同じく、随分前から母の事を思い浮かべて欲望を発散させていた。と言
うのも、以前より感づいていたからだ。母が自分に向ける視線に、ただならぬ思いが
秘められている事に。それは無理もなかった。だっていつも潤んだ目、火照った顔で
誘う様に自分の事を見つめてきたのだから。それに加えて、日を増して露出過多に
なってくる恭子の服装、頻繁にされるスキンシップ。父親と上手くいっていない事も
察知していたので、母が男を欲している事はとうにお見通しだった訳だ。
和志もそんな恭子を思い浮かべては自慰に耽る日々だった。今迄、六人の女性経験が
あったが、恭子に勝る者は唯一人としていなかった。実際の女よりも、母を想像して
の自慰の方が興奮、快感は圧倒的で、比べ物にもならなかった。
恭子は自分の肢体を和志に見せつける為に、わざとリビングでヨガをする事が頻繁
だった。タイトなウェアが豊乳に突き破られん勢いで膨らみ、その中心にはくっきり
と見てとれる乳首の突起。過激なポージングをする度にワレメに食い込んでくるアン
ダーパンツ。イヤらしい欲望を含んだ息子の視線を浴びる程全身に受けた恭子の秘部
は、見る見る間に愛液の洪水となった。いつもヨガの時には下着を付けていなかった
が、アンダーパンツに染みが浮かばないかドキドキしながらも、大胆な格好をし続け
る恭子。その思惑通り、和志はヨガのポーズの様に快楽にのけ反る母を思い浮かべ、
何度も何度も頭の中でセックスをした。 シャワーを浴びながら恭子を想い、夢中で
ペニスを扱き続ける和志に、とてつもない射精感が押し寄せて来る。ぐちゅぐちゅと
泡に塗れる音を立てながら、想い浮かべた母に目一杯腰を打ち付ける。そして頂点に
達し、濃厚な精液を風呂場のタイルに向かって放出し続けた。もちろん想像の中では、
恭子にぶちまけていた…。 バイトに出掛けた和志が去った後、この家には恭子一人。
当然、恭子も又、抱き締めてくれた和志の温もり、見せつけられた肉体美を想い浮か
べ自らを満たしていった。母と息子でありながら、気持ちとしては完璧に男と女。
お互いがお互いに求めているにも関わらず、なかなか一線を越えられない二人。
やはり『近親相姦』という負のイメージを持つ言葉が、頭から離れない。しかし、
その越えてはならぬ域に達するまで、時間はかからない筈だった。あの事件が起こら
なければ…。

【第二章 剥き出しの情欲】

それは、翌日の出来事だった。昼食の準備が出来たと和志を呼びに周ったが、家中何
処にも見当たらない。多分いつもの場所だ、と恭子は屋上へ足を進めた。辿り着く
と、やはりそこにいた。鉄筋コンクリート三階建ての作りで、屋上では以前よくバー
ベキュー等をしたものだった。しかし夫婦の関係が冷め切った今、ここに来るのは和
志だけだ。この屋上でビーチチェアーに横たわり、日焼けを楽しんでいるのだ。都合
よく周囲に高い建造物が無い為、気兼ねなく思う存分焼ける絶好の場所なのだ。
「和志…ご飯よ。…和志?」
ヘッドホンをして音楽を聞いている息子は、母の呼び掛けに気付かない。顔を覗き込
みもう一度呼び掛ける。
「和志…ご飯…。」
その声に力は無い。何故ならば、下着一枚の姿で横たわる息子の身体に、又もや恭子
の肉体が疼いてしまったからだ。こんがり焼けた肌にオイルが塗られ、ヌラヌラと妖
しく照る和志の身体。下半身には、やっとペニスを包み込んだだけの小さな白いビキ
ニ。あと少しで食み出しそうな勢いである。この彫刻の様な素敵な肉付に目を奪わ
れ、再び官能のスイッチがオンになってしまった恭子…。思わず大胆な行動に出た。
「私も一緒にダメ…?」
少し恥じらいの表情を浮かべながら問い掛けて来る母の姿に、一気に血が頭に駆け巡
る和志。窮屈なビキニの中で少しずつ頭をもたげ始めるペニス。おもむろにサマー
ニットを脱ぎ出した恭子。豊満過ぎるバストを下半分だけ覆っているブラジャーはブ
ラックの総レースで乳房が丸見えの状態。花の刺繍が辛うじて乳首を隠しているだけ
だった。あまりに官能的過ぎる母の肉体に、思わず生唾を飲み込む和志。
しかしミニスカートのサイドジップを下げ、ゆっくりと足下から抜き取った恭子の姿
に、和志の思考回路は瞬時に麻痺した。限り無く面積が小さく、ブラジャーとセット
のパンティも同じく総レースで小さな花の刺繍がワレメぎりぎりを覆っていただけた
のだ。そして背を向けた途端、和志の肉棒は完全に力を漲らせた。ヒップは覆ってい
るものが何も無い、Tバック。白く美しい桃の様な尻の谷間に、キツそうに食い込む
細い紐。サイドは紐で結ぶだけの作りになっている。 (うぉっ!…ダメだぁ…あの紐
を、あの紐を…) 和志はあの紐を解いてしまえば、いとも簡単に母の肉体にありつけ
る事は分かっていたが、何とか平静を保とうと精一杯だった。しかしダイナマイト過
ぎる恭子の半裸、と言うよりほぼ全裸を目の前にして、和志は爆発寸前だった。逃げ
場の無いペニスがビキニを極限まで押し上げる。それは恭子の目にも当然飛び込んで来た。
しかし、和志はその股間の変化を一切隠す素振りは見せない。ヨガの時の恭子と同じ
く、いつも風呂上がりには下着一枚で過ごし、母から向けられる淫乱な視線を楽しん
でいたからだ。当然、恭子も息子のビキニ姿を毎日目に焼き付けてきた訳だが、いつ
もとはただならぬ様子に困惑すると共に、心が踊った。自分の姿に息子がこんなにも
興奮してくれている…そう思うと、ワレメからどっと滑った汁が溢れてくる。和志と
同じく、小さなビキニの下には夢にまで見た息子のアソコが息衝いていると考える
と、トロトロと膣芯から愛液が止まらなかった。そしてその色めき立った感情が、恭
子をもっと大胆にさせる。
「塗って上げる…」
日焼けオイルのボトルを手に取ると、和志の身体に垂らしていく。それを丹念に両手
で塗り広げていった。オイルにぬらめき、筋肉が一層際立つ。
(はぁん…ドキドキしちゃう…触れてるだけなのに…感じちゃうっ…)
乳首の周囲を手が滑ると、和志の身体が少し動くのを見逃さなかった。必要以上に
胸を這い回る両手。そしてその手が下腹部へと降りていく。ヘソ下のチリチリとした
体毛がオイルに濡れて張り付いた。また、その下には巨大に呼吸するペニスがある。
恭子は思わずウエストのゴムの中に指先を潜らせた。少しだけ指先に感じる陰毛の触
感に、口が渇ききる程興奮させられながら。
今度は俯せにさせ、大きくて広い背中にオイルを垂らした。又もや際どく動く恭子
の手。その時
「ぁぁぁぁ…」
と小さく声を洩らす息子の姿が、更に恭子の欲望のスイッチを押した。
「今度は私の番…塗って…」
実の息子に迫る勢いの恭子。和志に代わってビーチチェアーに上がると俯せに寝転ん
だ。巨乳が押しつぶされ、たわわに食み出している。和志は高まる興奮を押さえなが
ら、オイルを塗りたくっていった。ヌルヌルに滑る美しい母の素肌。臀部にまで手が
伸び、徐々に動きが荒く大胆になっていく。そしてヒップに目掛けオイルを大量に垂
らす。股間を生暖かいオイルが流れ落ちていくのを恭子も確かに感じ取っていた。
(はぁん…スゴい…感じちゃう…)
和志のごつごつした手が自らのヒップに触れられた時、今迄になかったものを感じた。
「ぅっっっ!…っっ…くぅぅぅぅんっっ!…」
必死に洩れそうな喘ぎ声を噛み殺した。あまりの快感に悶え、ふと顔を横にすると目
の前には巨大な膨らみが噴火しそうになっているではないか!!。
その時、極度の興奮で一時的に意識が途切れた恭子。どうしてこんな体勢になったの
か、気がつくと和志と69の体位をとっていた。下着は脱がされていなかったが、ほ
とんど覆っていない紐なんかでは、秘部がほぼ丸出しになっている。恭子の尻の谷間
に顔を埋める様にして、和志が執拗にヒップにオイルを塗りたくっていた。顔下には
依然堅さを保つ肉棒が存在している。ゾクゾクとする快感に背をのけ反らせて、恭子
は歓喜に泣いた。溢れ出す愛液に濡れた秘部を息子に見られる羞恥心。しかしそれさ
えも快感を増長させる糧となった。
その時、
「おっ、お前らこんな所で何しとんじゃぁぁっっっ!」
突然の背後からの罵声に、二人とも一瞬何が起こったのか理解出来なかった。
声のする方に振り向き、ようやく事態が掴めた。そこにはなんと繁治の姿があったの
だ…。 会議で使う筈だった書類を自宅に忘れた事に気が付いた繁治は、外回りのつ
いでに自宅に寄った。午後三時からの会議に充分間に合う。正午少し前、家に入ると
妻の姿が見当たらなかった。
「おーい恭子、いるか?」
呼び掛けても応答は無い。『?』と思いながらもキッチンに入ると、昼食の準備が
しっかりと用意されていた。しかし姿は一向に見えない。人の気配すら感じない。家
中くまなく探したが、それでも見つからない。
(どこか買い物にでも出掛けたのか?でも玄関の鍵は開いたままだったし…。昼飯を
放ったらかして出掛けるなんてないよな…)
三階の階段踊り場でそう考えていた時、風が吹くのを感じた。それは屋上へ続く階
段から流れてきていた。 (なんだ屋上か。しかし何でまたあんな所へ…) そうブツブツ
一人で考えながら足を進め、扉を開けると信じられない光景が繁治の目突き刺さった。
オイルに塗れた妻と息子が、下着一枚の姿で縺れ合っていたのだ。

【第三章 狂いだした歯車】

「おっ、お前らこんな所で何しとんじゃぁぁっっっ!」
繁治にも目の前の現実が理解出来なかった。仕事ばかりで家庭を顧みず、鈍感で無
神経な性格故に、妻と息子の間に芽生えた怪しい関係に全く感づいていなかったの
だ。
「この野郎っ、離れろぉっ!!」
激怒する繁治は恭子の腕を掴み、ビーチチェアーから引きずり下ろした。
「あっ、あっ、あなたっ…これは…違うのっっ、」
「違うって何がだぁこらぁ?言ってみやがれぇっ!ああっ?!」
更に声を荒げる迫力に、恭子は恐怖で縮み喋ることが出来ない。
「貴様ぁっ、何を考えとるんやぁっ!?二人で何しとったんか言ってみんかい!」そ
う怒鳴りつけると、和志を殴りにかかった。
「うるせぇ馬鹿野郎っ!お前にゃぁ関係ねぇ!クソ野郎がぁっ!」
そう言い放ち、和志も繁治を殴り返す。
「イヤァァァァッッッ!止めてぇぇっ!」
恭子が金切り声を上げ制止にに入ろうとするが、二人の揉み合いは止まらなかった。
血の飛沫がコンクリートの床に飛び散る。和志は中学高校と空手をやってきており、
繁治が敵う相手ではない。頭一つ分大柄な体格を見ても、一目瞭然だった。
乱闘の末、振り上げた拳が顔面を直撃し、繁治の体が宙を舞って硬い床に激しく叩き
付けられる。ハッと我に返った和志が近寄ると、繁治は呼吸をしていなかった…。

【第四章 別離】

『業務上過失致傷、懲役一年二か月』
これが和志に下された判決だった。父親に暴行を働き、重傷を負わせた一件に対す
る判決。繁治は辛うじて一命を取り留めたが、頭を強打し二週間近くも意識不明の重
体だった。自宅では一人、抜け殻の状態になった恭子がいた。未遂ではあったが息子
と一線を越えようとしていた事に対する罪悪感、自分が原因で夫が重体に陥っている
事。そして何より保護者として守ってやるべき立場なのに、和志が懲役を受けている
この現実に対して、申し訳ない気持ちで胸が張り裂けそうだった。
食事も喉を通らない。外出もしたくない。段々と恭子の身体はやつれていった。しかし、
時間の流れが徐々に恭子を立ち直させた。面会しようとしても『顔も見たくない』と
断られたが、繁治のお見舞いにも出掛けられる様になった。一か月半後、繁治が
退院し自宅に戻ってきた。
「…おかえりなさい…。」
「。。。」
一切言葉を交わそうとしない繁治。この二人の間にもはや夫婦という関係は存在しな
かった…。
そして気が付けば、いつしか人肌恋しい季節へと移り変わっていた。 繁治の体が完全に
回復した今、恭子もすっかり元の自分を取り戻し、何とか立ち直っていた。
しかし依然として、ぽっかりと胸に大きく開いた穴がある。『和志』の事だった…。
二人が屋上で何をしていて何をしようとしていたかは世間に知られていなかったが、
繁治の命令により和志に関する情報が恭子に伝えられる事は一切無かった。それ故、
和志が今どこで何をしているか全く分からない。面会に行く事も、手紙を書く事も出
来なかった。思い出せば思い出す程募る思い。不謹慎な事は重々承知だったが、かつ
て自分と息子の間に流れた甘く危険で淫美な空気を思い返し、満たされない湧き上が
る欲望を自分で満たし始める様になっていった。
(はぁん…はぁぅん…和志…もっと…もっとぉん…)
充分に潤ったワレメ奥深くにまで指を侵入させ、熱い息子の塊に激しく、そして淫
乱に貫かれる場面を想像する。愛液が溢れて止まらなくなった恭子の身体は、いつま
でも和志を想い疼き続けるのだった。
同じくして鑑別所の中。和志も又恭子の豊満な肉体を想像する毎日を送っていた。
何度恭子宛てに手紙を書いた事だろう。しかし返事は来なかった。あんな事態を引き
起こしてしまい、てっきり気持ちが離れてしまったのだと思い込んでいた。だが簡単
に忘れられ様もない。目前にしておきながら、 あと一歩手の届かなかったあの豊満
な肉体…。
(…っぁぁ…お袋…お袋っ…ああぁっ…すげぇイイぞ…)
脳内の中では、魅惑的な強固の肉体を貪る様に犯している。狂乱的に悶える恭子の膣
深くにそそり立つペニスを突き立てる…。猛続的に肉棒をしごき続け、クライマック
スに達するころには、まるで張り上げる母の喘ぎ声がすぐそこから聞こえてくる様
だった。
(ああぁっ…ああああぁっ…イクぞっ…イクぞ…イクぞっっ…ぉああああっ!!…)

極度の興奮を迎えた中での、大量発射。精液は弧を描きながら空中に放出された。
徐々に醒めていく妄想の中、息子の体液を全身に浴びた母の姿も共に薄れていく…。

母も息子も互いに強く求め合っている。性的欲望を叶えたがっている。しかし無常に
も現実は二人の間を引き裂いたまま、繋ぎ留める事を許さなかった。

【第五章 沸き立つ希望】

まるで生気を失ったかのような生活の中、恭子にとって時間が過ぎるのはとてつもな
く長く感じられたが、季節は巡っていき、いつしか夏本番の日差しが容赦なく降り注
いでいた。
恭子は、ある日繁治の書斎の机の引き出しに鍵が付けっぱなしになっている事に気が
ついた。繁治はいつもは肌身離さず鍵を携帯していたが、うっかり施錠したまま抜き
取るのを忘れていたのだ。おもむろに取っ手に手を掛け、中を覗く。それを見た途
端、全身の力が抜け落ち床に座り込んでしまった。そこから出てきた物は、繁治の弁
護士事務所から送付され続けてきた封書の数々。そこには確かに和志が収容されてい
る鑑別所の他、経過報告、入所書類の数々が記載されていた。
夢中で一つ一つ読みふける恭子。そしてその中でも一番新しい日付の消印を見つけ、
緊張にかき乱されながら便箋を開いた。その時恭子の中で周りの空気が止まった。
『平松和志 出所予定日 八月十四日(金)』の文字が彼女の目に入った途端、一瞬
にして思考が一切消え失せてしまったのだった。
(あ、明日っ?!…)
まさにその出所予定日が明日に迫っていたというのだ。この現実を突きつけられ唖然
とする恭子。自分が今、何をどうしたらよいのか混乱の極地に追いやられてしまっ
た。
(な、何で…何で明日なの…。時間が無さすぎるわ…。一体どうすれば…)
しかし必死で気を静めようと努め、冷静な思考回路をとり戻しつつもう一度文面を読
み直す。そして興奮という感情がふつふと湧き上がってきたのだ。
(会えるの…。やっと和志に会える…。あの人に会えるの…)
期待感に胸を膨らませ、今やるべき事を心に決めた。
その晩、リビングでは繁治がビールを飲みながらくつろいでいた。そこへ不安な表情
を浮かべた恭子が近づいていき、重々しく口を開いた。
「…あなた、私と離婚して下さい…。」
極度の緊張の為声が震えてしまう。しかし恭子は自分の意思をはっきりと伝えた。
「はぁっっ?いきなり何を?熱でもあるんか?」
「…いいえ…本気です…。」
その淡々とした物言いが、逆に繁治の逆鱗に触れた。
「はあぁぁぁっ?勝手な事ほざきやがってこの野郎ぉ!!もう一度言ってみやが
れっ!!」
「私と別れてください。サインはもう済ませてありますので…。」
そうきっぱりと言い放ち、恭子は離婚届を突き出した。
一気に逆上した繁治は恭子の腕を掴み、ソファーに投げ飛ばした。
「お前みたいなクソ女には、こうしてやるのが一番なんだよっっ!!」
そう罵声を吐きながら、強引にスカートを捲くり上げパンティを引き摺り下ろそうと
する。
「嫌っっ!!やめてっっ!何するの!嫌ぁぁっ、離してぇっっ!!!」
しかし一切無視の繁治。必死に手で押さえ抵抗するが、無残にも足元からパンティが
引き抜かれてしまった。
「いやぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
悲鳴を上げる恭子。強引に繁治のペニスが侵入してきた痛みに苦しみながら、必死で
逃げようとする。しかし男の力には到底敵わず、無理矢理性交を強いられてしまっ
た。あまりの屈辱と悔しさで涙が溢れる恭子。侮辱的なこの行為の最中、繁治は一言
も言葉を発さずただ腰を打ち付けてきた。
後ろから犯された事が不幸中の幸い、繁治の顔を見ずに済んだ。
「はぁぁっ…ああぁっ…。っぁっ…」
「何だ、お前も感じとるんだろ?」
おぞましい夫との性行為であったが、それでも身体は意に反して反応してしまう。し
かし、この悪夢にもがき続けるうち、無意識に恭子の頭には息子『和志』の姿が浮か
んだ。この忌まわしい時間から逃避する為、身体が勝手に繁治を和志に置き換えてい
たのだ。
「ぁあっ…和志…はぁっ…和志…和志…和志っっ…はぁぁっっ…」
しかし、妻の口から発された息子の名前を耳にし、憤怒の頂点に達した繁治。
「この野郎ぉっ!勝手にしろっっ!さっさとこの家から出て行きやがれ!!!」
そう怒鳴りつけると、力無く横たわる恭子を置き去りにして部屋を出て行ったのだっ
た…。

【第六章 再会】

翌朝、恭子は念入りにシャワーを浴びていた。昨夜の汚らわしいものを全て洗い流し
てしまう為に。そして、愛する人に再び会える期待と喜びに燃える心の中に、大きな
決意を固めながら…。目的を果たす準備を着々と進めていった。
シャワーから上がり、丁寧に髪をブローする。凛とした美しい顔にメイクが施され、
絶世の美女へと変身を遂げた。
(よしっ。)
自分で自分に言い聞かせた。『これから自分が進む道は決して間違っていない。他人
に何と言われようと構わない、これは正しい。』んだと…。
表でクラクションがなる。迎えのタクシーが到着した。スーツケースに詰めた身辺一
式と、繁治のサイン入りの離婚届を握り締め、家を後にした。もうこの場所へ戻るこ
とはない、そう考えながら…。
タクシーは順調に流れる。移り行く景色を眺めながら、恭子は高まる感情を抑えられ
なかった。そう、向かう場所は息子の元。会いたくても会えなかった、触れたくても
触れられなかった、愛しいあの人の所。街の郊外にある鑑別所に到着するまでの所要
時間は約30分。しかし恭子にとっては何時間も何日もかかる思いだった。
ようやく鑑別所に辿り着いた恭子。破裂しそうな程の胸の高鳴り…。緊張のあまり足
が震えてくる。
(もう来るの…あの人はもうすぐそこ…やっと…会える…もう来るの…)
自分をなだめながら待つこと20分。その時が来た…。
開いた扉からこちらに向かって歩いてくる愛する人の姿…。変わっていない。何も変
わっていない…。。。
約一年振りに目にした息子の姿。相変わらず逞しい身体付きに、端正な顔立ち、力強
い目。丸刈りの髪が若干伸び、更に野性味を感じさせる。そんな和志も、門の外で佇
む母の姿を見つけ大いに驚いた。連絡の付かなかった母が何故ここに?今まで和志が
送った手紙も、全て繁治に破棄され、決して恭子に届くことは無かった。しかしそん
なことは知る由も無い和志。まさか恭子が迎えにやって来るとは、想像もしていな
かった彼の足は自然と小走りになり、母の元へと駆け寄っていった。
「和志っっ」
「お袋…」
強く強く抱擁しあう母と息子。和志の広い大きな背中に恭子は腕を廻す。和志もま
た、ほっそりとした恭子の腰周りを抱き寄せた。母は大きな身体の中にすっぽりと埋
まり、全身で息子を感じる。息子も自分の腕に抱いた母の温もりと気高い香りを全身
に感じた。こうして完璧に二人の時間は止まった。数分間きつく抱きしめあい、久々
の再会の喜びを全身で感じた。
顔を上げた恭子の頬には一筋の涙が。
「ああっ…会いたかった…ずっと会いたかったの…会いたかったの…」
胸が一杯になり言葉が出てこない恭子は、ただただそう呟いた。そんな母を愛らしく
思い、息子は更に強く抱きしめた。
和志と恭子は二人、タクシーの後部座席に揺られ終始無言だった。が、その手を強く
絡ませあい離そうとしなかった。もう二度と離れ離れにはなりたくない…と、無言の
意思表示。恭子の頭が和志の肩にもたげかかる。そっと和志は肩を抱き寄せた。今や
完全に二人の世界に浸っている。そうするうちにタクシーは目的地へ到着した。
目的地。それは東京の市街地を一望できる高級ホテル。恭子はその一室を五日間予約
していた。そこで和志と過ごす、二人だけの時間…。もう邪魔者が立ち入る恐れは一
切無かった。チェックインを済ませ、三十八階の客室へ通される。部屋へ向かう間中
もずっと寄り添い、母と息子ではなく『男と女』としてお互いから離れようとしな
かった。

【第七章 禁断の願望】

客室のドアが開けられ窓の外には素晴らしい景色が広がっていた。そして部屋の中央
には、キングサイズのベッドが一つ。ツインルームではない…。ベッドが『一つ』
…。ベルボーイが手早く荷物を片付け部屋から立ち去る。その瞬間、和志と、恭子は
貪るようにキスを始めた。
「ちゅぅ…ちゅぅうっ…ちゅっ…」
唇と唇が重なりあい、舌と舌が熱く絡まる。唾液に濡れた音が部屋全体に響いた。
「はぁぁ…」
恭子の呼吸が速くなり、かすかに開いた唇の間から熱い吐息が漏れる。そして再び濃
厚なディープキスを繰り返した。徐々に和志の股間も熱を帯びて疼き始めてきた。二
人共かつて経験したことの無い官能的なキス。その悦びにお互いの情熱が高まって
いった。
「ねぇ、待って…」
恭子が口を開きキスを遮った。
「聞いてほしいことがあるの…」
「なんだ?聞いてほしいことって?…」
「私…、あの…。…私、あなたの妻になりたいの…。妻としてずっと側に居させて欲
しいの…ずっとあなたの側に…。」
恭子が固めた大きな決意。それは、一生息子『和志』の妻として生きていく、という
事。顔を赤らめながら、たどたどしく続ける恭子。
「あの人とは離婚するから…。私…あなたじゃなきゃ駄目なの…。ずっとあなたと居
たい…」
「お袋…」
和志が話し終わらないうちに、恭子は唇を遮った。
「ううん…違う…私はもう妻なの…。母じゃないの…。名前で呼んで…。ねぇ、あな
た、いいでしょ?」
甘えた声で注意を促した。息子は母を『恭子』と呼び捨てにし、母は息子を『あな
た』と呼ぶ。二人にとって、これは夫婦に近づく為の大切な一歩なのだ。
しかし、この決意ままだほんの一部に過ぎなかった。恭子の胸中には、もっと大きな
決意があったのだ。

【第八章 肉欲と愛欲の宴】

唾液を絡ませながら続けるディープキス。そして和志の唇が恭子の首筋、鎖骨へと下
がっていく。両手は豊満な乳房を力いっぱい揉みしだいていた。そしてその手はいつ
しか滑らかなヒップへとすべり降り、肉欲的な熟れた身体を撫で回していた。
一年振りに味わう女の肉体。それですらとてつもない興奮だったが、今和志が目の前
に愛撫を繰り広げているのは、実の母親…。信じられない程の欲望が全身を駆け巡
る。
「ぅうぅっ…んっ…はぁっ…」
完全に愛欲の炎が揺らいだ恭子は、そんな和志の股間に下半身を押し付けて応えた。
そしてジーンズの上から既に硬く張り詰めた股間を摩り回した。いちいちボタンを外
す事など考えられない。和志はブラウスのボタンを引きちぎって恭子を脱がす。弾け
飛ぶボタンと共にぷるんと大きく弾む豊乳。そしてすぐさまスカートのサイドジッ
パーを下げ下着だけの姿にさせた。
「ああ…すげぇ綺麗だ…」
真っ白な肌は朝日の中できめ細かく輝き、さらに恭子の美しさを倍増させる。すらり
と伸びた細い腕と長い脚。そして、食み出さんばかりの乳房と申し訳程度に股間を隠
すその下着に、「はっ」とさせられる和志。それは、家の屋上で禁断の果実をかじろ
うとしたあの時、恭子が身に付けていた下着だったのだ。素材はシースルーで、乳首
とワレメをどうにか隠すのがやっとの小さな花柄の刺繍。横紐を結ぶ、殆ど紐の様な
パンティ。エロティックな恭子の肢体を眺め、和志は興奮で身を震わせた。その格好
で和志に近づきTシャツを脱がし、ベルトに手を掛けジーンズを下げる恭子。ビキニ
一枚だけの姿の逞しい肉体をみせつけた。
「はぁ…スゴイ…」
ビキニの股間はペニスの形をくっきりと浮かび上がらせている。そんな卑猥な光景
に、恭子の秘部から止めどなく愛液が溢れ続けた。もつれ合うようにしてベッドに倒
れこむ二人。あの日あの時出来なかった続きを、今ようやくこうして再開させたの
だ。
和志がブラジャーのホックを外す。すると見事なサイズのバストが目の前で弾んだ。
ツンと上を向き、乳首は愛らしいピンク。既に硬く窄まっている。豊かな谷間に顔を
よせ、舌でなぞる。そしてその尖らせた舌先が乳首の周辺を走ると、身体を震わせて
敏感に反応する恭子。たまらず、その乳首に唇をかぶせ、丹念に愛撫をしてやった。
力強く、しかし優しく吸い付くと、更に乳首は硬く勃起した。
「はぁぁ…はあぁぁぁ…」
乳首からの甘い刺激が、恭子の肉体を痺れさせた。
二人は69の体勢になり、お互いの股間に顔を近づけた。和志の目の前には愛液が染
み込み始めたイヤらしいクロッチが広がる。そこへ指一本伸ばし、筋に沿ってなぞり
始めた。ぬるっとした感触を指先に感じる。ピクンと恭子の肉体が跳ねた。秘部はど
うにか隠れているものの、紐だけではアナルの中心の以外までは隠せなかった。濃い
ピンクの皺が露になっている。そこにも指を伸ばす和志。更にピクンと強く反応す
る。目の前に広がる真っ白なヒップに、両指先をさわさわと這わせ始めた。
「ああぁぁっっんっ!!はぁぁぁぁっ!!」
あまりの快感からか、恭子のヒップが鳥肌状態になる。そうして充分じらした後、終
に横紐を解きにかかった。はらりと落ちる極小のパンティ。目の前には素晴らしくも
あり、ともて淫乱な光景が広がっていた。
恭子の秘部は驚くほどに美しかった。陰毛は限りなく薄い。愛液に滴り、ヒクヒクと
呼吸するかの様に蠢いていた。そしてねっとりと輝くその秘部の奥から、どんどん愛
液が滴り流れる。そしてその上には硬くすぼまったアナルが。排泄口とはとても思え
ない、むしゃぶりつきたくなるような美部だった。ワレメの動きにあわせてこちら
も、きゅぅぅっ、きゅぅぅっと収縮する。両手で尻の谷間を思い切り広げ、まじまじ
と母の淫部を眺める和志。
「いやぁぁぁっんっっ!そんなに見ないでぇぇっっ!」
全てを曝け出してしまい、しかも息子に見られている恭子は、恥ずかしさのあまり悲
鳴を上げた。しかし和志はお構いなく、両指で花弁をぴちゃぴちゃと弄り始めた。そ
して太い指二本をワレメ奥深くへとうずめていく。充分すぎるほど濡れていたので、
どんどん中まで飲み込んでいった。
「はぁぁぁんっ!」
背を仰け反らせ、歓喜の快感に酔いしれる恭子。更に和志は中を捏ね繰りまわし始め
た。悲鳴にも近い悶え声を上げながら、息子の顔面に淫汁を撒き散らす母。息子の愛
撫に、我を忘れて声を上げ続けた。
糸を引いて垂れてくるほど滴る愛液。和志はそのワレメに唇を這わせ、舌を使って啜
り始めた。
『じゅるじゅる…じゅるる…じゅるっじゅるぅぅぅ…』
鼻水を啜るような音が部屋一杯にこだまする。
「恭子…お前の汁、すげぇ旨いぞ…」
「いやぁんっ…そんな…恥ずかしいのぉ…」
和志は力強く舌を動かし続け、果てにはワレメをこじ開けるようにして更なる進入を
続ける。
「はぁっっ…はぁぁっ…イっちゃうっっ!…イっちゃうっ…!あああっっ!!イ
クぅぅぅんっ!!…」
あっけなく舌技のみでエクスタシーに達してしまった恭子は、ガクガクと脚を震わせ
ながら必死に身体を支えようとしていた。ぬらぬらとうごめき続けるワレメを眺めな
がら、続いてアナルにまで舌を運ぶ和志。
「そんなぁ、ヤメテェェ…そんなトコだめぇっっ…」
「ホントに止めちゃっていいの?凄いエッチな動きしてるよ、ココ…」
そう辱めの言葉を掛けながら、『ココ』を丹念に嘗め尽くした。『ココ』とはもちろ
んアナルの中心スポット。
『ちゅぱっ…ちゅぱ…ぢぅゅゅぱっ…ちゅるちゅる…』
「ううっっんっっ!!あああっ…スゴイ…気持ちいいぃぃのぉぉっ!…変な…感じっ
…はぁぁあああぅっっ…!!そんなにしたらぁ…おかしくなっちゃうぅぅんっっ
…!!」
初めて味わう未知なる快感に、身を仰け反らせて悶える恭子。膣からだけでなく、ア
ナルからも淫らな汁を漏らしていた。いつまでも恥ずかしい収縮を続ける菊門であ
る。
美しいヒップをわなわなと震わせながら、恥ずかしさと快感で二度目の絶頂に達した
恭子も、ようやく息子のビキニのサイドに手を掛け下げ始めた。すると、バァッンと
勢い良く跳ね上がる和志のペニス。その陰茎は長く太く、そして黒光りしている。そ
の先の亀頭も赤黒い輝きを放ち、先走りの雫を浮かべていた。
「すごい…」
あまりの迫力あるペニスに言葉を失う恭子。夫だった繁治のモノとは到底比べ物にな
らない程のサイズだった。血管を浮かべるその逞しい幹に、自ずと引き寄せられ唇を
被せる。
『ちゅぽっ…ちゅぽっ…ぐちゅぽっ…じゅぽっ…ちゅぽちゅぽ…』
目一杯唇を窄めて肉棒を扱き咥える。唾液にまみれ、ぬらぬらとイヤらしく光を照ら
す陰茎は、さらに大きさを増した。
「ぉあああっ…あああぅっ…」
『じゅぽじゅぽじゅぽ…じゅぅぅぅぽっ…じゅゅゅっぅぽっ…』
その締め付けあげるような恭子のフェラチオに、思わず和志も声を上げた。素晴らし
すぎるテクニック。裏筋、カリ首の周りまでねっとりと舌が動き回る。あの母が、こ
んなにも音を立てながら淫乱に息子のペニスを咥え込むなんて…。そう思うと激しく
陰茎が脈打った。恭子は更に喉深くまで押し込んだ。美味しくて美味しくて堪らない
…、といった表情を浮かべながら。暖かい恭子の口の中。思わず発射させてしまいそ
うになるが、こらえて再び秘部へ唇を近づけた。
「んんんっぅ…んっんんっ…んんんんんんんっっっっ!!!」
力を込めて丹念にワレメを弄りあげると、声にならない恭子の喘ぎ声が荒いだ。ペニ
スをしゃぶっているので、声を上げたくても上げられないのだ。続いて、皮を捲ると
ぷりっとしたクリトリスが顔を出す。指先で突付き、擦り、唇でいじらしく摘んでや
ると、更に背を反らせて悶えた。
「イクイクっっっ!!あなたぁぁっ…!イっちゃうのぉぉぉんっっ!!…」

【第九章 背徳の極致】

お互い69を充分すぎるほど楽しんだ後、いよいよ来るべき瞬間が来た。初めて二人
が結合する瞬間…。仰向けに寝転がった恭子の足首を掴み、身体を思い切り二つ折り
に畳んだ。自然と和志の方へ向けられるワレメ…。濡れきらめく秘部がまるで息子の
肉棒を誘っているかの様…。和志はペニスを手で支え、狙いを定めると亀頭をねっと
りとした膣口にあてがった。そのときだ。
「待って…。お願い…があるの…。」
「お願い…?」
「…そう、お願い…。…欲しいの…、赤ちゃん…」
「っっ!!!」
「…赤ちゃん欲しいのっ…。あなたと…私の…赤ちゃん…。お願い…。」
恭子の一番大きな決意、それは新しい夫となった和志の子を授かること…。一番愛す
る人の子を産みたいという願いは、女性誰もが持つものだ。しかし、彼らは血の繋
がった「母と息子」…。しかし、恭子にとっては『夫と妻』としての意識のほうが遥
かに上回っていた。確かに、恭子自身も悩んだ。迷った。道徳の道から大きく外れた
事だとは充二分に理解していた。
(和志は…息子…。でも、今はもう『夫』…。私の夫なの…夫の子なんだから…絶対
間違ってない…。産んでも…許されるの…大丈夫なの…。)
そんな恭子の言葉を聞いた和志は唖然とした…。しかし、自分の子供をねだる目の前
の妻、恭子に、とてつもない興奮を覚えた。
「ああ…任せろ…」
そう静かに呟くと、再び亀頭を膣口にあてがった。
『ずぶずぶずぶずぶっっ!!!』
一瞬の躊躇など無かった。今まで一番壮絶な挿入の瞬間…。
愛液を飛び散らせながら、。一気に恭子の奥深くまで肉棒を突き刺した。
「くぅぅぅぅっぅっっっんんんっ!!!」
「ぅおおおおっっ!!!」
こうして和志と恭子はようやく一つになったのだ。
狂ったように胎内に激しく打ち込まれる巨大な塊。恭子は全身に電流が流れるような
感覚を味わい、悶え喘いだ。ベッドシーツを握り締め、全身で快感を受け止める。和
志も、恭子の狭い膣道をこじ開けて送り込む、相当な規模の快感を感じた。ぬちゃぬ
ちゃと淫音を立てて、濡れぼそった結合部が熱く熱を帯びた。恭子の放つ溢れ返る愛
液が、泡立って白濁し、陰茎の根元に絡まりつく。
「はぁぁんっ、はぁぁぁんっ、あなたっ、あなたっ、イイっ!!はぁぁんっ…!」
一心不乱に交歓の叫びを上げる恭子。そんな姿を見て、さらに和志も腰の動きを早め
た。
終に超えてしまった禁断の一線…。この濃厚な近親相姦というタブーに身を捩じらせ
悶える恭子。そこには欲情の炎が勢い良く燃え立っている。
和志は体位を変え、再び恭子を攻めにはいる。今まで恭子の胎内に埋め込まれていた
ペニスを引き抜くと、愛液に塗れながらビクンビクンと激しく脈打っていた。背を向
けた騎乗位で、彼女の後姿を眺めながら犯し続ける。下から目一杯突き上げる度、F
カップの豊乳が激しく上下に揺れ動いた。そんな柔肉を力任せに揉み、乳首を摘む。

「スゴイっ…スゴイぃぃっ!…もっと…もっとぉぉん…」
半ば半狂乱になりながら、狂ったように叫ぶ恭子。
和志は、襲い掛かる快感に髪を振り乱しながら喘ぐ彼女との結合部を眺めた。淫汁ま
みれたソコは、イヤらしい唇に太く長い陰茎が隙間なく咥え込まれた、想像を絶する
痴図だ。
「膝付けろ…」
和志は四つん這いになるよう催促する。高々と腰が突き上げられ、恭子の秘穴がパッ
クリとイヤらしく穴を開けた姿が丸見えになった。両人差し指で小陰唇を広げると、
膣口が中まで覗いた。そして、亀頭を静かに熱く滴るワレメへと近づける。しかし焦
らそうとする和志は、一切動こうとしない。すると自ら腰を押し付け、肉棒を自らの
中へと誘い込む恭子だった。
「はぁぁ…凄い…いいの…あなた…凄いっっ…はぁぁっ…」
「あああ…あああぁぁ…恭子、凄いぞっ…」
淫らな母が、もっと痴態を曝している…。そんな姿を上から見下ろしながら、猛然と
ピストンを繰り返した。
「だめぇっっ…!!スゴイっ…!!イっちゃう!!イっちゃうっ!!あなたっ!」
駄目といいながらも、ぎゅうぎゅうと陰茎を締め付けてくる恭子の膣肉。無数の膣襞
がみっちりとくわえ込み、決してペニスを離そうとしない。貞淑な母だった面影は、
とうに消えうせている。もはや今や、息子の肉棒を追い求める雌犬。そんな淫らな恭
子の姿が、さらに和志の闘志を掻き立てた。
「パンパンパンパンパン…パンパンパンパン…」
腰と腰がぶつかり合う、乾いた音が昼前の気だるい部屋一杯に響き渡った。
「どうだ?恭子…イイか…?お前の中もスゴイぞ…。」
「あなた…スゴイ…スゴイのぉ…あなたぁ…。」
今にも泣き出しそうなか細い声で、答える恭子。ピストンにあわせて激しく揺れる豊
乳を目一杯揉み、硬く窄まる乳首を指先で弾きながら、和志も妻の耳元で囁き続け
た。
十数分、バックスタイルで貫かれた後、恭子の身体は繋がったまま反転させられた。
そして再び正上位で貫かれるのだ。和志の全体重が広げた足に圧し掛かる。しかし、
愛する夫と見つめあいながら結合できるこの体位を嬉しく思った。
今までにも増して、物凄いスピードと力で進入してくる肉棒。恭子は腕を和志の首に
巻きつけ、唇と唇を夢中で重ね合わせた。
「はぁぁっっ…あなたぁぁ…愛してる…愛してる…はぁあああぅんっ!!」
「…ああ…俺もだ…愛してるぞ…恭子…。」
汗ばんだ肌と肌が密着しあう…。和志の唾液が恭子の口の中に注がれた。痺れるほど
甘美な味だった。そして、禁断のエクスタシーの大波が二人に襲い掛かってくる。
「はぁぁっ…はぁぁっ…あなたっ…ダメぇぇ…もうイっちゃうのぉ…スゴイぃぃぃ…
イっちゃう…あなたっ!!あなたっ!!」
「ぁぁぉぉっ…恭子…ぁぁあああっ…すげぇぞ…俺も…もうイクぞ…」
「あああっんっ…あなた…きて…いっぱい…きて…お願いっ…赤ちゃん産みたい
のぉぉんっ…お願いっっ…あなたと私の…赤ちゃんっっ…はぁぁぁうんっっ!!」
「ああっ…そうだな…ちゃんと産むんだぞ…。…おおおぉぉぉっ!!もうダメだぁぁ
…イクぞっっっ!!出すぞっ…!!イクぞっっっ!!イイかっっ!?イク
ぞぅっっ!!ああああああっっっ!!!」
「あなたっ、あなたっ、あなたっ、あなたっ、全部…欲しいのぉぉっ…!!はあああ
あぁっぁぁぁっぁぁっっっっっ!!」
遂に、和志はとてつもなく濃厚な子種液を、子宮に放出したのだ。深く深く、奥深く
まで届くように。まだ硬さを保つ愛する人のモノを胎内に感じ、至福の一瞬に悶絶し
た恭子であった。
爆発した肉棒を、ゆっくりと恭子の膣から引き抜く。すると、愛し合った精液と愛液
が絡まりあって、どろりと溢れ返り尻の谷間を伝ってシーツに垂れ流れていった。ぴ
くぴくと痙攣する陰唇から、いつまでも…。
こうしてとうとう和志と恭子は、越えてはならない場所まで登りつめてしまった。
自分の中に広がってゆく夫の体液を確かに感じた恭子。非道な事をしているかどうか
なんてことは、どうでもよくなっていた。ただ愛する人の、この人の子を授かりた
い。ただそれ一心だった。ホテルの一室という密空間の中で、何度も何度も行われた
子作り…。それも『母と息子』間での、禁断の子作り…。もう、この場所は『悦楽の
園』としか表現の仕様のない、二人にとっては特別な意味を持つ一時だった。

【第十章 世間に背いた幸福】

人生とは無常である。ある事件がきっかけで家庭は崩壊した。しかしこの事件のおか
けで、二人は一生を共にすることを勝ち取ったのだ。
ホテルをチェックアウトするまでの間、二人は何度も何度も交わりあった。東京のネ
オン輝く窓辺で…。ただ一つの目的を達成させる為。何度も何度も交わりあった。今
まで二人を引き裂いていた距離が、今こうして二人を熱くさせた…。
数年後、東京から遥か離れた場所。そこには和志と恭子の姿がある。そして二人の間
には今年三歳になる男の子が。終に二人は念願の生活を手に入れたのである。当然、
ご近所からは仲睦まじい夫婦として写っているが…。恭子は出来れば二人目を授かり
たいと願う日々を送っている。しかし、やはり近親出産というリスクを考えると簡単
には踏み込めない。ありがたくも、息子は健全にすくすくと成長をしていってくれて
いる。もうすこしこのまま、愛する夫、そして二人の愛の結晶と共に充実した生活を
送っていこう、と心に決めた…。また和志も同じくして恭子を見つめたのであった
…。

[2007/05/06]

小説(転載)  兄との初体験

近親相姦小説
12 /02 2018
タイトル:兄との初体験

 小さな頃から兄と私は、まるで恋人同士のような兄妹でした。少し世の中のことがわかる
年頃になってからは、人前では普通の兄妹のように振る舞っていましたが、二人きりに
なると兄と私は両思いの男の子と女の子そのものでした。
 だから、あの夕暮れ時に起こったことも、私たち兄妹にとってはごく自然な成り行きでした。
***
 私が中学2年になってしばらくたったあの日、私は学校からの帰りに、何となく遠回り
したくなって、いつもの帰り道とは違う、川沿いの遊歩道を通って帰ることにしました。
夕暮れ時でした。
すると偶然にも、遊歩道沿いのベンチに兄が座っていて、夕暮れ時の光景を眺めていました。
私は何も言わずに兄の傍らに腰掛けました。私に気付いた兄も無言のままでした。あたりに
他の人がいないことに気付いていた私は、そっと兄にもたれかかりました。兄のほうも
そっと私の肩を抱き寄せました。
「お兄ちゃん……私のこと、好き?」
私は兄に尋ねました。
「ああ、史恵(私)は俺の一番大事な人だ」
「お兄ちゃん……私と……恋人として付き合ってくれる?」
「俺も前から……史恵に俺の恋人になってほしいと思ってた……最高に幸せだよ……」
 そして、私たちは初めてのキスをしました。もっとも、幼い頃に幾度となく交わした
「ちゅう」を別にしての「初めて」だったのですが。
 夕暮れが夜に変わりつつあるまさにその時、幼い頃から大好きだった兄と交わした
長い長いキス。「世界は私たち2人のためにある」という陳腐な台詞があの時には実感として
感じられました。
***
 お互いのことが好きで好きでたまらない男の子と女の子が一つ屋根の下で暮らしていて、
しかもいわゆるキャリアウーマンの母は仕事が多忙で不在がちでしたから、兄と私が
肉体関係を持つようになるのは時間の問題でした。
 ある週末の午後。母が出張から帰ってくるのはその日の夜になってからの予定でした。
言い忘れていましたが、私たち兄妹の父は、私たちがまだ幼い頃に母と離婚しているので、
私の家庭は母と兄と私の3人家族なのです。
 昼食を済ませた私と兄は、テレビでも見ようかとソファに並んで座りましたが、テレビを
つけるのもどことなくおっくうになり、ただ何となく座っていました。
 そのうちに私が兄に身体をあずけ、兄は私の髪やおでこにキスし始めました。私は兄の
唇にキスを返し、兄が私の口の中に舌を差し入れてDキスになり、やがて、兄は私の
パジャマのボタンを外し、私のおっぱいを愛撫し始めました。
 兄と2人でいるとき、私はパジャマの下にブラをつけないことにしていました。そうすると、
乳首がパジャマの布に触れて、微妙な快感がありますし、兄のそばにノーブラでいると
ドキドキするからです。
 だから、兄の手は、じかに私のおっぱいに触れたわけなのです。
 私がノーブラであることを知らなかった兄は、少し驚いたようでした。
 キスと胸への愛撫で、私のおまんこはもうびしょびしょに濡れていました。股間が
ぬるぬるして少し変な気持ちになったので、私はパジャマのズボンとパンティを脱ぎ捨てて
しまいました。すると兄はソファを下りて私の前にヒザをつき、私の脚を大きく広げて
私の恥ずかしい部分を観察し始めました。
「お兄ちゃん……恥ずかしい……そんなとこジロジロ見ないでよ」
「史恵のおまんこ、本当にキレイな色してるな。こんなにあふれさせるなんて、史恵は
本当にスケベだな」
「イヤッ」
 お兄ちゃんは私のおまんこに舌を這わせ始めました。わざとピチャピチャといやらしい
音をたてて、私の蜜をなめたり、舌でおまんこ全体に塗り広げたりしています。それなのに、
わざとクリトリスには舌があまり触れないようにして、私をじらしています。
「史恵のラブジュース、いくらでも出てくるんだな。本当においしいよ」
「お兄ちゃんのばか! 意地悪! 可愛い妹を早くいかせて!」
私はがまんできなくなって、自分でクリトリスのあるあたりを兄に押し付けました。
兄の舌がクリトリスに触れると、私は何度も何度も連続で達してしまいました。
 私がエクスタシーから醒めて我に還ったとき、兄はパジャマのズボンとパンツを
ひざ下までずり下げた格好でソファに座っていました。今度は私のほうが、兄の前
でヒザをつき、兄の股間を直視する態勢になりました。
 想像していたものよりずっと大きなおちんちんが目の前にそそり立っていました。
先端からは、何か透明なものが出てきています。
 私がおちんちんの根元の指で支えて、先っぽに軽くキスをすると、兄はこらえきれずに
腰を動かして、私の口の中におちんちんを押し込んできました。私は先のほうをしゃぶって
あげました。おちんちんはすぐに口の中でふくらんだかと思うと多量の精液を出してきました。
お兄ちゃんがものすごく気持ち良くなった様子で激しく腰を動かしてきたので、結構
苦しかったんだけど、私はお兄ちゃんの精液を全部飲んであげました。
 私は口をすすぎ(このあとも何回もキスしたかったので)、ソファで兄とともに
身体を寄せあって、甘いひとときを過ごしました。兄と私はいつしか浅い、幸せに満ちた
眠りの世界に入っていました。
***
 なにか中身は思い出せないんだけど素敵な夢を見ていたという感じとともに、私は
目覚めました。兄はまだ眠っていました。兄の寝顔を見ていると、なんだか(かわいいな)
という気持ちが起きました。
 私は兄の寝顔にそっとキスをしました。私は気付かなかったのですが、何度かキスを
しているうちに兄は目を覚ましていて、それでいて眠ったままのふりをしていたようです。
 突然、兄は私をソファに押し倒し、強く抱き締めてきました。
「お兄ちゃん、やめてよ!」
 私が拒むと、兄の表情が曇りました。どうやら私の態度を誤解したようです。
 「ここじゃいや……お兄ちゃんのベッドでしたいの」
 兄はほっとした様子でした。
 兄の部屋にはいると、私たちは服を脱ぎ捨て、立ったまま裸で抱き合い、お互いの肌の
温もりを感じながら、何度もキスを交わしました。「小鳥のキス」というのでしょうか、
お互いの唇に触れるか触れないかというキスを繰り返しているうちに、気持ちの高まりを
抑えられなくなった私と兄はもつれ合うようにしてベッドに倒れ込みました。
 兄は私の上におおいかぶさり、私の顔にキスの雨を降らせました。兄は私の首筋や
肩にもキスをし、そしてたっぷりと時間をかけて両方のおっぱいを可愛がってくれました。
乳首を舌の先っぽでなめたり、唇でチューチューと音をたてて吸ったり、おっぱいに
キスマークをつけたり。
 キスやおっぱいへの刺激で何度も小さな頂きに達してしまったわたしは、兄と結ばれたい
という欲求を抑えきれなくなりました。
「お兄ちゃん、もうがまんできない! 入れて……史恵のおまんこにおにいちゃんの
おちんちんを入れて!」
自分の口から出た自分自身の名前やエッチな単語が、一層私を興奮させました。
 お兄ちゃんのおちんおちんが私のおまんこに触れてきました。私はすっかりかたく
なっていたそれを指でつまみ、膣の入り口に導きました。
 兄はおちんちんを私のなかに押し入れ、私も腰を動かしてそれを身体の奥に受け入れようと
しました。私のおまんこは既にびしょびしょに濡れていたので、途中までは難なく入って
いきました。
 だけど私は初めてだったので、それ以上奥にはなかなか入りませんでした。完全に
結ばれることを望んでいた兄と私は、何度も腰を動かしてみました。
 何度目だったか、私が思いきって腰を押し付けてみたら、兄のおちんちんが一気に私の
一番奥まで入ってきました。私は脚を兄の身体に絡ませ、出来る限り深く結び付こうと
しました。
 正直言うととても痛かったです。でも、兄と完全に結ばれた歓びに比べれば、そんなことは
何でもありませんでした。
 私が痛がっていることに気付いていたのか、兄は私と結ばれた状態のままじっとしていました。
 でもがまんできなくなったのか、兄は腰を動かし始めました。だけどそのときには
私の痛みもかなりやわらいでいました。兄と結ばれてじっとしていた間に更に蜜が出て
きたのか、兄のおちんちんはスムーズに私のおまんこの中で前後に動いています。
私は本能的におまんこの上のほうを兄のおちんちんの根元に押し付けました。
 段々と私は、エクスタシーへと向かい始めていました。クリトリスのあたりから快感が
広がっていき、私の全身を包み込んでいきました。痛みさえもが、快感と一体化していました。
 うまく言葉に出来ないのですが、身体全体がものすごく明るい光になって、どんどん
ふくらみながらはるか上のほうへ昇っていく感じといえるかも知れません。
「もうがまん出来ないよ、史恵、俺、いっちゃうよ」
 兄の声が、まるでどこか遠くからのもののような感じで聞こえてきました。
「お兄ちゃん、もう少しだけがまんして、史恵をいかせて!」
私は頂きを目指して、激しく腰を動かしました。兄のほうも同じように動きを激しく
しているようです。
「お兄ちゃん、すごい、史恵、いっちゃう! すごい、いっちゃう、いくぅー!」
 光のかたまりになった私がふくらみきってバクハツして、粉々になって飛び散って
しまったような……そんな激しいオーガズムに私は達してしまいました。そのときに私が
体感したことを、言葉ではとても表現し切れないのですが。
 兄も果ててしまい、荒い息をしながら、私の上でぐったりしていました。
 やがて、兄は私の上から離れ、2人は寄り添ってセックスの余韻に浸っていました。
私は、春の優しい風にそっと包まれているような幸せな気分でした。私たちはそのまま、
浅い、幸せな眠りに入っていました。
***
「信(まこと:兄)、史恵」
母が私たちを呼ぶ声が耳に入り、私たちは甘いひとときから
引き戻されました。
 (やばい! なんでなの!?)
私たちはパニックに陥りそうになりました。今はまだ夕方で、窓の外は暗くなってはいません。
 母は夜遅くまで帰ってこないはずでしたので、私たちは部屋のドアを閉めずに
愛し合っていたのです。
 ですから、母は兄と私がベッドを共にしているのを目にしているはずです。それどころか、
帰宅した時間によったら私たちのセックスの現場を目撃したかも知れないのです。
(どうしよう!……どうしたらいいの!?)
必死で考えましたが、いい知恵は思い浮かびませんでした。
「信、史恵」
母がまた私たちを呼びました。もう成り行きに任せるしかないようでした。
「すぐ行くから、ちょっと待ってて」
私は母に答え、そして私と兄は大急ぎでパジャマを身につけ、母の待つリビングへと
向かいました。
「母さん、随分早かったんだね」
兄が母に声をかけました。
「思っていたより仕事が早く済んだの。帰りに駅前でケーキ買ってきたから、食べるでしょ」
母の態度に、いつもと特に変わったところはありませんでした。
***
 私たちはケーキを食べ終ってくつろいでいました。そうしているうちに、何の前ぶれもなく、
母が私たちに切り出しました。
「あなたたち、ちゃんと避妊してるの?」
「えっ?」。私は聞き返しました。「それ、一体、何のこと!? 私、まだ、そんな……」
「別にごまかさなくていいのよ。ママね、あなたたちのこと怒っているわけではないの。
信と史恵が愛し合っているのは、とっても素晴らしいことよ」
 母の言葉は、とても想像できなかったものでした。どう反応したらいいのか解らずに、
私と兄はお互いの顔を見合わせました。
「実はね、ママも信一さんと愛し合っているの……」
「信一さんって、信一伯父さんのこと?」私は母に尋ねました。信一伯父さんは母の兄で、
もう40代後半になっていましたが、14歳の私からみてもとても素敵な男性なのです。
「そうよ。だからママね、あなたたちの気持ちは痛いほどよく分かるの。だけど信と史恵も
世間的には兄妹なんだし、しかもまだ中学生なんだから、赤ちゃんができてしまわないように
特別気を付けなきゃいけないということは分かっているでしょ。だから訊くんだけど、
ちゃんと避妊してるの?」
「私、今日は安全日のはずなんだけど……」
「あのね、史恵くらいの歳の女の子はまだ生理が不安定だから、安全日といってもあまり
あてにはならないの。信、これから史恵とセックスするときはちゃんとコンドーム使わないと
だめよ。もちろん、コンドームはママが用意してあげるから。だから、ママがコンドームを
買ってくるまでは、セックスは我慢してね。わかった?」
「わかった……」いくぶん赤面して声を小さくしながらも、私と兄ははっきりと答えました。
 翌日の午前中に、母は買い物に出かけ、帰ってくると私と兄にコンドームを手渡しました。
私と兄はすぐに兄の部屋に入って愛し合いました。その日は結局、昼から深夜にかけて、
3回もしてしまいました。
 私を心から愛してくれている兄と、私たちの良き理解者である母に囲まれ、今、私は
本当に幸せです。ただ、普通の恋人同士のように地元でデートしたり、友達に彼氏自慢したり
することが出来ないのが少し悲しいです。
 大人になったら、兄とともにどこか遠いところ、私たち兄妹を知る人が誰もいないところに
移り住み、一生兄と愛し合いながら生きていくつもりです。出来ることなら、書類上は
兄と赤の他人になって、兄と結婚し、兄の子供を産み育てたいと願っています。
(完)

[2005/06/14]

小説(転載)  紗枝の長い1日(後編)

近親相姦小説
12 /01 2018
題名 紗枝の長い1日(後編)

ホテル。

その独特の香りと雰囲気は紗枝にとって初めてではない。睦言を交し、お互いの肉体
を交し合った。彼は逢うたびに紗枝の体を求め、紗枝は羞恥を捨てて彼の望むがまま
に委ねた。いつも誘われ、従うだけ。性的好奇心だけで安直に生じた彼との交際だっ
たような気もする。判で押したように繰り返される男の誘いに紗枝は飽きていたの
だ。

最初の頃は、誘われるたびに、彼と励む行為を想って頬を赤らめたが、それも過去の
話だ。恋の蜜月というものは長くは続かない。彼をどこか醒めた目で見ている紗枝が
いた。紗枝の女の部分を露骨に貪る彼に、つまらない男の地金を見た思いがした。

彼に抱かれても、どこか満たされない。心底感じる事が出来ない。何かが足りない。
煮え切らないような漠然とした紗枝の心。欲求不満の一言で片付ける事はできない。
心の深部に知らず知らずのうちに溜まった澱(おり)が、徐々に紗枝の理性を侵食
し、胎内を疼かせた。近親相姦という禁断な行為。兄と繋がる自分の体を想い、背徳
感にのたうちながら身を焦し腰をくねらす。卑しい想像が心の深部に楔を打ち込み、
女はそれから逃れようがない。想像だけですら、これほど刺激的なものは他に無いよ
うに感じられた。紗枝の胸が黒い想像にふくれ上がる。


「この部屋にしよ。お兄ちゃ…!」

無人のフロントで紗枝はそう言いかけて慌てて口篭もった。自分達が兄妹だと誰かに
知られるのはまずい。こういう場所では、客の様子を別室からカメラやマイクで監視
しているものだ。只ならぬ関係を秘密にしなければ。否応なく紗枝の鼓動が高まっ
た。

久しぶりに湧き上がる緊張感。彼の時とは違い、自分から誘ったホテル。横に兄が佇
む。その兄に、これから抱かれると思うと、唇が震え、膝が揺れた。それでも慣れた
手つきで部屋を選択し、紗枝が先頭になって兄を導く。どちらも無言だ。柔らかなカ
ーペットが敷かれた通路を歩みだした時、紗枝の細い手が兄の腰に触れた。突然の紗
枝の行動に狼狽する兄。そっと兄に腕を絡ませながら耳元で紗枝が囁く。兄にしか聞
こえないほどの紗枝の呟き。

「お兄ちゃん、ムード出さないと、このホテルの人達から疑われからね。いかにも恋
 人同士って格好しないと駄目だから、こうして腕を繋ぐの。分かった?」

「そ、そうなのか?!。あ、ああ!分かった」

わざと兄の腕を自分の胸に押し付けるような格好で刺激する。その柔かい感触にどぎ
まぎしている兄の顔が微笑ましい。紗枝の企み。胸に当たる彼の腕は、潤滑油の切れ
た機械人形のようにぎこちない。ランプが点滅する扉が見えてきた。紗枝が選んだ部
屋だ。

「私、シャワー使うね!お兄ちゃん。せっかくお金出して入った部屋だから、使わな
 いともったいないし、それに汗かいちゃったから…。テレビでも見ててよ」

屈託の無い笑顔で、

「お兄ちゃんも一緒に入る?」

「!?」

「冗談で~す!覗かないでよね」

「ば、馬鹿!」

兄に軽口を言いながらバスルームに入った紗枝。かすかに「ジャー」と水が流れる音
が部屋に響く。あの音の中で紗枝は一糸まとわぬ姿なのだ。心が騒ぐ。駄目だ、変な
事考えるな!、と言い聞かせる。必死に理性を保っていたが、柔らかな妹の体をつい
想像してしまう。

ベットに腰を下ろして、ふーっと大きな溜息が出た。まだ妹の胸の感触が腕に残って
いる。兄は恥じていた。紗枝を女として見てしまったのだ。紗枝が腕を絡めてきた
時、思わず勃起してしまった。紗枝の胸は柔かかった。とにかく歯を食いしばって、
これ以上大きくならないように耐えた。そんな兄の心を知ったら紗枝は軽蔑するだろ
うと思う。
紗枝の体を見たい、直に触れてみたいが、紗枝には嫌われたくない。
紗枝に女を感じた自分の心を知られたくなかった。

シャワールームから出てきた紗枝の姿を見て驚いた。真っ白な備え付けバスローブを
身に着けていたのだ。唖然とした兄に構わず、思い詰めたような顔で兄に対峙した。

「お兄ちゃん…これが最後の提案なんだけど…その前に…お兄ちゃん…これから私が
 することを黙って見ててね」

紗枝の指が腰に伸び、紐をするりと引いた。はらりと白い花びらが散るかように、肩
からバスローブが滑り落ちた。兄の目の前で一糸まとわぬ姿になって立ちすくむ。

「さ、紗枝っ…」

見てはいけないものを見てしまい、慌てて下を向こうとするが、紗枝の見事な肢体か
ら目が離せない。紗枝は真剣な顔で兄の顔に向かっていたが、その目は欲情で潤んで
いた。

兄の視線が紗枝の肌に刺さり、その部分から熱くなっていくのを感じ、肌が上気して
いく。兄に自分のすべてを晒した興奮で、頭の奥がぐらりとした。今、少しでも触れ
られたら、たちまち絶頂に達してしまう。固まってしまい、妹の裸体を凝視する兄に
向かって応える。声が少し震えていた。

「最後の提案は…お兄ちゃん、私を抱いて。」

「な、なんだって!紗枝、自分が何を言ってるのか…」搾り出すような兄の声を遮っ
て、

「じゃあ、お兄ちゃんも脱いで…見せてよ。早く!」

「お、お前…」

「お兄ちゃんの、あそこを見れば、お兄ちゃんの言うことが本心かどうか分かるか
ら。私の裸を見て興奮してるのなら、我慢しなくたっていいじゃない!ね」

「…」

「お兄ちゃん、私がいいって言ってるのよ。誰にも言わないから。二人だけの秘密に
しようよ。私の体で練習すればいいんだから。恥ずかしがることないよ。兄妹だか
ら」

これまで男の本能を我慢していた兄は、いわば危険な「可燃物」のようなものだ。火
気が近づけばの話だが…。紗枝の肢体は「火気」としては充分すぎる。抑圧している
その分だけ噴出力も強いから見る見るうちに兄は手のつけられない火達磨になる。
何かが頭の中で切れた。

「紗枝…本当にいいのか?」

「うん。いいよ。お兄ちゃんも脱いで」

兄の締まった筋肉が眩しいくらいにキリッとして見えた。あの夢と同じ。いやそれ以
上の興奮に瞳を輝かせて兄の男を見つめる紗枝。肉棒は想像以上に逞しく、上に向か
って突き上げていた。思わず腰がへたりそうになるのを堪える。

「…凄い、お兄ちゃんの体」

全裸で対峙する兄と妹。どちらも興奮しきって小刻みに揺れている。神聖な儀式のよ
うな情景。

「お兄ちゃん、触ってもいい?」

「ああ」上ずった声。

紗枝の細い指が兄の肉棒の先に触れ、大きさを確かめるように、やさしく握る。

「お兄ちゃんも触って」

無言で、紗枝の柔らかな乳房を手のひらに包み込む兄。どう扱ってよいのか分からな
い戸惑いが腕の動きに感じられる。それをやさしく引き寄せ、自分の腰へ誘導した。
兄の指先が紗枝の敏感な部分を探り当てた瞬間、早くも達してしまった。すでに紗枝
の太股は胎内から溢れたもので濡れていた。

蜜壷の中で蠢く兄の指を全身に感じ、立っていられなくなり、ベットに倒れこむ。そ
れを妹の「サイン」と勘違いした兄。

兄は解き放たれた獣のような荒々しさで紗枝を組み敷き本能の赴くまま彼女の胎内に
一気に侵入した。

「ああっ!お兄ちゃん。待って…まだ…」

そんな紗枝の叫びも頭に届かない兄。紗枝の肉襞に強引に割り込み欲望を吐き出そう
と激しく動く。

「紗枝、紗枝!好きだ!」

口走りながら、これまで抑圧されたものを一気に紗枝の中で爆発させようとしてい
た。歯止めがきかない兄。既に理性が切れて、ただ紗枝の体を貪りつくす。

「お兄ちゃん!駄目。ちょっと待って、出さないで!まだ準備が…」

あっという間に登りつめた兄が大きく腰を反らせた瞬間!

「ううっ!」

「ああっ、嫌あぁぁっ!だめっ。」

紗枝の奥底で大きく弾ける感触。自分以外の熱い粘液に満たされた。壊れそうなほど
激しい肉棒の痙攣。(ああっ、熱いっ。 もう…どうなってもいい)

まるで犯されたような紗枝。大量の精液を全て受け入れてしまった胎内はまるで蜜壷
のようにとろけて兄の肉棒を包み込み、最後の一滴まで搾り出そうと締める。

(あぁ。中で出されちゃった…。「待って」って言ったのに。今日は危なかったのに
な~)

心でそう呟くも、これが紗枝の願望だったので兄を無下に責められない。ただ、もっ
と長く感じたかったと思う。だが兄にはそんな余裕など無かった。兄の初めての女は
紗枝になった。
これからも決して忘れる事ができない存在。

「…ごめん、紗枝」

兄が謝る理由が、乱暴なセックスをした事なのか、無防備な膣に射精した事なのか、
自分だけあっという間に達してしまった事なのか、分からなかった。

淫夢とは若干筋書きが違ってはいたが、願望は一応叶えられた。よろよろとベットか
ら上体を起こし兄と離れる。どちらも汗びっしょりでシーツを湿らせていた。息を整
える紗枝。

「お兄ちゃん…気持ちよかった?」

「ああ。最高だったよ」

「あ、そう。それは良かったね。おめでとう初体験できて。でもね、お兄ちゃん!」

「ん?」

「私が妊娠したらどうするつもりなの?」

「!…」

まるで、親に叱られて小さくなってる子供のような兄の姿がかわいい。
顔はうなだれているが。まだ兄の怒張は収まっていない。可笑しくて、口元が微笑
む。

「大丈夫(…たぶん)だから、お兄ちゃん、安心してよ」

いたずらっ子のような表情で優しく耳元で囁く。

「お兄ちゃん、とっても素敵だったよ。本当は私も凄く感じてたの…」

兄とセックスする夢や、兄を想って自慰した事まで目の前で披露する紗枝。お互い全
裸のままで。欲情して唇を貪りあい性器を啜り合った。

紗枝の唇に包まれた肉棒が弾け、たちまち口内を満たす体液。吐き出された白い汚濁
を飲み込む妹、その喉の動きを満足そうに眺める兄。妹の乳房に執着し、掻き分ける
ように肉襞の奥に舌を這わせる。

甘い香りのする果実のような妹の裸体を飽きることなく味わう。
妹は自ら進んで手や唇を動かし、兄の欲望の証を顔に受ける。

本来なら決して出逢うことなど叶わなかった兄の精液が妹の細胞一つ一つに染み込ん
で、妹を変質させていくような錯覚。飽くなき妄想と相手への性欲。

セックスは欲望を遂げれば沈静する。だが、血の繋がった相手同士だと話は違う。
すればするほどのめり込む。お互いの分泌した体液で溺れてしまう。いくらセックス
しても尽きないのだ。ますます昂ぶる兄妹…。

紗枝が考え及ばなかった事だ。近親相姦の罪。
お互いが離れられなくなってしまう魔力。麻薬そのものだ。


紗枝は彼氏と別れ、兄との関係にのめり込んだ。兄もまた紗枝だけの世界になった。
澱んだ沼の中で一生を過ごす魚のように、暗澹とした奈落に沈んでいく二人。

だが、いわゆる我々のような「保菌者」から見れば、この二人は幸せであると心から
思う。

ここに幸あれ。


[終]

[2000/06/08]

小説(転載)  紗枝の長い1日(中編)

近親相姦小説
12 /01 2018
題名 紗枝の長い1日(中編)

「初めて入ったレストランだったけど、美味しかったな」

満足そうに紗枝に告げる。紗枝が「ここにしよう」と入った洒落た店。
兄妹ふたりだけで外食するのも、初めてだった。
詳しくは訊ねなかったが、紗枝はたぶん彼氏とデートの時に来た事が
あるのだろう。いかにもカップルが好みそうな店だった。

既に外は暗い。兄は、紗枝が急に口数が少なくなった理由を考えていた。
特に気に障る事を話したつもりはないのだが…。


「紗枝、今日は楽しかったよ」

「…」

「ん?さっきから元気ないけど疲れたのか?」

ちらりと一瞬、助手席の紗枝の方を見る。
俯いて、もじもじしている妹の表情は、ハンドルを握る兄からは窺う
事が出来なかった。

「…お兄ちゃん」
顔は下に向けたまま、トーンが低い紗枝。かすれた声で口ごもる。

「あの…ね、ずっと考えていたんだけど…」

「うん?」

「お兄ちゃんに、彼女が出来ない理由を考えてたんだけど…」

紗枝はそんな事を真剣に考えていたのか。可愛い妹だ。紗枝の自分を心配
する気持ちは嬉しいと思うのだが、紗枝が自分に言いにくい程の『理由』
が何なのか気になった。

妹と今日1日一緒に過ごし、紗枝から付き合っている彼氏の話を何度も聞
かされたため、自分に彼女がいない寂しさを改めて思い知った。
心の奥に、かすかに彼氏への『嫉妬心』が生まれたのは事実だ。
紗枝のような思いやりのある女性と交際出来れば嬉しい。
今日は紗枝と楽しい休日を過ごし、妹とはいえ、女性と際どい猥談もして
内心胸が躍った。

「それで?」

「やっぱり…女を知らないって…ことかな。女性の前では緊張して無口に
 なったり、怖い顔してると思うよ、お兄ちゃんって」

「うん。だろうな~。俺って女の子に気軽に話せないっていうのか、緊張
 しちゃうんだよな」

「でね、お兄ちゃん…提案があるんだけど」

「提案って?」

「うん。問題は、お兄ちゃんが…その…経験していないってことだと思うの。
 つまり…女の人を…抱いたことがないっていうことかな」

「!」

兄は正直痛いところを突かれた。だが、そんな事は妹に言われなくても自分
自身よく分かっている。焦っている自分の心を妹に見透かされているようで
居心地が悪い。

同僚の彼女を見て羨ましいといつも思う。女が欲しい。抱いてみたい。
紗枝に(あなたは童貞だから駄目なのよ!)と言われたようで、少々ムッと
する。男としてのプライドを爪で引っ掻かれた気がして無造作な口調になる。
車の運転も、心なしか荒くなった。

「紗枝が言いたい事はわかるけど、じゃあどうすればいいんだ?風俗にでも
 行けってのか!」

「お兄ちゃん、怒らないでよ。ちゃんと前向いてて!危ないから」

「…」

「…んで、提案って何だよ!」

「うん…。お兄ちゃんが港に行きたかったのはデートスポットの『下見』が
 したいからって。独りではなかなか足が向かないからって。そう言ったよね」

「ああ」

「凄く勇気のいることなんだけど…これから…ホテル…に…下見に行かない?」

「えっ?!」

「提案ってのは、ふたつあるんだけど、まずホテルに行くこと。もうひとつは
 後で教えるから」

「ホテルって…お前!、兄妹でそんな所に入れる訳ないだろ!」

「いいじゃない、お兄ちゃん。これは下見なんだから」

「いくらなんでも…」

「なんでまずいの?これってお兄ちゃんのためよ。絶対に独りで行けないとこ
 ろだからね。それに、こんな機会って、もう無いと思うけど」

「でも…」

「お兄ちゃんって、たぶん、困ると思うんだけどな~。初めてホテルに入る時
 って。どうやって入るのかも知らないでしょ?そういうこと知ってると行動
 に余裕が出てくるし、女の子も安心すると思うよ」

「…」

「それにお兄ちゃんだって、部屋の中がどうなってるのか知りたいでしょ?」

「…それは、そうだけど…」

「それともお兄ちゃん、私と何かしようとか思ってるの?」

「ば、馬鹿言うなよ!」

「でしょ!部屋の中でテレビでも見て、すぐ帰るだけだけなんだから、いいじゃ
 ない。ね!」

「うん…でも…」

「もう、お兄ちゃん!優柔不断な態度って女に一番嫌われるんだからね!はっ
 きりしてよ」

「ああ…分かったよ。分かりました!行くよ」

「そう!そういう態度がもてる男の第一歩になるんだからね!これも覚えてお
 いてね。洒落たレストランの後は洒落たホテルってのもデートにはつきもの
 なの!」

「あっ、そこの信号右に曲がって!。いい所知ってるから。本当言うと、私も
 一度そのホテルに入ってみたかったの!」


紗枝は反芻する。

巧く事が運んだと思っていた。淫らな願望を叶えるために兄についた嘘。
この提案なら、もし兄が断っても自分のプライドは傷つかない。恥ずかしい思
いをしなくて済む。咄嗟に考えた『ホテルに行く理由』は、自分でもなかなか
良く出来た嘘だと思うが、あながち嘘とは呼べないかもしれない。



実の兄妹がホテルに入るなどという、本来なら絶対に許されない行為を正当化
した紗枝。「テレビを見て帰るだけ」と兄に言ったが、それだけで済むはずが
ない。本当は…兄に抱かれるのが目的なのだ。兄の肉体で感じたいのだ。
紗枝の心は、ブレーキを失った車のように兄への妄想に傾斜していった。


明るいネオンと重厚な造りの真新しいホテルが、フロントガラスの先に見えて
きた。「兄妹」という二文字が、異質な物に変わる分水嶺。

奈落へのスタートラインだった。

[終]

[2000/06/08]

小説(転載)  紗枝の長い1日(前編)

近親相姦小説
12 /01 2018
題名 紗枝の長い1日(前編)

「あぁ…お兄ちゃん」

かすれた、それでいてはっきりとした喘ぎが洩れる。なぜ、そんな事を考えている
のか自分自身でも解らない。
兄を想うと体の芯がじわじわと疼き、奥底から何かが湧き上がる感覚に腰がくねる。

何かがゆっくりと体の中に入ってきた。

「ぁあ、いやぁ」

言葉とは裏腹に溢れ出した粘液が抵抗なく、それを奥へ導く。
膣口を押し広げる熱い肉棒に襞が絡みつき、絞り上げる。
貫く動きが激しくなり、あっという間に絶頂に達した。

「あぁっ、いくっ!」

そう叫んだ瞬間、胎内の肉棒もそれに呼応するかのように大きく脈動し、熱い液体を
勢いよく奥に向かって吐き出す。ドク、ドクッとした痙攣を奥で感じながら、胎内を
精液で満たされる素晴らしい感触にとろける。
いつまでも脈打つ肉棒、太く逞しい兄の…

「あに?」
「兄って…」
「お兄ちゃん?!」

びっくりして紗枝が飛び起きた。汗びっしょりになって、喉がカラカラだった。

「…夢、だったんだ」

ほっと、溜息を漏らし、激しい鼓動を静めるように胸に手を置く。
痛いほど乳首が尖り、ノーブラのシャツを押し上げていた。肌が熱い。
そっと手を伸ばし、下半身を触ると、指にさらっとした体液がまとわりついた。

よりにもよって、兄を受け入れて感じてしまうなんて。
(欲求不満?)
それとも、心の中では、それを望んでるのかしら。
(嘘よ、嫌らしいっ!馬鹿みたい)
すぐに、女として、妹としてのプライドが否定する。
(…でも)
素敵だった兄とのセックス。
(何考えてるんだろ、私)
 
顔が紅潮してくる。
脳の奥に霧がかかり、さっきまでの情景がぼんやりと甦ってきた。
無意識に、胸に置いた指がシャツ越しに乳首を探り、もう片方の指先で下着の中の
敏感な秘所をもてあそぶ。ぬるみきったそこから「くちゅ」と音がした。

美沙が身支度を整えてキッチンに向かったのは、それから小1時間が過ぎた頃だっ
た。







「おはよう!」
わざとらしいような明るさで紗枝が声をかけた。少し口元が歪んでいる。
先程まで目の前の兄を想って自慰をした彼女にとって、内心とても気恥ずかしい瞬間
だった。

「ん。おはよう」そっけない兄の態度にホッとする。

そのまま冷蔵庫に向かい、水の入ったペットボトルを咥え、一気に飲み干した。
喉を潤して落ち着いたのか、ふーっと大きな溜息が洩れる。

「紗枝、今日はえらく朝が遅かったな。もう朝飯済ませたぞ。」
そう言いながら新聞に視線を落としていた兄の目が、ふと紗枝を見た。

「あれ?お前顔が赤いぞ、熱があるんじゃないか!風邪でもひいたのか?」

「へへん。熱なかったら死んでま~す。大丈夫で~す!」
照れ隠しに、わざとはしゃいだ態度で応える。

「ねえ、そう言えば―お母さん、どっか行ったの?」
ふと母が居ないのに気が付いて兄に尋ねた。

「ああ。朝早くから町内会の寄り合いとかで出かけたよ。遅くなるって。お前も
 今日はデートなんだろ?」

「ううん。それは明日に変更。今日は都合悪いって。お兄ちゃんは?」

「俺は久しぶりの土曜日の休みだから、1日中ボーっと過ごすよ」

「ふーん」

(じゃあ…今日は兄とふたりきりなんだ)そう思いながら、
「ねえ、お兄ちゃんって付き合ってる人いないの?会社の人とか…」

「いないよ。じゃなかったらこんな休みの朝から家にいないって!」

「そっかー、ちょっと淋しいね。…でも、何で彼女を作らないの?
 お兄ちゃんってわりとモテそうなタイプだけど」

紗枝の目がちらりと兄の顔を覗き、彼氏には無い逞しさに、どきりと男を感じてし
まう。(あの夢のせいで、意識しちゃう。兄なのに)

「そんなこと知らないって!別に女が嫌いなわけじゃないよ。ただ、そういう縁が
ないっていうのか、なんというか・・彼女が欲しいと思っても相手があることだ
し…」
歯切れが悪い。兄自身も少々焦っているのかもしれない。

「ねえ、お兄ちゃん、今日一緒にドライブでも行かない?どうせ暇でしょ!」

ふと思いついた事が紗枝の口から出た。
自分も兄も暇を持て余していたからなのか、兄が(気の毒)と同情したためか。
あるいは…

「どうせ暇で悪かったな!」乱暴に応えながらも兄の表情は優しかった。
兄自身、自分の事を気にかけてくれる妹が可愛いと思ったに違いない。

「いいけど…どこに行きたいんだ?」

「そうね~あっ、そうそう!駅前のデパートに行きたいんだけど!」

「あれ?さっきドライブって言ってなかったっけ?」

「いいじゃない。ねえ、お兄ちゃん付き合ってよ。ね!」








デパートで買い物を済ませ、夕飯まで時間があったので兄の提案で港までドライブ
することになった。
この辺りでは、カップルの集まるデートスポットとして有名な場所だ。

紗枝も何度か彼氏と来た事がある。

付き合い始めて間が無い頃、海に沈む夕日を見ながら車の中で彼と激しいぺッティ
ングを繰り返した思い出の場所だった。

車を走らせ、流れる風景の中で兄と妹は久しぶりにいろいろな話をした。

紗枝の彼の事、お互いの職場、仕事の事。普段から寡黙なタイプの兄だったが、
今日は1日中紗枝と接した気安さからか、よく口が動く。それでも紗枝の聞き
役に回る方が多かった。

「そういえば、お兄ちゃんと二人きりで車でどっか出かけるなんて初めてじゃない
?」

「ん、そうだな。ついでに助手席に座った女は、お前が初めてだよ」
少し恥ずかしそうに応える。

「ええっ、本当に?」
「よ~し!それなら記念のサインをここに書いちゃおう!」

悪戯っぽい瞳でセカンドバックからペンを取り出す仕草を横目で認め・・・慌てて!!

「うわっつ!こら紗枝、ダッシュボードに落書きするな!まだ新車なんだぞ、
 この車!」ハンドルを握る兄が叫ぶ。

「まったく、子供みたいな事するんだからな、お前は」

「冗談よ、冗談」

そう言いながら彼氏の車にも同じ事をし、ひどく怒られたのを思い出して、
くすくす独り笑いする紗枝。彼とそっくりに慌てた兄の態度が可笑しかった。










「ふー、到着」

目的地の岸壁に着いた。もう既に数十台の車が止まっている。夕暮れの時間を待
っているのだ。
土曜の夕方ともなれば近県からもぞくぞくとカップルが押し寄せ、車で岸壁がい
っぱいになるほどの盛況になるのだが、まだ時間が早いせいもあって、それほど
でもない。

どの車もお決まりの濃いスモークがガラスを覆い、中の様子を窺うことは出来ない。

「あ~疲れた。ちょっと休憩!」
シートを倒して大きく伸びをする兄。

「お兄ちゃん、ごめんなさい。買い物疲れたでしょ?」

「ああ。ちょっとだけ。やっぱり混んだデパートに行くってのは疲れるよ」
「なかなかお前が買う物決まらないし!」

「ごめんね。でもお兄ちゃん、彼女が出来たら買い物付き合うってのは大事なこと
 だからね」

「はいはい」

紗枝は、ふと助手席の窓から隣の車を見た。中のシルエットが2つになったり1つ
になったりしているのを見てドキリとする。紗枝の視線の先を追って、兄もそれを
見て呟く。

「うわー、まだ明るいのにキスしてる!スモーク張ったって見えるよな」

「ほ~んと」

「お前も、ここに来た事あるって言ってたけど、こんな風に覗かれてたんだぞ」

「……」

それには応えず、紗枝の脳裏にふと浮かんだものは…

初めて男性の性器に触れた。
彼氏から「手でして」と囁かれて、ぎこちない手つきで射精に導いた。
懇願されて口も使った。青臭い精液の匂いが車に充満した記憶。

急に無口になった紗枝に、

「ん?どうかした?」

「ううん。なんでもない」

「そんなHなことはしなかったから、覗かれても平気だったの!」
「ちょっと私もシート倒すね、腰が痛くなってきちゃった」

嘘をごまかすように明るい口調で応えるも顔が少し赤い。
彼氏との行為を思い出し、さらに朝の出来事―兄を対象にした自慰。
その兄がシートを倒して横で寝ている。

そういえば、彼のときもこんな格好で…彼を口に含んだのだ。
目を閉じて眠っているような兄の顔を見ながら―そっと兄のジーンズの股間に
視線を移す。紗枝の胸が淫靡なもので膨らんでいく。この中にあの夢の中で見た
逞しいものが…。(馬鹿、何考えてるの?)どこからか、囁くような声がした。






会話が途切れてしまい、二人とも無口になった。兄は眠ったのか?

「…」

「…ねえ、お兄ちゃん」

「ん?」

「お兄ちゃんって…その…したことあるの?」

「何を?」

「その…女の子とセックスしたことある?」

妹の口から『セックス』という言葉が飛び出し、少し驚いたようにパッと目を
開けて彼女へ顔を向ける。

「彼女、いないんだから、したことなんてある訳ないじゃないか!全く恥ずか
 しい事を聞くなよ!」

「ふふん。したことないんだ。」

「どうだっていいだろ!そんなこと」
怒ったような口調で応える。紗枝はかまわず、

「じゃあ、さ。お兄ちゃんって、独りでしてるんだよね」

「…」

「どんなこと想いながらするの?ねえ」大胆な問い。

「ば、馬鹿!そんなこと妹のお前に言えるわけないだろう!」
突然に際どい質問をされて、たじろぐ。

「いいじゃない!ねえ、教えてよ、お兄ちゃん。兄妹なんだから恥ずかしがる事
 ないじゃない!」

「そんなことはお前の彼氏に聞けよな!」

普通なら彼氏にも聞けないような事を兄に訊ねる紗枝。
兄妹だから、より一層そういう類の話は出来ないのが当然なのだが、今は不思議に
そんな考えは浮かんでこない。

兄にしてみれば、妹が、ただ単に興味本位と悪戯心で自分をからかっていると思っ
たに違いない。だが、女性経験が乏しい兄には、紗枝の瞳の奥が淫靡な光で濡れてい
る事など気付くはずもない。

「普通だよ!普通」

「何よ、普通って?」

「みんなと同じってこと」

「もっと具体的に教えてよ!」

妹の熱心さに押されて、しぶしぶ口を開く。兄も妹への気安さがある。

「う~ん。AV借りてきて観たり…そういう雑誌買ってきたり…かな」

「AVってアダルトビデオのことだよね?そんなの見ながら独りでしてるんだ~」
「ふふっ。いやらしい~、エッチ!」

「うるさいな~」

「男の人って、どんなシーンが一番興奮するの?お兄ちゃん」

「!!言えないよ…そんなこと」

「教えてって!」

「う~ん…口でしたり」
ぼそっと小さな声で呟く。

「きゃー!お兄ちゃんのスケベ!!はやく彼女作らないと駄目だね!」

「放っとけよ」

弾けたように、はしゃぎながらも紗枝の体は熱くなっていた。
腰の辺りがムズムズとして紗枝もはっとした。

最初は軽い気持ちで兄に尋ねた言葉が自分自身の心の中の淫らな部分をさらに膨
らます。兄を想って自慰に励んだあの時の絶頂感を思い出した。
さらに、『口でするのが興奮する』という兄の呟きが、紗枝の淫らな妄想に拍車
をかけた。

理性では、兄をそんな対象で考えてはいけないと思っている紗枝だが、女として
の肉体の疼き、淫らな感覚に抗うのは難しい。淫夢の絶頂感…彼とでは経験でき
ないようなエロティシズム。『兄』とのセックス。絶対にしてはいけないという
禁忌が強ければ強い程、逆に紗枝の理性的な部分を白い霧で覆ってしまう。

近親相姦って何が悪いのか。勿論無理やり思いを遂げるのは許されるはずがない。
でも、お互いに割り切って…する分にとっては問題ないと思う。

肉体の繋がりが『愛情』の証のためだけではないことは周知の事実だ。
男でも女でも肉体の欲望だけでセックスするではないか。

兄は勿論好きだが、それ以上兄を束縛する気にはならない。兄に早く素敵な彼女が
できるのを本心で願っている。妊娠に対しての恐怖感があるが、避妊をすればいい
だけの事だ。

彼と普段しているのと同じ。彼が兄に代わるだけ…それだけ。

兄の体を借りて、自分の肉体の疼きを静める事はそれ程『心の重み』になるとは
どうしても思えない。ただ単に己の欲望を満たすためだけに『愛』という言葉を
持ち出し、セックスを迫る人間よりは私のこの気持ちは純粋だ。人間的に正直だ。

加えて、兄だって早く『経験』したいに違いない。経験出来ないが為、自分の手
を使って慰めているのだ。その兄が、実の妹という立場ではあるが、女として欲
情した自分の肉体を拒めるのか?…無理だと思う。これまで20年間一緒に暮ら
した兄の考え方は自分なりに理解している。

兄が母親を含めて誰かに自分との行為を話すとも思えない。寡黙な兄だ。
私も心に秘めて決して口外しない。当然彼にも。秘密の守るということに関して
は、「兄妹」の方が、より安心なように思う。

だが、いざ実行しようとなると、そんなこと簡単に出来るはずがない。
どうしても心にブレーキがかかる。

第一、妹の私が兄に面と向かって「抱いて」などと言えるはずが無い。なにより
女としてのプライドがある。兄をその気にさせる為にはどうすればいいのか…

ふと紗枝はこう考える。これは兄にとっても格好の『練習の機会』なのでは?

女を知っていれば行動にも余裕が出てくる。ルックスは問題ないし肉体は逞しい。
兄に足りないもの、それは…経験だけ。その経験を積む為に自分の肉体を提供す
る。兄は「経験」を、自分は兄に抱かれることで彼氏とでは味わえない「絶頂感」
を得る事が出来る。

誰も困らない。誰も傷つかないし、誰も傷つけない。




ただ1つ…紗枝が考え及ばないことがある。それは、紗枝自身、後に『経験』
してから知るであろう重要な事…



そんなことを考えながら兄の方に顔を向ける紗枝。瞳が潤んでいる。

兄はさっきの会話の気恥ずかしさからシートに寝転んで背を向けていた。
その広い背中から引き締まった腰までゆっくりと視線を動かす。逞しい兄の体。

紗枝の顔が上気し、膝が小刻みに震えていた。
(…どうしよう…濡れてきちゃった)

次から次に自分勝手とも思える願望が湧き上がり、心が嫌らしいもので満たされ
ていく。既に心の中で兄に抱かれることに折り合いをつけた。
不思議に嫌悪感など感じない。兄と行為に及ぶ自分の姿を妄想した。









しばらくは無言のまま、気まずいような雰囲気が車中に漂う。
紗枝のそんな心などお構いなしに、突然の兄の言葉。

「さ~て、もう帰るぞ!お腹もすいたし」

紗枝は内心焦った。もしかしたらこんな機会はもう無いかもしれない。
『兄に抱かれて感じたい』という願望を叶えるのは今日しかないかも…

「ねえ、お兄ちゃん、今日は外食しない?私が払うから。」
「どうせお母さんって今日は遅いんでしょ?」

少し慌てたような紗枝の口調。密かな企み。

「…そうだな。じゃあ食べていこうか。いいよ、俺が金出すから」
「なんだか、今日はお前とデートしてるみたいだったな」

「うん、そうね。今日は…お兄ちゃんとデートの日だったね!」

兄の『デート』という言葉が嬉しい。(…もしかしたら、うまくいくかも)

「お兄ちゃん。デートには素敵なレストランがつきものよ、これも覚えておい
 てね!」

「お、おいおい!あまり高い物は食えないぞ」

そう応える兄も心なしか嬉しそうだ。かなり際どい会話を交わすことの出来る
紗枝への安心感があった。久しぶりに兄妹が打ち解けた気がする。
ただ、妹の淫らな心まで気が付く兄ではなかった。

紗枝の方も『兄の為の練習』という勝手な理由を付けて、欲望を満たそうとし
ている自分の不純さに気付いていない。紗枝の頭にあるのは、どうやって兄と
思いを遂げるか・・




車が岸壁を離れた時には、すでに日が傾きだし、情熱的な色で染まった陽が辺
りを包んでいた。

[終]

[2000/06/08]

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。